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TORGリプレイ

『CONNECT』

第四幕

 
 優美に取り憑いているヴァンパイアの名は、アニサオナ(*15)という。
 

アン:“アイデア”で、アニサオナの目的ってわかります? 巽工作機を使って、何がしたいのか。

GM:根本的には復讐です。あと、裕人くんに、ヴァンパイアがどういう風に社会で扱われるのかを見せて、これで人間社会に絶望してくれれば、帰ってくるだろうという、妹の想い。

ディ:マスター。ユミは、まだ人間なんですか?

裕人:・・・さあ?

GM:先程も言った通りです。今の彼と同じようになるんじゃない?

裕人:俺と同じで、まだ人間の血を吸ってない、ってことですよね。

GM:はい。感染能力は使ってる(*16)けど、血は吸ってない。

アン:もしかしたら、優美の意識が、血を吸うことを拒否してる可能性もある。

ソウジ:そういえば、巽工作機の社長について、聞きそびれちゃったんですけど、どんな人?

GM:巽十郎(たつみ・じゅうろう)さんといいます。海外の支社を渡されて、不遇をかっていたのですが、今回の件で、頭角を現そうとしているところですね。目に物見せてやるぜ! みたいな。

ソウジ:自分が受けた依頼は、巽工作機の内情を探って、よくないものを見つけたら、ないないしてね、ってことですよね。

GM:はい。持ち帰れるものは持ち帰ればいいし、あなたはストームナイトとして、自分の判断で動いちゃえばいいです。

ソウジ:“知人”のカードがあるので、ハッカーにデータを破壊してもらおうかな。ウイルスか何か入れてもらって。

GM:別に、自分でサーバーを物理的にやっちゃっていいッスよ。こんなのいくら調べたところで、発狂するだけなんで。

ソウジ:例えば、買収した新聞社に、公にしてもらうと、どうなりますか? 壊すと壊すだけで終わってしまうから、やっぱり社会に知らしめる方が。

GM:多分、ここが切り捨てられて終わるだけですね。明らかにブラック過ぎてどうしようもないので。あと、この事件が公になると、恐怖が広まる(*17)んですよ。「こんな恐ろしいことが起きていたんだ。うわー!」って言ってみんなが怖くなる。

ソウジ:あー、そうか。

ディ:知らない方が、よいこともある。

GM:ということです。会社も、被害者を決め込むと思いますし。「恐ろしいヴァンパイアが現れて、社長が魅了されてしまって!」、みたいな。

ソウジ:結局ヴァンパイアになすりつける。うーん、社長に喋らせたいなー。

アン:あ。“人物誤認”で、あたし、ナタティリに似てるとか。

GM:できますよ。そしたら、ナタティリになりすまして、逃げようとする社長をとっ捕まえて、喋らせる、っていうのがいいと思います。

ソウジ:そうだね。ここまでアンさんと一緒にやってきたから、ちょっと協力してもらえると嬉しいな。

GM:後で、そういうシーンをやりましょう。では、第四幕、決戦です!
 


 
シーン1 I Love You to Death

 
 遠くからは、まるで闇の塔のように見えた巽工作機の社屋。
 不思議な霧が周囲を覆い、無関係な者の接近を阻んでいる。
 裕人の前で、扉は全て、手招きするかのように開いていく。
 

GM:ソウジから聞いていた、非人道的な実験施設も、あなたたちは目にすることになります。そして、最上階の大きなホールに入ると、赤いものがブワーッ! と。

ディ:!
 

 流れてくる大量の血液は、まるで赤い絨毯のよう。
 その奥で、優美が小首を傾げる。
「ようこそ。お兄ちゃん、帰ってくる準備はできた?」
 

GM/優美:「もう、わかったよね? 世の中はこんなもんだし、ヴァンパイアはヴァンパイア同士、仲良く暮らしていこうよ。なんだったら人類とか支配しちゃう?」

ディ:「違う。お前は、ユウトを陥れようとして、悪事を働いただけだ」

GM/優美:「そうかしら。そう見えるのは、あなたの目が歪んでいるからじゃない?」(笑)

裕人:「あー、多分、あれに正論を言っても仕方がないよ、ディアン。とりあえず、優美の後ろに隠れてる、お前。出てこないの?」

GM:そしたら、一瞬こう、顔がありえない歪み方をして、男の声になります。『は。気づいたか』〈看破〉していいよ。

裕人:〈看破〉ー。(コロコロ)19! 6+12で、18。

GM:お、高ぇ! そうすっと、ヴァンパイアが後ろから抱擁しているようなイメージ。腕の中に、優美がいる。まだ堕ち切っていない魂が、「助けて、助けて!」って言ってるのがわかった。

ソウジ:ああ・・・。

GM:向こうは、見られているとは気づかずに、『久しぶりだねぇ。裕人くん』

裕人:「ああ。そうだね。久しぶりだ。記憶が消えててさ」

GM/アニサオナ:『そりゃそうだよ。僕がきみの頭を吹っ飛ばしたからね』

裕人:「死ぬかと思ったよ」

GM:ヴァンパイアじゃなければ死んでたやつです(笑)。

裕人:やべぇ!

