Eternal Smile > Samurai Overdrive 『Samurai Overdrive!』 限りなく今に近い未来……… Prologue ストームナイトが、アイルの元ハイロード、アンガー・ユーソリオン卿を倒した、 他のハイロードたちの反応は様々だった。 リビングランドのバラク・カーは、深い霧の立ち込める森の中で、ユーソリオンの弱さを嘲笑った。 ナイル帝国のDr.メビウスは、事もなげに言い切った。「私がかつて計算した通りだ。何月何日何時何分、ユーソリオンは倒される、と」 オーロシュにてゴーントマンの留守を預かるテクノデーモン、スラッチェンは、 サイバー教皇ジャン・マルロー1世、彼の行方は杳として知れない。 そして、秘密裏にニッポンへの侵略を成功させた、金輪産業CEO、金輪龍一ことNo.3327は、パレードの映像が流れるスクリーンを一瞥し、一通の封書を手に取った。 「これで、チェスの手がもう一歩進みそうだな」 ―――暗転。 【CAST】
第一幕 細長いテーブルが置かれた会議室の中に、ひとりの男がテレポートしてくる。 仕立ての良いアルマーニのスーツを見事に着こなす、金髪碧眼の英国紳士。 しかし、その瞳には、隠しようのない邪悪な光が漂っている。 男の斜め後ろに、音もなく、黒い肌のエルフの女性が現れる。 「メルキエラですか。随分とお早いお着きで」 「あんたこそ、早いじゃない。サイモン・カー」 メルキエラと呼ばれた女性がローブを脱ぎ捨てると、鍛え上げられた肉体が露わになる。 彼女こそ、闇の軍最強の武道家(モンク)の名を欲しいままにしている人物である。 「ご覧になりますか? 我らが盟主、ユーソリオン卿の最期を」 「ふん、悪趣味だね。そんなものに興味はないよ」 サイモン・カーの掌の上の水晶球が映し出す光景を見て、メルキエラは眉をひそめる。 と、城塞の真上の空が黒雲に包まれ、赤く、巨大な眼が辺りをぎろりと一望する。 次いで、角笛の音が響きわたり、巨大な悪魔が天の階を駆け下りてくる。 「楽しそうな話をしているな、人間ども。 愚かなる指導者を失った貴様等を、俺がこの角笛で導いてやろうか?」 角笛の主ヴォータンの、傲岸不遜な言動も、二人は全く意に介さない。 「あんたも召喚された身なんだから、いい加減、魔界に帰ったらどうなんだい?」 「その辺にしておきましょう。ヴォータン。貴方と、貴方の部下である曠野の狩人たちは、その数無限とも聞きます。 貴方たちに本気で蹂躙されては、この地球そのものが保ちませんよ」 サイモン・カーは薄く笑い、会議室の扉の方を振り返る。 扉が静かに開き、漆黒の鎧に身を包んだ戦士が、室内へと歩を進める。 フルフェイスの兜を帯びており、表情はおろか、性別すら窺い知ることはできない。 闇の戦士は、大きな布袋を無造作に床に降ろす。 袋の口が開き、中から光の軍の兵士たちの生首がいくつも転がり出る。 闇の四天王・・・そう呼ばれる彼らの関心事は、ただひとつ。 次なる盟主は、四人のうち誰か。 「なんだったら、拳に賭けて決めようか?」 メルキエラの挑発を、サイモン・カーは涼しい顔で受け流す。 「焦ることはないでしょう。各々が功績を立てて、他の者に己が盟主だと認めさせればよいだけのことです。 闇の戦士のように、実力を示すのもひとつの手段だと思いますよ。ただ私は、軍師という立場でしたから、 今後もこれまで通り、全体の指揮を執らせていただけると有難いのですが」 「勝手にやるがいい、人間」 「そうね。細かいことはあんたに任せるわ」 ヴォータンとメルキエラの返答を受け、サイモン・カーはにやりと笑う。 「承知しました。では私の案をご説明申し上げます。 まずは、この機に乗じて奪われた、闇のエリアを取り戻すのが第一ですね。そして、次に重要なのは・・・」 彼がぱちり、と指を鳴らすと、ユーソリオンを倒した者たちを筆頭に、 数多くのストームナイトの写真が宙に浮かび上がり、メリーゴーランドのように回転する。 「彼らの首をどれだけ狩れるか、ではないですか?」 メルキエラが身を乗り出し、ヴォータンは低いうなり声を上げる。 「いかに我々がユーソリオン卿を失ったばかりとはいえ、いつまでもなめられたままでは困ります」 「あんたの言う通りだ。ごあいさつをしなければねぇ」 "Eternal Smile" Since 2002.02.02 E-mail:charmy_s@mac.com |