TORG三題噺シナリオ4

『リンゴの樹の下で』

Last Updated:2003.10.01
 

 当サイトでは、キリ番を踏んでくださったお礼として、3つのお題に基づいてシナリオを創り、進呈させていただくことにしました。5,555ヒットをゲットしたのは私の身内(夫)だったのですが、一応ルールなのでお題を決めてもらいました。すると答えは・・・

  • Mac
  • 食物連鎖
  • 洗濯機

の3つ。登録商標入りッスか? ま、まぁ、できる限り希望に添う形で作ってみましょう。

 なお、以下のシナリオはフィクションであり、実在の人物、国家、企業等とは無関係であることを、ここに宣言いたします。
 


はじめに

 ポシビリティ戦争に勝つためには、レルム(被侵略地域)の境界を定めているスティリーという名の杭を除去する必要がある。そうすれば、支えを失ったレルム内に、周囲のリアリティ(価値観・世界法則)が堰を切ったように流れ込み、そのレルムはコアアース(本来の地球)へと戻る。
 しかし、レルムへ順応するためにポシビリティ・エネルギーを使い果たしてしまったオーズ(一般人)たちは、再びコアアースのリアリティが押し寄せると、再度順応を強要され、ショックで死んでしまう。
 これを避けるため、ストームナイトにはやらねばならぬことがある。伝説的な“偉業”を成し遂げ、その模様を話して聞かせることで、人々の胸に希望を取り戻させるのだ。そう、ポシビリティという名の希望のエネルギーを。

 一般的に、リアリティ・ウォッシュと呼ばれる急激なリアリティの変化が起きた時、それが一度目ならば、まだ耐えられる。しかし二度目となると、偉業を伝え聞いてポシビリティ・エネルギーを蓄えていない限り、オーズは燃え尽きて死んでしまう。
 ――ストームナイト諸君は、このことを、よく覚えておいて欲しい。
 

地球で、限りなく今に近い未来………
今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……
ほんの少しだけ未来に、起こるかもしれない物語。
 

ストーリー

第一幕

 シナリオの舞台は、五大湖のひとつエリー湖南岸に位置する、オハイオ州クリーブランドです。かつてはアメリカ合衆国中西部工業地帯の中心都市でしたが、今ではリビングランドに取り込まれ、恐竜やエディーノス(トカゲ人間)が跋扈する常夏のジャングルと化しています。

 しかし、そのジャングルに、近代テクノロジーの働く場所がわずかに残されています。中心にあるのはひとつの倉庫。そこには、アップルコンピュータの熱烈なファンが私財を投げ打って収集した、アップル製コンピュータ及び周辺機器が、足の踏み場もないほどぎっしりと置かれています。創始者の自宅ガレージで組み立てられたという「Apple1」から、最新鋭の「PowerMac G5」まで、ありとあらゆる同社の製品が集められているのです。クリーブランドの街が変貌を遂げた直後より、この倉庫はコアアースのハードポイント(リアリティを保持し続ける場所)として、ひそかに機能していたのでした。

 物資を運搬している途中、道に迷ったストームナイトは、このハードポイントへ辿り着きます。どうやらかなり昔から、リビングランドを旅する者たちの休憩所として使われているようです。しかし、倉庫の持ち主である男性(この休憩所のリーダーでもあります)は、どこかよそよそしく、「一晩の寝床を提供するだけ」「我々とこの場所について決して口外するな」としつこく念を押します。彼は、アメリカ合衆国新政府とデルファイ評議会が、リビングランドに留まる者を強制退去させる方針であることを知っており、それ故ここの存在を隠し通したいのです。

 翌朝、休憩所ではちょっとした騒ぎが起きています。倉庫の持ち主によると、エディーノスが倉庫からPDA(携帯情報端末)「Newton MessagePad」を奪って逃げたというのです。PDAなどに興味を持つはずのないエディーノスが、何故・・・? ストームナイトは倉庫の持ち主に懇願され、Newtonを取り返すためにジャングルへ向かいます。
 

第二幕

 通常、ハードポイントというのは単一の物体を拠り所にしており、その質量の大小が、コアアースのリアリティが働くエリアの広さを左右します(物体が重ければ重いほど、エリアは広くなります)。しかしこの倉庫は特殊で、所狭しと置かれたアップル社の製品全体でひとつのハードポイントを形成していました。Newtonはその構成要素ですので、早く元の位置に戻さないと、倉庫からハードポイントとしての力が永久に失われてしまいます。そうなればリアリティ・ウォッシュが起こって、周辺で暮らすオーズの生命が危険に晒されることでしょう(因みに、ハードポイントでなくなったなら、倉庫とアップル製品は、リビングランドのリアリティ・ウォッシュを受け、なんとリンゴの木へと変身してしまいます)。

 Newton持ち去りの黒幕は、デルファイ評議会に雇われた特殊傭兵部隊、スパルタンです。スパルタンは、リビングランドに残っている人々を強制的に退去させる任務を帯びています。とある旅人から倉庫とハードポイントの情報を得たスパルタンは、任務遂行の邪魔となるハードポイントを破壊するため、エディーノスを利用したのです。

 ジャングルの中には、視界を遮る深い霧が立ちこめています。霧の中での〈追跡〉は困難を極めます。その際非常に役立つのは、リビングランド固有の技能である〈方位感覚〉です。ところが、やっと追いついたと思ったその時、背後から巨大恐竜が現れ、エディーノスをNewtonごと丸飲みにしてしまいます!
 もしも運良くパーティ内に、フェロモンで生き物を操れるアメーバ生命体、ベンザがいるならば、恐竜に張り付いて恐竜の意識をコントロールすることで、容易にNewtonを取り出すことができます。吐き出してもらうか、排泄してもらえばいいのです。しかし殆どの場合、恐竜と戦闘になるでしょう。どうにか恐竜のお腹をかっさばいて、Newtonを取り出さなければいけません。
 

第三幕

 無事Newtonを持ち帰っても、それをそのまま元の位置に戻すだけでは、ハードポイントの力は戻りません。アップル社を愛する人間を複数連れてきて、製品への愛着、技術力に対する尊敬、等々の「念」を込めなくてはいけないのです。とは言っても、さほど難しいことではありません。倉庫の持ち主に尋ねれば、容易く数人の名前を挙げてくれます。但し、最も適任と思われるアップル社創立メンバーはデルファイ評議会に軟禁されています。彼を解放するべく、ストームナイトは奔走することになるでしょう。その後の活動しやすさを考えると、デルファイ評議会との正面きっての対決は避けたいところです。
 

おわりに

 では、このシナリオで重要な点をまとめておきます。

1.倉庫からNewtonを持ち去ったエディーノスを〈追跡〉、〈発見〉する。
2.Newtonを飲み込んだ巨大恐竜を倒すなり操るなりして、Newtonを取り戻す。
3.Newtonを倉庫へ持って帰り、ハードポイントの力を取り戻させる。
4.最悪の事態(リアリティ・ウォッシュ)が起きても人々を守れるよう、最低一回は偉業を起こし、伝説を語らなければならない。
5.これら全ては、ハードポイントの力が消え失せてしまう前に、行わなければならない。タイムリミットは長くて2日程度。
 

Apple, Mac, Newton, PowerMacは、
米国およびその他の国で登録されているApple Computer, Inc.の商標です。


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