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TORGリプレイ

『CONNECT』

第二幕

 
 偽りで固めた世界も
 奇麗に魅せるための嘘も
 そのままでいい
 そのままがいい

 
GM:いくつか補足しておきます。まず、オーロシュでは、例えばヴァンパイアだったらこうすると殺せるよね、ってわかっちゃってる都合もあって、魔物をデザインできるんですよ。

アン:はいはい。

GM:日光を浴びても平気だったり、心臓を白木の杭で刺されても平気だったり。能力をポイントバイで取っていきます。異世界から来たヴァンパイアだから、みんなが思ってるのと違う、っていう理屈です。次に、魔物にはそれぞれ弱点があって、弱点を突くと倒しやすくなるんだけど、問題は、真の死っていう、特殊な条件を満たして倒さないと、復活するんです。

ソウジ:へぇー。

GM:魂だけが、待ち人の館っていう異空間に送られて、魂の汚れ度によって、早めに現世に戻ってきたり、より強い魔物になったりする。倒したはずの奴が、「あの時は世話になったねぇ」って、別の姿で現れることがあるわけですね。

裕人:うわー。

GM:だから、オーロシュが相手の時は、克服値を貯めつつ、何とか真の死を探し出して倒す、っていう方向性になります。克服値は、パーティ全体に一律で8点渡されます。

アン:8点。

GM:何か起きると、これが上下します。魔物の手掛かりを見つければ、やったー、これでなんとかなるぞ、って言って上がるし、惨劇を目撃すれば、うわー、恐ろしいー、って言って下がる。そして、最終的に、クライマックスで克服チェックをした時、たとえちょっとぐらい悪い目が出ても克服できるぐらい溜めておく。

ディ:「魔物に対する知識」を数値化したもの、かな。何も知らなければ恐ろしい相手だけども、相手の情報を得ることで克服値が溜まっていって、よし、情報は充分集めた、決戦だ! って、クライマックスへ進む感じ。

GM:克服値が上がる条件を説明しておきます。
 

 +1〜+3:追求している魔物についての情報を得た。
 +2〜+4:ゴーントマン配下の魔物や手先との戦いに勝った。
 +1〜+2:助けを必要とする人々に出会った。
 下がった分:怖い目に遭った後で、決意を新たにした。
 

GM:「あの時は逃げてしまったが、奴を倒さなければならない!」って決意すると、その分プラス。あとは、魂が汚れて魔物に近づいている奴を、〈看破〉っていう、特殊な技能を使って「見る」と、それだけでも克服値が上がる。

ディ:ユウトは、ユミのことを「見る」必要がありそうですね。

アン:ああ、そうだね。

GM:達成値が高ければ、正体を隠してる奴の本体がわかったり、真の死に近いものが見えたりします。

裕人:〈看破〉、3レベル取っておきましたー。

GM:逆に、オーロシュの魔物やゴーントマンの手先から損害を被ると、克服値がマイナス1〜3。魔物がおぞましい行為を働くのを目撃した、がマイナス1〜2。仲間が殺されるのを目の当たりにすると、+2〜4。上がるぞ!

一同:(笑)

GM:なので、基本的に、恐れずに怖い目に遭うのがいい。あと、このシステムはすごく良くできていて、克服値は、個人で稼げます。つまり・・・「よし! お前は図書館! 俺は現場! お前はシャワールーム!」(笑)ばらけた方がプラスが溜まる、ってことです。

アン:もし宗元さんがいたら、4人の舎弟に、「よしお前ら、探すんや!」って言って、「誰も戻って来いひん。おのれヴァンパイア!」

GM:・・・+16か(笑)。

ソウジ:そういう感じなんですね。

ディ:ユウトが別行動するのは正しい。すごい正しいんだけどさー。

GM:そんな感じで、改めて第二幕スタートです。
 


 
シーン1 Overcome the terror

 
 霧となって消えた裕人を追うことができず、立ち尽くすディアンの元に、
 警察がおっとり刀で駆けつけてきて、事態の収拾に乗り出す。

 倒れた数十人は、一様に「あの娘(こ)を見た」と証言する。
 恐らく、優美から魅了を受けたものと推測される。
 精神的なダメージも鑑みて、一旦、全員が入院させられることとなる。
 

GM:同時に、警察からディアンに伝えられたのが、ヴァンパイアの仕業としか思えない吸血事件が相次いでいる、と。

ディ:!

GM:金輪財閥の系列の、巽工作機(たつみ・こうさくき)っていう企業の近辺で、起きてるそうです。

ソウジ:巽工作機。

GM:警察は、全て協力します、何でも言ってください、ぐらいの勢いで、翌日の朝には詳細報告が上がってきます。大体、美女を襲ってて、これ見よがしな感じ。

アン:さっきの奴の仕業か、それは。

GM:裕人くんの行方も探してくれたんですけど、まー、監視カメラに映んねーし。

アン:『いやー、霧しか見えませんでした!』

裕人:さすが、霧の都ロンドン。

GM:一方、ソウジとアン。時間的には騒ぎのあった翌日です。高名なパラディンが捜査に乗り出したらしい、って話が、新聞に載ります。

ディ:えっ?!

