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TORGリプレイ

『Be Strong』

第一幕

 
GM:突然ですが、皆さんが集まるのは、ドバイ。

強力:(笑)

GM:リアル世界に、お金持ちの石油王が個人的に開いている、武術大会があるんですけど、それをオマージュして、やらせていただきたいと思います。

強力:目突き、急所打ち以外だったら何してもいい、ってやつですね。

スレブ:関取ドバイへ行く(笑)。

GM:味わい深いですね。近くにナイル帝国はありますけど、ここのリアリティはコアアースです。というわけで、改めて導入シーンから参ります。

 
シーン1 狂宴

 
 全天に広がる、美しい星空。
 そこから下に目を移すと、空はスモッグに覆われ、星の光が地上に届くことはない。

 光り輝く尖塔がそびえ立ち、富める者が優雅に佇む。
 一方で、多くの社畜が昼も夜もなく仕事をしている。
 街を行き交う人々は目も合わせず、通りを忙しそうに闊歩している。
 ・・・これがニッポンの首都、東京。
 

GM:画面が変わって、誰かの主観ショットです。どこかの高級クラブに、色んな料理や酒が並んでいて、多分、宴の後だと思うんですけど、随分荒れています。暗く、寝ぼけたような、アルコール臭が漂ってる感じ。そして、目の前に、ひとりの、若いおすもうさんが、頭から血を流して倒れています。

一同:・・・・・。

GM:カメラがパッと切り替わると、そこに立っているのは、右手にビール瓶を持った*6)、強力関。

強力:まだ、状況が把握できていない。右手にはビール瓶。目の前には血まみれの新弟子。

GM:遠くで助けを呼ぶ声がしている。ただあなたは、まるで夢の中にいるみたいな距離感。みんなで酒を飲んでたのは覚えている。

強力:確かあの時、目の前のこいつが、俺に向かって、『強力の時代は終わりなんだよ』って(笑)。

アン:あれー?!

ディ:言ったのか!

GM:そういえば、『これからは俺たちの時代なんだよ!』『なんだとてめぇ!』みたいな、やり取りをしたような気がする。で、よりによってそいつはですね、人が話をしている前で、スマホをいじり始める(笑)。

強力:「おい、何だそれ?」って言った記憶がある。

GM:その時に、ふわっと、目の前が真っ赤になるような感覚を覚えて、気がつくと。

スレブ:『助けてくれー! 角力取りが暴れてるんだー!』

強力:そしたら多分、警察とか来るでしょ。そのまま、時間を淡々と進めちゃっていいんじゃないかな。
 

 警察沙汰の騒ぎはワイドショーや新聞の格好の餌食となり、
 センセーショナルな見出しが、連日紙面を賑わす。
『落ちた強力』『場所中の不祥事! 清廉な横綱の闇!』
 

GM:親方がテレビを消して、「こんなもん見るな」と。ワイドショーとかも結局、やったかやってないか、じゃなくて、ビール瓶を使ったか使ってないか、っていう(笑)、どうでもいい話をしてるわけですね。または、みんなが気を遣ってたか遣ってないか。ニッポンテックの大変腐ったところがよく見える。

スレブ:識者の意見として、『彼は、最後の理性を総動員して、ビール瓶で殴ったんですよ!』(笑)

強力:無責任な連中がね。

GM:『ビール瓶を使ったんだったら、横綱にとって手加減でしょう』

アン:あと、『あの強力関が暴れる? どんな失礼なことを言ったんだ?!』

GM:そんな感じで、あなたは今夜も眠れない。

強力:眠ると、これまで唯一自分が恐れを感じた、兄弟子の技で、心身が追い立てられ、挙句、そこに漬け込むかのように、ニッポンテックからの様々な嫌がらせの結果、外にはマスコミ。内側には自分の恐怖心、手元にはビール瓶。新弟子は目の前でスマホをいじり。

ディ:詰んでるなー。

GM:そんなあなたに、「結局、角力取りが土俵に上がらなかったら、ただのデブじゃないですか」っていう声と共に、誰かが、1枚のチケットを差し出します。「あなたが角力を取れる場所があるんですよ」

一同:・・・・・。

強力:とりあえず、俺はニッポンから離れたいんですよ。もっと言えば、角界から逃げたい、とすら思ってるんですよ。

GM:向こうは言いました。「あなたに、戦いを用意しましょう」

強力:虚ろな目で言います。「俺は角力をやりに行くつもりはねぇんだ。ただ・・・人を殴りたいんだよ」

ディ:(小声で)信じられない。

GM:「ああ、それならよかった。この土俵の上では、人を殺しても許される」

強力:眉根を寄せて、「土俵は嫌だ、って言ってるだろ?」

GM:「失礼しました。『リングの上では』と言い直しましょう」

スレブ:ふむ。

強力:チケットを受け取って、そしたら、絵に描いたような、飛行機が飛ぶエフェクト。

一同:キーーーーーン!

