TORG・ABCリプレイ

『LIBERTY』

 
 

 限りなく今に近い未来………
 今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 


Epilogue〜未来のかけら〜

 
地下に突き立った十字剣、ぶら下がる十字架が赤い光を放つ。
すると突如水の中から黒い人影が現れ、乱暴に十字剣を引きぬくと
十字架はどこかへ飛んでいってしまう。その影は一瞬だけ逡巡する
様子を見せるが、強い決意を感じさせる足取りで振り返ることなく
歩を進める。その片目から赤い光が放たれ、場面は暗転する。
 

処変わり、出産を終えたロレーヌと赤子が眠る病室。
そこへ忍び寄るは逃げ延びたスペシャルズの3人、
ジョゼフとアペンディックス(オマケのようにくっついていた兄弟兵)。
彼女の口からこれ以上の情報が漏れるのを恐れ(半ば逆恨みの
意趣返しが主な理由だが)、彼女と赤子の命を奪わんとジョゼフが
生体ガスの触手管を伸ばした瞬間、背後に明確な殺気が現れる。
殺気の主に対し誰何の声をあげようとしたアペンディックスの2人が
避ける間もなく十字に切り裂かれ、咄嗟に反撃しようとしたジョゼフも
胸を貫かれて背後の壁に串刺しにされる。
「生きていたのか…ヴェルム」
その怨嗟の瞳に映る男…ヴェルムの姿はボロボロで、特に左半身の
負傷は酷く、サイバーアイをはじめ、人工皮膚の下のサイバーパーツの
多くが剥き出しになっていた。
「死んでいたさ…だが、真のストームナイトたちによって救われた」
 

回想…リバティ要塞の秘密を知ったヴェルムはたった一人で
戦いを挑むも、力及ばず上層階から地下へと転落してしまう。
意識を失った彼のボディは生命維持モードに切り替わり自動的に
延命を図ったが、それでもポシビリティの全てを失った彼がその命をも
失うのは時間の問題だった。…が、奇跡が起こる。リバティ要塞の自爆に
伴う大災厄を阻止しようとしたストームナイトたちがコアに使われていた
エタニティシャードを破壊したことで、そこから降り注いだポシビリティが
再び彼に命の火を灯したのだった。
 

ヴェルムは喀血しこと切れたジョゼフから十字剣を引き抜くと
再び確かな歩調で歩き始める。彼を待つ者たちのもとへ。
母となったロレーヌと未だ見ぬ赤子の笑顔が待つ部屋へ…
 


GM補足

彼ら家族は更なる追撃から身を避けるために姿を消すことになります。
かつて聖堂騎士として幾人もの騎士の命を奪ったヴェルムはアイルに
身を寄せることは選びません(将来的にはわかりませんが)。
 

彼らが命を賭けて守ろうとした数多くの小さな幸せは守られました。
そして彼らは本当の自由を手に入れるため、再び共に歩き始めます。
 


管理人補足

前ページのエピローグをお読みいただけば判ると思いますが、
実際のセッション中ではヴェルムの生死は不明のままでした。
むしろ、生きていてほしいけど多分無理、という描写をされていました。
 

しかし、「『やっぱり最後はみんなが笑顔で終われないとダメだろ!』
ってのが自分のTORG」という信念のもと、マスターのありまさんが、
上記のトゥルーエンドバージョンを寄稿してくださいました。
そのオチのつけ方があまりに見事だったので、
こうして別ページを作った次第です。
 

さて、プレイヤー4名中妊婦が2名(!)という、
最初で最後のリプレイ、いかがでしたでしょうか。
「はじめの一歩」という割に、恐ろしく強い敵と渡り合ったりしていますが
(苦笑)、大らかな心で楽しんでいただければ幸いです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!!

2004.11.02 しゃあみ・拝
 


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