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TORGリプレイ

『CONNECT』

第一幕

 
シーン2 A Hard Day’s Night

 
 香川ソウジ、29歳。職業、企業忍者。
 彼の勤め先は、数あるニッポン企業の中でも特にブラックな労働環境である。
 昼はサラリーマン、夜は工作員。彼は、常日頃から身を粉にして働かされている。
 故に、理不尽な扱いや命令に苦しめられている人を、誰よりも助けたいと思うし、
 理不尽の元凶を許さぬ気持ちは、誰よりも強い。
 

裕人:すげぇ! かっこいい! 超かっこいい!

ソウジ:「話は聞かせてもらった! 君の気持ちはよくわかるぞ!」

GM:「俺だってこんな辛い目に遭ってるんだ!」って、助けてもらう人が、ホントすいません(笑)。僕の方がマシでした。

裕人:もうちょっと頑張ってみようかなって思いました!

ソウジ:前回、サーカス列車のシナリオでは、サーカス団で軽業師として活動していました。とにかくめちゃくちゃ身軽っていうのが、このキャラクターの特徴だと思います。〈回避〉とか〈軽業〉とか、〈武道〉とかが高いです。

GM:そんなソウジさんは、最近、企業忍者の組合(ユニオン)を作って、ブラック企業に権利を訴えたらどうか、って考えています。ニッポンテックにおいては、完全に反逆思想!

裕人:ははははは!

ソウジ:俺たちにだって人権はある! はずだ。

GM:はずだ、って、自信持って言えないのかよ!(笑)

裕人:もっと自信持っていいのよ?

GM:なかなかね、話を聞いてくれる人はいなかったんですよ。でもだんだん、熱意にほだされて、人が集まってきた。

アン:むしろ、世界法則的に、集まりすぎたらやばいんじゃない?

GM:それは、キャラクターにはわかんないことなので。残念ながら、数が集まらないと、力がない。

ソウジ:集まっちゃダメなんですか?

ディ:100人いると必ずひとり裏切る。

ソウジ:あ、なるほどなるほど。

GM:そして、ユニオンのリーダーになるからには、ひとつ、殻を破らなければいけない。今までの奥義のレベルを超えて、免許皆伝を得るための修行に行かなければならない。遂にあなたは、一念発起して、言うわけですよ。「休みください」

一同:(爆笑)

GM:「理由は? 旅行?」

ソウジ:「旅行? しゅぎょ、いや、あの・・・己の研鑽を積むために、その」

アン:研修、研修。

GM:「研修? 意識高いね!(笑)さすが香川くん! 意識高い人には、社内で特典があるから。研修の費用がちゃんと出るから」

ソウジ:「あ、そうなんですか」

GM:って、アホみたいな枚数、書類書かされて(笑)。そんなに金出したくねぇのか(笑)。

ソウジ:「ありがとうございます!」そうか、これだけ書類を書けば、休みがもらえるんだ。

GM:意外と通るんだな。やっぱり、言ってみるもんだな!

裕人:違う!(泣き笑い)

GM:今まで休みなんて口にするのもおこがましかったのに。

ソウジ:「やったぜ、俺はやったぞ! 休みを手に入れたんだ!」

ディ:一周回っておかしすぎる。

GM:そしてあなたは、かつて修行した山に再びこもり、残る2つの試練に挑むことになります。
 

『この門を開ける者は希望を捨てよ』
 そう書かれた山門の先には、開けた空間があり、
 ポツンと、煉瓦がひとつ、置かれている。
 

GM:煉瓦割りの試練。剣の達人になるためには、まず、素手でレンガを割れ。

裕人:ははははは!

GM:うわ、地味。ビックリするほど、地味!(笑)説明、たった一行だからね。『素手で煉瓦を叩き割る』。『これを達成した者は、剣の境地に至るであろう』。剣、使わねーのかよ!

アン:剣術なめてるだろ!

裕人:え? けん、って、拳じゃなくて? ルールブック、バカだな!(笑)

GM:すっげぇ警戒して近づくんですけど、何もない。

ソウジ:「なんて厳かな空間なんだ。あれだけがひとつ、ぽつねんと、真ん中にある」

GM:禅とか盆栽とかの境地。ひとつの器の中に自然を表現している。

ソウジ:なるほど。何もないように見えて、そこには奥深い世界が広がっているのだな。

GM:そして 、現実的な数字が示されるわけですね。〈武道〉で難易度12。

裕人:12って、結構地味じゃないですか?