アン:離陸した飛行機を見て、親方が、「・・・遅かったか!」

強力:あ、出掛ける時、彼は、浴衣じゃないんですよ。黒のタンクトップに、迷彩のカーゴパンツ。

ディ:!

GM:あー、はいはいはい。

強力:決定的なのが、髷を解いてます。目元が見えるか見えないかくらいの、ざんばらの髪で、ゆっくり歩いていきます。

スレブ:そこのシーンをすっぱ抜かれる。『横綱、海外逃亡か!』

強力:そうそう(笑)。

GM:ほうー。なるほどね。これはたまりませんね! そうするとあなたは何やかんやで、色んな、疑いをかけられています。サイドストーリーカード、“疑惑”を差し上げます(笑)。

アン:ビール瓶の疑惑。

GM:あとは、角界から逃げたあなたに、八百長疑惑やらその他諸々。

強力:むしろ、一般人も殴ってる可能性がある、ぐらいの荒み方をしてるわけで。『あいつが本気でやったら、積み上がってるのは死体なんだけどな!』っていう風にフォローしてくれる人はいるんだけど。

GM:そしてあなたは、ここドバイで行われる、恐ろしい武術大会に、出場することになったのであった! というところで、お次はスレブ。
 

 女神ラナーラを信奉するエディーノス、スレブ・ラナーラ。
 リビングランドで生を謳歌する彼の前に現れた、人間の一団は、彼にこう問うた。
「あなた、角力を取ってる方ですよね?」
 

アン:腰巻きを指差して、『そのまわしこそ、何よりの証拠!』(笑)

スレブ:「角力取り? 我は、ラナーラ様に祈りを捧げて戦う者だが」

GM:向こうは、アンチョコみたいなのを確認してる。「えーと、角力は神事ですよね、そうですよね?」

スレブ:「うむ。神への祈りを捧げて戦うという意味では、そうだな」

強力:このエディーノス、随分とハイコンテクストな会話ができるなぁ(笑)。

スレブ:多分、部族から離れて生きるにあたり、色々と、知恵がついたんでしょうね。

GM:「じゃあやっぱりこの人で間違いない」「見たところ、まわしもされているみたいですし。常在戦場、ってやつですよね?」

スレブ:常在戦場って言葉だけ拾って、「確かに、我にはいつでも戦える心はある!」

GM:「いつでも戦える? それはすごい!」因みにあなたの横で、あなたにはわかんないけど、テレビカメラでその様子を撮ってて、「・・・使える、使える!」(笑)

スレブ:「お主、随分と重いものを背負っているな」

GM:「ああ、気にせずに、気にせずに」

強力:『トレーニングです!』

スレブ:「トレーニング? なるほど。敬虔な信徒であるのだな!」(笑)

GM:「今回、東洋から、真の角力チャンピオンが、参戦するって話なんですけど。あなたに、真の角力というものを見せてやる、と」

スレブ:真の角力チャンピオンって、何のことだろう? って首を捻るんですけど、角力というものになーんとなく心当たりがあって、そうか、前に会った、別の神への祈りを捧げている、あやつが確か、角力を取っておったな、ということを思い出し、「なるほど。神への祈りを捧げる儀式が、いずこかで行われるということか?」

GM:「そうですそうです」

スレブ:「どこで行われるのだ?」

GM:「ドバイというところなんですけど」

スレブ:「ほう。では行こう!」

GM:話が早い!

強力:キーーーーーン!(笑)

スレブ:「ほう。このドラゴンは、中に乗れるのか。すごいな」

GM:「あー、調教してあるんですよー。どうぞどうぞー」

アン:多分、後日のインタビュー映像で、『スレブ選手はね、二つ返事で引き受けてくれたんですよ!』

GM:『俺は常に戦っている! 俺は最強だ!』みたいな、適当な字幕入れて。

強力:『神はひとりしかいない。そう。俺が信じる神だ!』

GM:勝手な煽りVTRつけられて、流されてるんですよ。『遂にあいつが参戦だ!』

スレブ:下からパンとか、挑発的なカメラワークで。実際は、ラナーラ様について、愛を語ってるだけなんですけど(笑)。

強力:だから、ドバイに到着してみると、周りの選手がめちゃめちゃ怯えてる。エディーノスであるという理由以外に。『あの狂ったトカゲが来た!』

GM:なんかね、途中、齟齬はいっぱいあったんだけど、お互いおかしいな? と思いながら、ここまで来ちゃった。

スレブ:おかしいなー、とは思ってるんですけど、新たな土地で新たな神事ができる。うん、些事だな!(笑)

GM:エディーノスだし、大丈夫大丈夫。騙くらかして連れてきちゃえばこっちのもんだよ。ということで、あなたには“人物誤認”を差し上げます(笑)。

アン:K-1のナレーション的には、『暴れる神の使徒、スレブ・ラナーーーラ!』

GM:うおーーー!(歓声)

 
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