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TORGリプレイ

『CONNECT』

第二幕

 
シーン1 Overcome the terror(承前)

 
「立ち話もなんですから、こちらの部屋を使ってください」
 3人は、警察署の片隅の小さな会議室に通される。小さくつぶやくアン。
「丁度いい。あの会社に戻るのは微妙なところだったんだ」
 

ディ:「オレは、昨夜、闇の者と、ロンドンの街で会った」

ソウジ:「闇の者。それはヴァンパイアか?」

ディ:「(頷いて)あれは、人を操る力を持ち、(声を震わせて)オレなど簡単に殺せる力を持ち・・・! 霧となって消えた」

アン:「正真正銘、オーロシュのヴァンパイアのようだね」

ソウジ:「危険な相手だというのはよくわかったが、本当にそれだけか?」

ディ:「オレの仲間、ユウトが、妹のユミと一緒にいた。ユミは、ヴァンパイアで、ユウトも・・・きっと、ヴァンパイアだ」

一同:・・・・・。

ディ:メールを見せます。トルウィンが脅迫状と評したもの。「ユウトから、手紙が来る時がある。これが、オレに届いた手紙だ」

GM:そしたら、絵が変わってる

ディ:えっ?!

ソウジ:写真の絵が、変わってる?

GM:どこにいるかはわからないけど、今の裕人になってる。

裕人:路地裏を、全力で走ってる。

GM:昨日見たのと違う。全部変わってる。

裕人:すごい笑ってた写真、楽しんでた写真が、悲痛な顔だね。

ディ:「シャシンが、違う・・・!」結構、心折れそうなんだけど。

ソウジ:ニッポンテックの人間は、携帯とかメールとかって見慣れてますか?

GM:勿論です。あなたの場合、「きっと、ハッキングしていじったんだろう。よっぽど腕の立つハッカーが味方にいるんだな」っていう合理的解釈をするんですよ。

ソウジ:なるほど。因みにその発信元を・・・。

GM:逆探知できるはず。〈知識(コンピュータ)〉で判定してみようか(*5)。なければ〈発見〉でいいです。

ソウジ:じゃあ〈発見〉で。「機器は見慣れている。何か調べられるかもしれない」

ディ:「そうか。・・・頼む!」

ソウジ:「一応やってみるが、期待はしないでくれ」(コロコロ)15。+2で〈発見〉15。

GM:そうすると、「ありえない」ことがわかる。まず、このアドレスは世界にひとつしかない。コピーもハッキングもされてないし、タイムスタンプも、変わってない。

ソウジ:つまり、本人が送ったとしか思えない。

GM:思えないけど、人間じゃ撮れない角度から撮ったのも混じってる。どこで撮ってるのこれ?

ソウジ:目を見張って、「な・・・何だこれは」

GM:克服チェック!

ソウジ:(コロコロ)10、振り足し。(コロコロ)12。あんまり振るわなかった。

GM:ゾッとします!

ソウジ:携帯を取り落とします。「何だこれは。ありえない!」

ディ:「大丈夫か、カガワ?」

ソウジ:「ああ、す、すまない、落としてしまって」

アン:これ、本当に写真? 写真とか、メールに見えるだけのものなんじゃない?

GM:はい。メールに見えるだけのものです。

アン:こう言おう。「恐らくだけど、これは写真じゃなくて、あんたが言うヴァンパイアが、原理はわからないが、写真という形にして見せた、そいつの力のひとつだ」

ディ:「ユミの、力・・・」

GM:そう。『私はずーっとお兄ちゃんのそばにいるの。あなたより私の方がずーっと。わかったでしょ?』って意思を感じる。

裕人:まー、確かに1回しか会ったことないしなー。

GM:でも、人生を変える出会いではあったよね。

ソウジ:そもそも、ヴァンパイアは写真に撮れないはずなので。

アン:写真じゃなくて、要は、恐怖の力での念写かなぁ、と。

GM:その通りです。こういう風に解釈していくと、克服値が上がって、ちょっとずつ怖くなくなっていくわけです。基本的に、人間が、よくわからないものに名前をつけたり、理屈をつけるのは、怖いからです。
 

 風で窓が軋む音がする。
 普段なら気に留めないような音に、ディアンは身を竦ませ、窓の外を見る。
 外は、まるで夜のように薄暗い。
 会議室に、重苦しい空気が満ちる。
 

裕人:あ! 太陽出てないんですね。絶対に出ませんね。うわー、すげぇ楽。

ソウジ:携帯を返した後に、考え込むような表情になって、「ディアンが会ったヴァンパイアと、俺たちが会ったヴァンパイア。同じ夜に、こんなことが2件も発生するなんて、偶然というには少し、都合が良すぎる」

アン:「手を組んでいるわけではなさそうだが、あのアホみたいな奴が言ったことが気になる」

GM:『この先にお前たちが隠しているものを見せてもらおうか』。

アン:「しかも、一枚噛ませてもらおう、と。少なくとも今ここで起こっていることの一端を、奴は知ってるんだ。もしかしたら、巽工作機に、何かヴァンパイアに関わることがあるのかもしれない」

ディ:「そういえば、カガワとアンは、何故、タツミにいたんだ?」

アン:「ああ、雇われた」

ソウジ:「俺は、そうだな、新しい就職先を探し・・・て・・・」と、しどろもどろになります(笑)。まさか、忍び込もうと狙ってるところだ、なんて言えない。「いや、えー、観光、観光かな、観光だな」

