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TORGプレイレポート

『Christmas Carol』

 

Epilogue

 
『じつはね、ヴァージニア。サンタクロースはいるんだ。
 愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといるし、
 愛もサンタクロースも、ぼくらにかがやきをあたえてくれる。』

---出典:Yes, Virginia, there is Santa Claus
http://www.newseum.org/yesvirginia/
 

 12月24日、午前0時。辺りには雪が降り始めた。

 キャプテンが冬木氏に歩み寄った。
「昔みたいに、本を書いたらどうだい?」
「そうですね。今、すごく書きたい気持ちです。皆さんの物語を、私に書かせてください」
「我々は手伝いをしたに過ぎない。本物のサンタクロースは、あなたの息子さんですよ」
 キャプテンは片目をつぶってサムズアップした。でも、幸雄くんの返しの方が一枚上手だった。
「違うよ。だって、みんながサンタクロースじゃないか!」
「はっはっは。こいつは一本取られたな!」

 核ミサイル搭載の空母がコントロールを失ってニッポンへ接近とあって、マスコミは大騒ぎだった。報道ヘリが飛び、私たち「サンタクロース」の姿が、全世界に映像配信された。

「メリークリスマス!」
 冬木親子がカメラに向かって微笑んだ。
 その結果、100億人の人々(*11)の胸に、希望が灯った。100億人の人々が、サンタクロースの存在を信じた。

 サンタランドで療養しているサンタクロースは、信じる気持ちを受け取って、傷を癒し、程なく本来の力を取り戻すだろう。
 しかし、今年のクリスマスには間に合わない。
 だから今夜は、私たちがサンタクロースになるのだ。
 

 と、思っていたのに・・・!
 24日の朝、目を覚ますと、ジェシカはいなかった。枕元に、キスマークのついたカードが残されていた。

『貴女の寝顔、なかなか可愛かったわ。
 でもごめんなさい。私には心に決めた人がいるの。また逢いましょう』

 多分、私は他の人にはとても見せられない顔をしていたと思う。最後の最後まで、ジェシカにはペースを狂わされてばかりだった。
 でも、そうね、また逢いましょう。

 キャプテンは、ロケットレンジャー隊の仲間を招集して、空を飛んでプレゼントを配り歩いたらしい。「サンダー・クロス」なんて、間違った名前の正義の味方と、がっちりスクラムを組んでいるスチル写真を、後で目にした。まったく、男ってバカなんだから。

 カイルさんは、キャプテンとは正反対に、トナカイのルドルフを連れて、ヨーロッパの子どもたちの家を一軒一軒訪ねていったらしい。鎧の上からサンタ服を着ていたから、確かに着ぶくれてちょうどいい体格に見えたかもしれない。

 私は二人みたいな馬鹿げた労力は使わないわ。通販サイトへアクセスし、注文確定ボタンをクリック。これで、ニッポン中の子どもたちの元に、今夜中にプレゼントが届くはずだ。当日お届け便のオプションも使ったんだから、きっちり働いてよね、大阪の倉庫の妖精さん(*12)。

 呼び鈴が鳴った。
「サンタクロースから、お届けものですー」
 えっ? 完全に虚をつかれて、私はドアを開けた。そこには・・・。
 

We wish your Merry Christmas.
 

 限りなく今に近い未来………
 今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

 TORG Play Report『Christmas Carol』 Fin.
 


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