GM:あなたが隠さなければ、載るよ。

ディ:あ、隠すわけないや。

アン:隠さないの?

GM:隠すことは、基本的にタブーなので。立場的には「私が来た(*4)!」なので。

アン:白馬で来た!(笑)

GM:ただでさえ人心が乱れているところに、パラディンが来た! これで事件は一気に解決か!? ヴァンパイア、枕を高くして寝れると思うなよ! ぐらいの論調になるわけですよ。

アン:ヴァンパイアよ、貴様らもこれで終わりだ!

ディ:・・・ここ、ナイルじゃないのに。

GM:良いことに気づきましたね。いつもより何となく派手ですよね。

アン:ああ、あいつが来たからか!

GM:ディアンの方も、こんな噂を聞きます。昨夜、巽工作機の近くで、でかい銃声が聞こえた。内部の話なので、事件にはなっていない。ただ、通常とは思えない火力の弾が飛んでいったので、地元では騒ぎになっている。

ソウジ:ディアンは今、どこで何をしてます?

ディ:警察署で、話を聞いていると思う。

GM:そうですね。TORGのシナリオ集の黄金律。どんな事件でも不思議なことに、警察署に行くと結構進展する!(笑)

アン:あたしも警察に呼ばれてるとか。

GM:では、警察署でのシーンにしましょう。壁には、目撃証言が貼ってあって、いかにもヴァンパイアです! って感じの人が、写真に撮られてる

ソウジ:え、写真に写ってるの?

アン:むしろ、写るようにしたんでしょ。

GM:完全にカメラを意識したポーズ。目立ちたがり屋だから。

ディ:声に出して言います。「これは・・・」

GM:「どうかされましたか、ディアン卿?」

ディ:「ヴァンパイアは、シャシンに、写る、のか?」

GM:「え、写って、ますよ? 写らないって話もありますけど、やっぱ本物は写りが違いますねー!」(笑)

アン:こっちは、事情聴取が終わって、「ああ、まさか、この格好をツッコまれるとは思わなかった」

GM:キル・ビルかよ!(笑)

アン:「なんで看護服を?」「いや、知り合いがいたから、びっくりさせようと思って。そしたら、変な奴がいて、そのサプライズがぶち壊しにされたんだよね」

GM:調書取る人が、真面目に書く。『びっくりさせようと思って』(笑)。「まあいいでしょう。巽工作機から、一応話は来てるんで。ストームナイトさんみたいだし。ただ、その物騒なものは、あまり街中で使わないでくださいよ」因みにあなたのライフルはちゃんと許可をもらって、持ってていいことになってます。

アン:「ああ、さすがに誰彼構わずぶちかましたりしないよ」

GM:ディアンのところに、「昨日の事件で、ヴァンパイアに会ったという目撃者がおりますが、話をお聞きになりますか?」

ディ:「目撃者?」

アン:「ああ、やっと禁煙じゃなくなった」

GM:ライフルを抱えた、赤毛のナースが、外でタバコ吸ってる。

ディ:「アン?!」

アン:「あれ。いつぞやのパラディン。ディアンだっけ。参ったよ。取調室が禁煙なのは、やめてほしいねぇ」

ディ:「取り調べ・・・!(ハッとして)アンは、ヴァンパイアと、会ったのか?」

アン:「ああ。会った。いやー、下手したら負けるかと思った」

ソウジ:「ああ、俺より速い奴なんて久々に見たよ」

ディ:「うっ?!」(笑)

ソウジ:「久しいな、ディアン」

ディ:「カガワ、もいたのか」

ソウジ:「色々あって、この国に来たんだが、驚いたよ。まさか本当にヴァンパイアと会うなんて。アンさんも昨日ぶりだな」

アン:「ああ、そうだね。というか、ヴァンパイアにしては、なんか変だったな」

ディ:「変?」

GM:いちいち擬音がつく感じ。アルファベットの擬音。

裕人:ズバッ! バサッ!

アン:「あれは多分アホだ」

ディ:「ア・・・ホ?」

ソウジ:「なんと言うか、あまりに、らしかった、な。らしすぎて不自然なくらいだ」

アン:「ヴァンパイアかくあるべし、っていう、ヴァンパイアファッションにこだわるヴァンパイア、みたいな。確か、こういう見た目の男だったよ」

ディ:「オレが、会った相手とは、まるで違う・・・」

ソウジ:「・・・ディアン?」

GM:2人は結構、半笑いくらいで話せるんだけど、ディアンは沈鬱な表情。全然感じが違う。

アン:こう言おう。「どうした。オーロシュにでも旅行に行ったような顔をして」

ディ:!

裕人:あーれー。突っ込まれたー。

ソウジ:「いつも姿勢のいいあんたが、そうやって俯いているのは珍しいな。どうかしたのか?」

ディ:「オレは・・・」
 

「オレは、ユウトを、止められなかった」
 2人には全く面識のない人物だということにすら気づかずに、
 ディアンが絞り出した声は、ひどく掠れていた。

 
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