アン:「中にあるものを守ってくれ、と言われたんだが、どうにもきな臭い。中のものは見せてくれないし、行けない場所はあるし、そして、ヴァンパイア事件も起こっている」

ディ:「タツミが、何を隠しているか、調べられるか?」

アン:「これから調べようと思ってるよ」

ソウジ:「そうだったのか、アン!」と声を上げます。「実は、俺は、とある相手から、巽工作機を調査するように依頼されている」

アン:「ああ。だと思ったよ」

ソウジ:「雇われた狙撃手と聞いて、敵か味方かわからなかったから、濁していたが」

アン:「本来はこんなこと話しちゃいけないんだろうけど、巽工作機が侵略者に力を貸す行為をしてるんだったら話は別だ。あたしは、金のために、こいつ(ライフル)を商売道具にしてるわけじゃない」

ソウジ:「そうだな。少しでも疑うようなことがあって悪かったよ」

GM:おおー。ポンテクの人が言うと、グッとくるねー。

ディ:・・・・・。
 

 温かな思いがディアンの胸に満ちる。
 先程までの怖さは、どこかに消え失せている。
 

ソウジ:「ディアン。あんたはこれからどうやって調査を進めるつもりだ? 裕人という人物を探すのには、当てがあるのか?」

ディ:「昨夜は、この剣の、魔法の力で探した」

ソウジ:「ほう。すごいものがあるんだな」

GM:【トラッカー】の魔法を使えば、探すことはできるかもしれない。が・・・、会って、何ができるのか。

ディ:・・・・・。

裕人:俺のこと、説得できる?(笑)

GM:要するに、結局ほら、同じことになるわけじゃないですか。追う、逃げる。追う、逃げる。

ソウジ:まだ何か材料が足りない。

アン:あ、射程400メートル以内に入れば、〈威嚇〉は可能。「逃げるなら撃つよ!」

裕人:甘い。霧化して〈回避〉します。

GM:お互い、いい勝負だけどね。アンさんは、油断していたとはいえ、マスター忍者を見つけましたからね(笑)。マスター忍者も、いると知っていれば本気で隠れたと思いますけど。

ソウジ:じゃあ、難しい顔で黙ってしまったディアンに、「ともかく、この2つの事件は無関係とは思えない。こちらはこちらで調査を進めるから、互いに連絡を取って、情報交換といこうじゃないか」

アン:「そうだね。少なくとも、ヴァンパイアが関わっているのは明白だ。それを暴くしかないだろう」

ディ:「カガワとアンが会った、ヴァンパイアを、探す当てはあるか?」

GM:多分、夜を待てば、来るはずです。

アン:「バロン・インサイディア。あいつ、あたしを狙って来るんじゃないかな」

ディ:「えっ?!」

アン:「乙女の血がどうのとか言ってた。やだね、勘違いは」

GM:あと、新聞社の動向がおかしい感じはします。

ソウジ:それも伝えましょう。「しかし、この国では、ディアンは相当な有名人なんだな。随分と新聞が騒がしいようだが」

アン:「(タブロイド紙を差し出して)『オーロシュのヴァンパイアに立ち向かうディアン卿!』まるでナイルみたいだね」

裕人:デデーン!

GM:想像図。イメージです。

アン:パラディンディアンのひみつ! ディアンのエクスカリバーが火を噴くぜ!(笑)

GM:すごい、知能指数の低さを感じる。

ソウジ:そのうち目からビームとか出しそうな感じ。捏造されそう。

GM:放っとくとね。回復の奇跡が使えるんでしょ? じゃあビームも出るでしょ! 出ねーよ。

裕人:パラディンビィーーーム!(笑)

ディ:「お、オレはこんなことしない!」

ソウジ:「それなら、顔が利くところへ調べに行ってみるのも、いいんじゃないだろうか」

ディ:「わかった。この記事はおかしいと、新聞社に話をしてくる!」

GM:といったところで、シーンを切ります。カードの調整をしましょう。

ソウジ:“緊急行動”を捨てます。(受け取って)“逃走”。

GM:1枚しかないレアカードです。使う機会は、正直なかなかない。

ディ:最初に場に出すと、必ず逃げられる。敵がオーロシュなので、すごくありがたいです。

ソウジ:へぇー。

GM:これで、どんなにヤバくても、全滅は避けられるんじゃない? になりましたね(笑)。全滅したら、拡散役として、生き残るのはきみだから。

ソウジ:あはは。そうならないように頑張ります。

アン:あれ? “ロマンス”。

裕人:あっ。

GM:それは、自分から望む場合と、望んでないのに惚れられる場合があるので、すいません、ロマンスが生えました。相手はバロンです。

アン:ははははは!

裕人:お前の血をいただくぞ。

GM:お前のがいい!

ディ:お前のじゃなきゃ嫌なの!

ソウジ:いやー、アンさん、モテるなぁ。

アン:ま、いっか。“人物誤認”もあるから、ヴァンパイアになる前に愛した女に似ているか、かつて愛した女に似ているか。

GM:勿論、勝手に彼の世界で似てるって思われてるだけだから、最終的には殴っていいんですけど(笑)。

 
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