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TORGリプレイ

『CONNECT』

第一幕

 
 どことも知れぬ、暗い、夜の街。遠くに見える街の灯りは、とても綺麗。
 ひとりの少女が、歌いながら歩いている。

 退屈な夜なんていらない
 無駄な努力とかしたくない
 好きなものだけ好きでいたい
 だから嫌いなものは嫌いなまま
 わがまま気ままのエゴイズム
 お城の中の箱入りお姫様
 「後ろ指を刺されてますよ」
 ええ、そんなことわかってますよ。(vivid undress『醜いお姫様』)

 
シーン1 Last Train to London

 
 ロンドンへ向かう、鉄道車両の屋根の上。
 相島裕人は今日も、夢を見ない。月明かりの下、寝っ転がって携帯ゲームに興じる。
 

GM:イギリスの首都ロンドンは、この国最大のハードポイント。避難民が集中し、人口はかつての倍まで膨れ上がっています。合計2千百万人。1平方キロメートルあたり9千3百人です。都市はひどい人口過密で、様々な問題が起こっています。電力の供給が不安定で、バッテリーとかが貴重品なんで、ブラックマーケットが急成長しています。ファンタジーイメージだと、闇のアイテムとかを手に入れるような裏通りに、発電機やバッテリーが並んでて、ドワーフとかが、「いくら出す?」

裕人:闇市って何だっけ。

ディ:闇の中でやるから闇市。

GM:暗視持ってるんで、ドワーフは(笑)。因みにアイルは、科学の代わりに魔法が、テクノロジーとして発達しています。電化製品の代わりに魔法のアイテム。車の代わりに魔法のじゅうたん。

ディ:オレも、手紙は魔法で届けるものだと思ってる。

GM:ということで、イギリス政府は、機能しなくなってしまった(*1)ので、ペラ・アーディネイ、アイルの光の女王にして、皆さんの最大の協力者でもある彼女に、政権や実務を委譲して、それをフォローするという形を取っています。
 

 元々のアイルは、地方領主たちが合議制で治める世界であった。
 ある時、地方領主のひとり、ペラ・アーディネイは、こう宣言した。
「私は領地を放棄します。その代わり、私は民衆の代表になります」 
 封建主義社会に楔を打ち込む彼女の発言は、民から絶大な支持を受け、
 かくして、政治権力を失ったはずの彼女が、アイルの女王となった。
 

GM:その後、闇の魔道士アンガー・ユーソリオン卿が、彼女の身体を奪った結果、「こんな尊い王様が言うんだから、きっと正しいに違いない。よし、地球に侵攻しよう!」となってしまったのは、皮肉なことですね。現状、彼女はその過ちを正すために、身を粉にして頑張っている最中です。

アン:ほうー。

GM:忍耐と勇気が、ロンドンっ子の合言葉。だってお前、モンスターがうろついてても、昔ドイツが毎日ガンガン来てた時と比べると、全然こんなもの、やれるやれる!

ソウジ:タフだな。

GM:というようなことが、旅のガイドブックに書いてあり、それを見ていた裕人くん。

裕人:はい。

GM:あなたは今日も、列車の背に乗って。

裕人:ガタンゴトーン。ガタンゴトーン。

GM:無賃乗車ですけど、まぁヴァンパイアだし。

ソウジ:列車の上に乗る。物理的に(笑)。

GM:ルート的には、ロンドンの方に行くらしい。

裕人:へー。って言いながら、片手でゲームを。

GM:ロンドンはまだ現代的な街並みが残ってるけれども、この辺りの全体的な雰囲気は、やっぱりファンタジーな風景なんですよ。山並みとか、森の感じとか。

裕人:最近ファンタジー系のRPGをやってたんで、ちょっと胸熱な感じで、すっげー、このゲームと景色一緒だー。

GM:そうすると、何かの拍子に、ゲーム機を、あ、やべっ、落っことしそうになった、って拾って、電源ちゃんと入るかな、と再起動した瞬間。

裕人:はい。
 

GMリンクが、切れました。
 

裕人:あっ。

GM:急に力が、スーッと抜けて、今までは月明かりを浴びるだけで力が溢れる感じだったのが、猛烈にお腹が空いてきた。

裕人:あっ、れー?!(笑)

GM:霧になろうと思っても、なれない。

裕人:やべっ、とりあえず、降りなきゃ。

GM:丁度、列車がロンドン駅に入線するところです。ここのリアリティはコアアースなので、あなたは人間だ!

裕人:やった! じゃあハシゴを使ってそっと裏から降りて。

GM:〈隠れ身〉、してみようか。

裕人:〈隠れ身〉。基本値13です。(コロコロ)5。マイナス5だから、8です。

GM:改めて説明しますね。難易度は、とても簡単が3。簡単なことが5。平均的で8。五分五分が10。難しいね、12。成功率10%が13。ヒーロー的、15。成功率1%だ! 18。成功率0.1%だ! 22。考えたくもない! 25。

ソウジ:ふーん。

GM:8なら、平均的な、キセル乗車の人が(笑)、こっそり隠れるのと同じくらいだから、見つかんねぇかなー、と思う。でも丁度、カンテラとか照らしている、ファンタジーっぽい駅員さんが、「そこに誰かいるのか?」

裕人:あっ、バレた!

GM:いつもだったら、霧になってシュッと。

裕人:いなくなれるけど、あっ、やべぇ、ホントに使えない。

GM:どうしよっかなー、逃げちゃおっかなー、みたいに、何となくワクワクしてきて、何となくあなたは逃げちゃって、おい、待てー、みたいなこと言われながら、わ、なんか、追っかけっこしてる、俺、みたいな。

裕人:ホントに、ホントに、疲れる!

GM:息が切れる。ハー、ハー、って言いながら、遠くに綺麗な街の灯りが見える。

裕人:全体的な、視覚の感覚も、かなり狭まって。

GM:全っ然違います。あと、ちゃんと、色が鮮やかについてる。あの頃みたい。

裕人:ホントだ! うわー、すげー! じゃあ、テンション上がった状態で、街並みに、繰り出します!

GM:では、裕人くんが楽しく街に入って行きました。ってところでシーンを切ります。

ディ:うわー。

ソウジ:なんか、微笑ましいんですけど、めっちゃ切ないです。

 
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