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TORGリプレイ

『Be Strong』

第一幕

 
シーン2 奇遇

 
GM:続いて、アン姐さんの導入になります。最終的にはやっぱりドバイへ行くんですけど。

ディ:(写真を見て)ドバイって、すごい観光都市なんだね。

アン:治安めっさ悪いけどね。因みにここ、乞食の年収がサラリーマンを超えてます、確か。

強力:ほうー。

GM:ここの王子は、文武両道を標榜していて、武の祭典と同時に、知の祭典、数学オリンピックの個人版みたいなことをやって、頭の格闘技でも、最強を決めよう、という話になり、その代表選手の護衛をしてくれないか、という依頼が、あなたのところに来ました。

アン:数学の競技ねえ。数字を狙撃の角度にしか使ってないあたしには、縁のない話だが。

GM:話の流れとしては、ドバイに食い込もうとしているニッポン系の企業から、『旅費その他諸々は、勿論こっちで持ちます。観光がてら、来ていただけませんか?』と。

強力:どうせ何事もないだろうし。

アン:まあ、何かあったら、こっちで勝手にするさ。

GM:『ただね、相手は女の子なんですよ』

スレブ:出場者が。

GM:『女の子なもんで、丁度いい人を探してたんです。ほら、前は、人の面倒見る仕事だったんでしょ? 女の子の面倒くらい見れますよね?』ぐらいの雑な振り方されて(笑)。

強力:元従軍看護婦でスナイパーでしょ? 適任じゃね?

アン:こっちとしては、侵略者が絡まなけりゃ別にいいよ。
 

 護衛対象は、フランソワという12歳の少女。
『良くも悪くも天才肌な子なので、面倒かもしれないけどよろしく頼むよ』
 世話人の口ぶりからは、早く話を固めてしまいたい、という内心が窺える。

 待ち合わせ場所は、空港そばのホテルの前。
 しかし、約束の時間になっても、それらしき姿は見当たらない。
 否・・・付近では、小さな少女がベンチに腰掛けて、空を見上げている。
 時折、思い出したように、爪先で何か文字のようなものを書きながら。
 

GM:もしかして、あの子がそうなのかな? 12よりもっと小っちゃく見える。

アン:とは言え、フランソワじゃなくても見捨てるのは寝覚めが悪いので、近づいておこう。

GM:そうすると気づくんですけど、辺りに人の気配が全然しない。時間的にはまだ、お昼前だったはずなのに、フーッと暗くなっていきます。

アン:・・・・・。この演出、すごい見覚えありませんか?

GM:ある。この、今からやりますよ、という感じ!(笑)

アン:じゃあ、暗闇の起点に向かって、ナイフをシュッ!

GM:そうするとですね、パシッ!

ディ:空中で止まった。

GM:ホテルの飾りの上に、マントを着た、ヴァンパイアです! って感じの男が立っていて、ナイフを受け止めます。「レディ。久しぶりですね」

アン:「ああ、あんたか。バロン(*7)」

GM/バロン:「随分と派手なご挨拶ですね。ありがとうございます。声も掛けずに、しばらく貴女を見ていたことは謝ります」

スレブ:ありがとうございます?(笑)

アン:「別に、掛けなくていいんだけどね」って言いながら、フランソワの傍に立つ。

GM:そしたら、フランソワは、「暗くなった。あれ?」って言いながら、何か別のものに目を奪われれたらしくて、また別の、よくわかんない数式みたいのを、延々と。

強力:典型的な天才肌だな。

GM/バロン:「すみません、レディ。そこの、幼いお子さんに少々用がありまして。連れて行かなかなくてはいけないんです」

アン:「ああ、あたしもこの子を守れって言われたんだが」

GM/バロン:「それは丁度いい。お2人をご招待いたしましょう!」

アン:「え?」カチャッ(銃口を向ける)。

GM:カチャッと構えた時に、こっちは一輪のバラを。「どうです?」

アン:・・・・・。

強力:そして進む数式(笑)。

GM:はい。カリカリカリカリカリ。「まあいいでしょう、レディ。今回はご挨拶ということで。後ほど改めて、お伺いします。ご旅行の準備もできていないようですし。このバロン・インサイディアが、貴女のハートをいただきに参ります!」そう言って、スッと去って、“ロマンス”を渡す、と(笑)。

アン:また“ロマンス”が来てしまった!

強力:色恋の面倒事。

GM:そうです。
 

 周囲に人の気配が戻ってくる。フランソワがふと顔を上げる。
「あ、明るくなった。あれ? 強そうなお姉さん」
 

GM:フランス人形みたいな、ふわっふわの巻き毛の、可愛らしい女の子です。着てるのは、制服ナイズされてる服。良くも悪くも、浮世離れしてる印象ですね。

アン:こっちは、簡素な男物の服を着てる。「しばらくあんたのボディガードをするアン・シャーリーだ。何も起きない限りは、目立たない置き物と思ってくれて構わない」

GM/フランソワ:「えっ? 赤毛でアン・シャーリー? 赤毛のアン?」(クスクス笑う)

アン:「ああ。そう呼ばれてるね」

GM:「そうなんだ。すごい!」って言って、「あ、もう時間だ。空港に行かなきゃ」って言いながら、歩き出して、「じゃあ、なになに? 気に食わない男子の頭を石板で割ったりしたの?」(笑)

アン:「さすがに、あたしは物語の中の人間ほど、おてんばじゃなかったからね。ああ、安全靴で蹴ったことならあるな」

GM:「へー! 面白い! お話色々聞かせて!」こうして、アンとフランソワの2人旅が始まるのでございました。

 
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