ディ:いや、達人になることが大変だから。

アン:ここまでが大変だったから。

ソウジ:(コロコロ)5。18引く5、13ですね。

GM:どういう風に割りますかね。

ソウジ:ひとり、悟ったような顔になって、「とうとうここまで来た。この煉瓦を割ることができれば、俺も、剣の達人になれるんだ!」そこで気合を入れて、「ハァァァー!」ってめちゃくちゃ溜めた後に、「せいっ!」

GM:って普通にやったら、普通に割れるんだよね(笑)。あなたは達人だから。

ディ:パリーン。

ソウジ:ちょっと拍子抜けしながら、「俺の力もこれだけ上がったということだろう」と、無理矢理納得させて、「俺が剣匠だ!」
 

 ふっ、と、天から光が射し、最終試練の場への道が示される。
 道の先には、小さなお堂があり、こう書かれている。
『座禅を組み、朝日を眺めよ。自然と己の精神を一体化し、
 朝日の悟りを見出した者のみが、皆伝の奥義を得るであろう』
 

ソウジ:「なるほど。朝日の悟り・・・」脳裏に浮かぶ、今までの数々の、朝。

GM:毎朝毎朝、仕事場のパソコンの前。

ディ:ははははは!

ソウジ:「ああ、今日も、空が綺麗だ」

アン:「おはようございまーす。あれ、香川さん、早いッスね」「うん。昨日からずっといるから」

GM:「ですよねー。知ってましたー」

ソウジ:俺は今まで、この修行をクリアしたら、と思っていたが、実は知らぬ間にもう、悟りを開いていたのでは?

GM:と思った瞬間、《精神力》で振ってみて。難易度13。君のこれまでの人生を鑑みて、振り足ししていいよ(笑)。

ソウジ:ありがとうございます。(コロコロ、コロコロ)24。+8なんで、16です。

GM:・・・そうか、俺はもう、悟っていたのか(笑)。目から光が失われ、死んだ魚のような目になった瞬間。

ソウジ:俺は大地とひとつになり、全ての気配は、自然と一体化した。

GM:・・・来てるのに、出社してないみたいな。

一同:(爆笑)

GM:もしかしてタイムカードの打刻はアレされてる、みたいな? おっと? よくない感じになってきたぞ?

ソウジ:休日出勤の手当がつかない。何故なら出勤していないことになっていたから。

GM:あなたは、隠行の真髄に、触れた。あと、ニッポン企業の闇に(笑)。

ディ:面白すぎるぞマスター!

GM:や、ちょっと面白さを増しとこうと思って。というわけであなたは一皮剥け、奥義を極めたマスター忍者となりました。

ソウジ:死んだ魚のような目ですが、大丈夫です。

GM:マスター忍者手当がつくようになって、残業代がつかなくなったあなたは(笑)、新しい仕事を請けることになりました。
 

 とあるニッポン企業が、フランスの企業と組んで、宇宙開発に乗り出した。
 信じられない数値目標を示しつつ、ロンドン工場の工場長は、自信満々に語った。
「我が社は、工期をクリアする新技術を手に入れました!
 それが実用化した暁には、これは机上の空論ではありません!」
 

アン:新技術。すごいイヤな予感がするねぇ。

GM:宇宙服か何かを開発したのか、よくわかんないけど、この発表で市場も動きまして。

ソウジ:なるほど。

GM:「ということで調べてきてほしい。もし、侵略者と結びつくようなものだったら、実力行使も止むを得ない」って言われて、ストームナイトでもあるあなたは、ロンドンへ向かうことになりました。丁度、ユニオンを率いる立場になりつつあるので、大事な頃合いです。

ソウジ:「この大切な時期に、ユニオンを離れるのは心配ではあるが、この大きな仕事を完遂させれば、何かしら、いい方向に動くかもしれない」

GM:「大丈夫ですよ!」「任せてください!」「よろしくお願いします!」忍者たちが、マスター、マスター、って、すごい慕ってくれて。「ちょっと調べてみたんです。噂によると、現地では、失踪事件がちょこちょこ起きてるらしくて。それこそ、霧の中で不思議な人影に会っていなくなった、とか、不思議な美少女に会ったとか、愚にもつかない話なんですけどね」

ソウジ:「なるほど。危険な任務のようだが、うまく処理できれば、きっとこのユニオンも、力をつけることができるだろう。あとは任せたぞ、お前たち!」

GM:「勿論です!」

ソウジ:「睡眠時間も、最低4時間は取るんだぞ!」

アン:短っ!(笑)

GM:そんな感じで送り出されたあなたは、ロンドンのオフィス街に潜入して、様子を見ています。では〈隠れ身〉いってみよう!

ソウジ:〈隠れ身〉は18スタートです。(コロコロ)あー、出目が低い。6。マイナス5なので、13です。

GM:でも13なら、10%の確率をクリアしているので、普通だったら見つかりません。霧が出てきて、月明かりで、それこそホラー映画みたいだね、とか思っていると、ふっ、と、不思議な影がよぎり、あなたの前に、裏地が赤の黒いマントに身を包んだ、紳士の姿が現れ・・・といったところでシーンを切ります。

 
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