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第四幕

 
　一週間後。

　アメリカ軍が作戦に入る直前、私たちは最後のミッションに挑もうとしていた。

　スカリーの暗躍に気づき、ナイル帝国の悪漢を滅ぼした。
　アーネストをネクロマンサーの呪縛から救い、彼を蘇らせた。

　自由人村の住民は皆、そのことを知っていた。知っていてなお、物語を聞きたがった。
 

　アメリカを代表する人気リポーターのドミニクは、アーネストの偉業を、アーネストに間違われたロザリオマスクの物語を、波乱万丈の戦いの記録を、集まった５万人に軽妙な語り口で伝えた。

　可能性に満ちた物語は、自由人村の住民へ、見事に希望（ポシビリティ）を与えた。
 

　やがて、アメリカ軍の作戦は成功し、スティリーが破壊された。

　嵐が止み、深い霧が晴れた時、５万人の住民たちは、誰ひとり欠けることなく、無事、取り戻された大地（コアアース）に立っていた。

　ミッション・コンプリート。
 

「終わったわね」
「ああ」
「これが貴方の目標なんでしょ？」

　克己が振り向いた。彼がストームナイトという生き方を選び、戦い続けているのは、今回のように、ニッポンの人々に希望を与え、スティリーを抜く、そんな日が来ると信じているから。

「きっと、取り戻せるよ」
　私は克己を励ますつもりで微笑んだ。克己は遠い目をした。

「俺はいつか、ニッポンのハイロードを倒して、ニッポンを元に戻してみせる。それまでは俺に、ついてこい」

　予想外に強気な答えが返ってきた。いつか本当にそんな日が来るって、信じてみたくなった。
　だから、素直にうなずいた。

「・・・はい！」

「でも、あんな恥ずかしいこと、今回限りにしてよね？　何よ、あのポーズ、あのセリフ！」

「大丈夫だマキシム！　カッコよく編集しといてやる！」
　ドミニクが、ビデオカメラを片手に、歯を光らせてニヤッと笑った。
 

　限りなく今に近い未来………
　今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

　TORG Play Report『正しい世界の救い方』 Fin.
 

---Thanx a lot for your reading! That's the right way to save the Earth.
 

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