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TORGリプレイ

『Limited War』

Epilogue

 
 勇人を会場内に残し、フリオが神崎を探そうとして外に出ると、
 神崎が先にフリオの姿に気づき、階段を駆け上がってくる。
 

神崎:「何事もなかったようですね」と言って、銃を出して渡すかな。

フリオ:「ああ、これを使わなくて済んだのは幸いだよ」

神崎:「株主総会の様子はどうでしたか?」

フリオ:無言で、こう(サムズアップ)、ですな。

神崎:ふぅっと一息ついて、「うまくいってよかった」と言った後、「少し、悲しいことが。嵐王寺くんにこの話をするかどうかはお任せします」

フリオ:「ふむ」

神崎:「秘書の円さんが裏切って、斬らざるを得なかった。強者だったので、手加減できない状態だった」

フリオ:「なるほど」

神崎:「嵐王寺くんは、そういう男だから、彼女が裏切ったとしても、彼女を許し、そして、生かしておくことを望むだろう。ただ、残念ながら、俺にはそこまでできない」

勇人:・・・・・。

フリオ:「わかった。今の話は、私の口から伝えよう」

神崎:「何だかんだ言って、顔見知りを斬ったんだ。今は彼に合わせる顔がない。俺はこのまま、失礼させてもらおう」

GM:では、いつの間にかナポレオンがそばにいるよ。

神崎:ナポレオンの背を、ポンって叩いた後、バイクに乗ろうとすると、ナポレオンがワン、と吠えるんだ。で、バイクを見て、「爆弾か(パシッ)。味な真似を」

勇人:ああー、いいですねー。

神崎:空に投げつけます。そうすると、パーン! と爆発して、祝砲のような音に聞こえる感じです。俺はバイクにまたがって、嵐王寺にあいさつせずに、そのまま走り去ります。

フリオ:それは止めず、ですね。

神崎:因みに、俺のエンディングは、フランスで締めたいので、後でもう1回やらせてもらっていいですか。

GM:わかりました。

イクイリ:その頃、僕は、円くんの亡骸を抱えながら、「うーん、残念だ。きみなら僕を殺してくれると思ったんだがなぁ」と言いながら、去っていきます。

神崎:おおー。

GM:死ねない、って言ってたことと絡めたんですね。

イクイリ:彼女、〈武道〉使えましたよね?

GM:うん。

勇人:霧になった相手も、ぶん殴れる。バーン!(笑)

神崎:変に手加減しようとするとやられると思ったから、全力でやるしかなかった。

勇人:正しい判断です。

神崎:でも、顔は傷つけてない。一撃のフェイントで、彼女の防御ががら空きになった瞬間に、心臓にだけ突き刺して、だから、亡骸は綺麗なままですね。服で血が収まるような状態。彼女の着てる服は、多分赤いと思うんだけど。

イクイリ:白衣が赤く染まるのも気にせず、彼女を抱えてそのまま去っていくよ。

【CAST】ドクター・イクイリブリウム
---マッドサイエンティスト
 

 神崎を見送ったフリオが、ネクロマンサーの少女ネヴァンとの約束を果たすため、
 彼女を呼びに行こうとすると、後ろから声が掛かる。
 

勇人:エリスが、「遅かったじゃないですか、おじさま」

フリオ:「ひとつ、嵐王寺に報告しなければいけないことがあるから、ちょっと待ってくれたまえ」

勇人/エリス:「私も一緒に行く!」

フリオ:お、おう。

GM:あなたの右の裾を、頬を染めたネヴァンが、くいっくいっ、と引っ張ります。「観光、するんでしょ?」

フリオ:「え、えーと、じゃあ、とりあえずみんなで行こうか」

GM:「「!」」

勇人:来た(笑)。

神崎:あー、ダメだ、そんな、一番言っちゃいけない言葉を!

フリオ:でも、多分そう言うに決まってる。

イクイリ:そして、はとバス前に集合。

フリオ:大変なことになったぞ、これは(笑)。ひとまず嵐王寺のところへ行って、神崎からの伝言を、正直に伝えます。で、伝えた後に、「これは私見だが」

勇人:「はい」

フリオ:「彼は、真のサムライとして、やるべきことをやった。彼の判断に、間違いはなかったと思う」

勇人:「そうですね。それに関しては、否やはありません。僕はプロの判断を信じますし、我が親愛なる友であるならば、尚更です。まあ、きっと、そうじゃないかなーと思って、僕も顔を出さなかったので。はい」

神崎:・・・・・。

勇人:「この先、僕がきちんと、僕であり続ければ、またいつか、嵐の中で、出会うこともあるでしょう。ひとつだけ、いいですか? フリオさん」

フリオ:「何かな?」

勇人:「失礼な質問かもしれませんが、復讐というのは、どういうものだと思われますか? 僕のした復讐について、どう思われますか?」

一同:・・・・・。

フリオ:「うーん、そうだな。ある種、復讐は、自分自身の存在意義を求める、最後の場所だと思う。少なくとも、今回幸いだったのは、誰も、きみが悲しむような人が死ななかったことじゃないかな」

勇人:「とはいえ、僕の見えない範囲で傷ついた人、亡くなった人、部下として共に仕事をした人もいます。だから、悲しくないということはありませんよ」

フリオ:「ま、復讐なんてものに、いいことなんて、何ひとつないさ」

勇人:「フリオさんにそう言われては(笑)。ただ、僕は、やってよかったと思っています。復讐は何も生まない。確かにそうかもしれない。胸がスッとした、という人もいるでしょう。それをしなければ先に進めない、という人もいるでしょう。僕は、しなくても先に進むことはできたし、胸がスッとしたわけでもありません。復讐することで、より良いことができると思ったからです」

フリオ:「なるほど。そういうのを、別の言葉でどういう風にいうか、知ってるかい?」

勇人:「(首を振って)浅学にて」

フリオ:「そういうのは、男の喧嘩ってやつだ。復讐じゃあない」

勇人:「(吹き出して)まだまだ僕は子供です。ありがとうございます」

フリオ:「というわけで・・・ここからひとりでズラかれる入り口はないかい?」(笑)

GM:え?!