GM:正確に言うと、噛まれた時には魔物になりかけてて、再生能力がついてたから、頭を一回吹っ飛ばされて、物理的に、記憶領域がなくなったの。

裕人:おおー、怖っ。

アン:海馬が吹っ飛んだ。

GM/アニサオナ:『僕は僕でさ、油断してたらやられちゃってさ。ここに来るまでに2年掛かったよ』

裕人:「ははっ。それは、お疲れさん」

GM:『相変わらずだねぇ』なんとなくわかる。あれは、いつもの自分だ。

裕人:・・・・・。

GM/アニサオナ:『今なら、きみの家族と一緒に、仲良く暮らすこともできる。戻ってこないか? 家族になろうよ』

裕人:「家族になろう? 誰と?」

GM/アニサオナ:『僕とさ。僕はきみの親も同然だ』

裕人:「ふーん。そっかー。・・・で?」

GM/アニサオナ:『で?』

裕人:「確かに、お前とは、血の繋がりがあるから、家族って言われても否定はできないけど、お前の考えに賛同する理由はないっしょ」
 

 それは、全く理解の範疇を超えた返答だった。
 ヴァンパイアが、血を吸った主人に逆らえる筈はないのだ。
 理解できない存在を目の前にして、アニサオナは、恐怖を覚え始めていた。
 

GM/アニサオナ:『な・・・なんだお前!』

裕人:「ああ、俺のこと? 俺はストームナイトだよ

一同:おおー。

ディ:「アニサオナ。お前は、ユウトを殺そうとしたのに、一緒に暮らそうと言って、ユウトが、はい、と返事すると思ったのか?」

GM:そうすると、逃げるように引っ込んだのがわかりました。・・・思ってたらしいよ(笑)。

裕人:家族だよね? はい。一緒に暮らすよね? はい。僕と同じ考えだよね?

GM:はい。それは家族じゃなくて、奴隷、って言うんだけど。

アン:でも裕人はストームナイトになったから。

GM:2年前はただ、防衛本能で暴れてくるだけだったけど、今は、魂が入った。『なんだお前! その魂! あと、お前たちもだ!』

アン:「なんだと言われても」

GM:『恐怖はないのか!』と言って、彼は血の海をまた作ります。えーと・・・ディアンか裕人、克服チェック振って。

ディ:オレ、振るね。(コロコロ)20!

一同:おおーっ!

ディ:振り足しします。(コロコロ)19、39! +11です。

アン:おおっ! さすが!

GM:怖さが、一瞬にして吹き飛びました! 目の前にいるのは、ただの化け物です。恐怖の存在ではありません。説明しておくと、克服チェックに失敗すると、魔物は、恐怖度っていうポイントを、掛けるプレイヤー人数分もらうんですね。恐怖度1なら4点。そして、1点でお前は怖くなって逃げる。2点で、お前はダメージを消せなくなる。

裕人:いやーん。

GM:みたいな感じでポイントバイして使うんですよ。でも、克服チェックに成功すると、その力は一切使えません。克服されました。おめでとうございます!(拍手)

ソウジ:やー、ここで決めるのがカッコいいですね。

ディ:ありがとうございます!

GM:うわ、一発かよ。こんなこともあろうかと、バロン・インサイディアが血まみれになる予定もあったんだけど(笑)。

ディ:あ、なるほど、我々が撤退する時間を稼いでくれるんだ。

裕人:っていうか、血の海、消えましたよね?

GM:消えました。所詮、こんなものはこけおどしです。『ならばこうだ!』彼は、何度も何度も指を打ち鳴らして、あちこちの隔壁を開き、レッサー・ヴァンパイアを街に放とうとします。

ディ:!

GM:『このロンドンを、ヴァンパイアの街にしてやる!』下級でも、感染能力を持ってるので。

裕人:あー、なるほどー。

ソウジ:これは、使いどころだな。“知人”で、ユニオンのメンバーを呼びます!

GM:そうするとあちこちから、企業忍者たちが、シュパシュパシュパッ。「呼びましたかマスター!」「いや、ユニオンリーダー!」

ソウジ:「みんな、よく来てくれた」

ディ:「えっ? みんな? ニンジャナンデ?」

裕人:わははははは!

ソウジ:「このブラックの権化とも言える企業の悪事。見過ごしてはユニオンの名が廃る!」

GM:「その通りです!」

ソウジ:「みんな、よろしく頼む!」

GM:「はっ!」「明るい明日のために!」

ソウジ:「そうだ! 我ら忍者労働組合! 定時退社を、明日の光を目指すのだ!」

GM:彼らは一斉にヴァンパイアへ向かっていって、「そうか。可哀想に。・・・もういい! 休め!」(笑)と言って戦い始めます。

アン:『もういい! 有給を取るんだ!』

ディ:『1日ぐらい休んだって大丈夫だ!』

アン:『足りないなら、俺の有給休暇をくれてやる!』

裕人:『柄まで通ったぞ!』

ソウジ:トドメを刺すセリフがおかしい!(笑)

GM:みんな、休みを潰してここに来ました。

ソウジ:振り返って、「あっちは大丈夫だ。俺の同僚がよくやってくれている」

ディ:「ニンジャ・・・同僚?」

ソウジ:「詳しいことは後で話そう。我らは我らの希望のため、こちらの敵をなんとかしないとな」

ディ:「わかった」

裕人:あ、またディアンが、なんとなく流された感が(笑)。

GM:では、クライマックスです!

 
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