Eternal Smile > HOPE 『HOPE』〜世界の中心で愛を叫んだけもの〜 第三幕 渡辺:「龍大人。呪いは俺が引き受けます。ホープ・ダイヤ、俺に譲っていただけませんか」 「なにっ?!」 【オルタード・ファイアボール】の呪文を唱えようとするイリスへ、渡辺は穏やかに語り掛ける。 渡辺:「イリス。俺のような大人になってはいけないよ」 イリス:「それはどうしてですか」 渡辺:「俺の顔は、偽りでできている。俺の名前も経歴も、全て、きみたちが最も嫌う、嘘で固められたものだ」 イリス:「では、それを『本物』にしてしまってください」 渡辺:「やれやれ。これだから女の子は苦手なんだ」 ホープ・ダイヤが、ジルコニアの手を離れ、渡辺の手の中に吸い寄せられる。それと同時に、龍嘉誠に降りかかっていた呪いの力が、一斉にベクトルを変え、渡辺に襲いかからんとする! ジョンは、“モノローグ”を使用し、ジルコニアが使役する水の精霊・火の精霊に、延々と語り掛ける、という奇策に出る。“モノローグ”カードのテキストは、『カッコいい台詞を言っている間、敵は止まって聞いている』。精霊たちは敵(エネミー相当)として扱うことをマスターが明言していたため、大水も大火事も、拡大が止まってしまう。さらに、ジルコニアやサラサ、リヴァイアサンまでもが、敵対行動を止めてジョンの言葉に聞き入る。 ジョン:「さて、ひとりの男がここまでカッコよく決めたんだ。大団円ということにしてくれないかな? もし、それができないのだとしたら、あまりにも無粋ではないか。ましてや、あなたたちは、紳士淑女の類だ。それができないほど、心が小さいとも思えないんだがね」 「・・・・・」 ジョン:「不満があるのならば、彼と同じように、正式に契約を更新して、ホープ・ダイヤの所有権を獲得すればいい」 ジョン:「ジルコニア。あなたはどうだい?」 「き、貴様らなど、リヴァイアサンのブレスで、一撃で死ぬ定めだ! そのように言ったところで、死がほんの少し先に延びるだけ。どれだけ生にしがみつこうとするのだ、この愚か者め!」 ジョン:「タダでは死なん。死なば諸共だ」 「・・・こいつ!」 「彼はヴァンパイアハンター。限りなく死に近づいて、日々を生きている者。あの目は、本気よ」 ジョン:「そして、リヴァイアサンに、あなたと我々を見分けるだけの知性があると思うか?」 「!?」 ジョン:「今日のところは、お前を倒すつもりはない。だから、邪魔をするな」 ジョン:「というわけで、ジルコニア。あなたにはこのパーティ会場から、退場願おう」 「き、貴様に何の権利があって!」 ジョン:「権利? あるさ。私はヴァンパイアハンターだ」 「そうだったわね」 ジョン:「チェックメイトだ」 ジルコニアの身体が、通り名と同様、透明な結晶に変わっていく。パリン! と音がして、結晶が粉々に砕ける。 ジョン:「また、機会を改めて」 「ええ。今日のところは退きましょう。それでは皆さん、ごきげんよう」 ジルコニアの消滅によって制御を失ったリヴァイアサンが、全てを消し飛ばさんと息を吸い込む。イリスのファイアボールが注意を逸らす。ディアンはリヴァイアサンの口の中に飛び込み、シールドで喉を塞いでブレスを逆流させる。パン! という破裂音とともに、リヴァイアサンは絶命する。 渡辺:「なんて・・・ゴリラは優しいんだ」 (→NEXT) "Eternal Smile" Since 2002.02.02 E-mail:charmy_s@mac.com |