イクイリ:男子トイレに窓がありましたよ(笑)。

神崎:うまい! それはうまい!

勇人:「実はですね、このニッポンの文化圏には、女人払いの結界がありまして!」

フリオ:「おおーっ!」

勇人:「子会社の件もありますし、本当はゆっくり報酬の話をしたかったのですが」

フリオ:「では、レディたちの観光をひとつ、手配してもらえないか」(笑)

勇人:「承知しました。今度ゆっくり、コーヒーでも、飲ませてください」

フリオ:「いい豆を仕入れておくよ」

勇人:「ありがとうございます」

フリオ:「そうそう、会社の権利関係は、きみんトコに送っておくから。ああいうのは私には似合わない」

勇人:「いつでも、社外取締役で帰ってきてください」

フリオ:「気が向いたらね」

勇人:「あなたの、旅が終わったら。共に何かを、やりましょう」

フリオ:「そうだね。自分の復讐が本当に果たせるなら、その時は、きみのところにまた、厄介になるさ。まあ、その前に呼ばれるかもしれないが」
 

「おじさま、いつになったら戻ってくるのかしら」
「焦ることは、ないわ。・・・そうだ。彼が生きている間は、あなたに譲ってあげる。
 私、骨でも愛せるから」
 階下から女子2人の声が近づいてくる。しかも、なかなかゾッとする内容である。
「おっと。ではお先に失礼するよ」
 

GM:男子トイレの窓から逃げられたらしょうがないなー。

勇人:苦笑しながら、「やはり、この貧乏くじが、僕の居場所かな」そう言って、ドクターを探してみるけど、旅立ってます?

イクイリ:ええ、勿論! とりあえず、辞表というものをきちんと置いて、姿を消しますよ。

勇人:うーん。惜しい見識でした。一礼をして、「ありがとうございました。いつでもおいでください」とつぶやいてから、「さて! 行きますか! 嵐王寺を始めよう!」(笑)

【CAST】フリオ・アルジェント
---復讐の鬼
 

神崎:フランスの教会で、重い扉を開けて、懺悔室に歩いていき、片膝をつきながら、告解をします。「神父様。ひとり、人を殺めました。女です。本来ならば、やるべきことではないのですが、自分の未熟さ故に、そうせざるを得ませんでした。そうでなければ、恐らく、自分が倒れていたでしょう。お許しください」
 

扉がギィと開き、神崎の目の前に、マルセル・バルボーが現れる。
 

神崎:「以前、お前は俺のことが眩しいと言ったが、それは違う。本当に眩しいのは、嵐王寺やフリオのような、帰るべき場所を持つ者だ。恐らく俺もお前も・・・いや、俺は、剣に生き、剣に死すのが、剣術士の役目だと思っている。だから、人を殺すこともあるし、自分がそうなってもいいと思っている。でも、そうなった時のことを考えると、大切なものを作ることが、どことなく不安なんだ。お前の気持ち、今ならわかる」と言って、顔を上げます。

GM:・・・・・。

神崎:「いや、俺は」と言い直したのは、マルセルは、胸の中に、大事な人をもう、持っちゃってるから(*27)。絶対手に入れられないけど。

勇人:そうですね。はい。

GM:マルセルは、あなたの肩に、黙って手を置きます。

神崎:立ち上がって、「ありがとう、相棒。これでスッキリした。じゃあ、戦いに行くとしよう。今度は、俺も味方する」と言って、2人で教会を出て行って、終了です。

【CAST】神崎龍信
---剣術士
 

GM:ではラスト、クッタクタになって帰ってきた勇人。付き合うだけ付き合った。

勇人:はーっ、はーっ。あー、本当に大変だった(笑)。

GM:電話が掛かってきます。

神崎:お、誰だ。

GM:末尾が3327という、見たことのない電話番号です。

勇人:ニヤッと笑って取りますよ。「はい」

GM/??:『この度は、CEOへの返り咲き、誠におめでとうございます』

神崎:あー、そうかそうか。あいつか。

GM/??:『香港の件では、あなたの方が商売が一枚上手でした。浅慮故に、私は大きな損失を被ったわけですが、あれは勉強料だと理解しています』

勇人:「いえいえ。たまたま手札が良かっただけです。ビギナーズラックというやつでしょう」

GM/??:『確かに。残念ながら、私のところには、その手札は来てくれなかった(*28)』

勇人:「・・・・・」

GM/??:『可能性の翼が完成しましたら、是非私も利用させていただきたいものです』

勇人:「ええ。つきましては、前向きに、ビジネスの話でもしましょうか。金輪龍一、金輪産業CEO

GM/金輪:『ありがとうございます。お会いできる日を楽しみにしております』

勇人:「こちらこそ。名前を覚えていただいて光栄です」

GM:電話が切れます。

勇人:「・・・はあっ!(溜息)なべて世は事もなし。さあ、嵐は近いか」

【CAST】嵐王寺勇人
---財閥の総帥
 

GM:ということで、会社をめぐる戦い『Limited War』、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

一同:ありがとうございましたー!(拍手)
 

 限りなく今に近い未来………
 今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

 TORG Replay『Limited War』Fin.

---Thanx a lot for your reading! The value of this war may be unlimited.
 

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