Eternal Smile > Be Strong 『Be Strong』第三幕
強力:あのね、プールで仰向けに浮いてる。 GM:宇宙に浮いてる感じですか。 強力:そう。出たい人はどうぞ。 ディ:「ストロング。ここにいたか」 強力:「ああ、ディアンか」 ディ:「何が見える? そこから」 強力:「天井だ」 ディ:・・・・・。 強力:「心配して来てくれたんだろう?」 ディ:「ストロングから聞かれたことに、まだ答えていなかったから」 強力:「何だったかな」 ディ:「強さとは何か。オレは、強さとは、乗り越えることだと思う」 強力:「ふむ」 ディ:「オレの今までの行い。うまくいかなくて、悔しかったこと。どんなに当たっても倒れない相手。だからオレも、もっと強くなりたい」 強力:「何故それで、強さを高めなくてはならない?」 ディ:「譲れないものがあるからだ。オレは、オレの手に届く全てのものを守りたい」 強力:「・・・・・」チャポン、と姿勢を変えて、プールから上がってきます。「気づいたことがある。俺はもう充分に強くなった。その上で、不要な強さを求めすぎたんだ」 ディ:?? 強力:「あー、わかりにくかったか。(すごく優しい口調で)俺は、角力取りであろうとした。横綱であろうとした。お前のところの言い方だとチャンピオン。部族の長(おさ)」 ディ:・・・・・。 強力:「だけどな、俺はそんなことをしなくても角力取りで横綱だったんだよ。余計なものを背負いすぎていた。だから俺はもう強くならない。当てもなく強くなることはない」 ディ:「なら、何を目指す?」 強力:「何も目指さなくていいんだ。何も目指さなくても世界はここにあるし、俺はここにいる」 スレブ:・・・・・。 強力:「あるがままを受ける。あるがままを返す。必要な分だけの力を持って、先に進む。どうした? 何か、信じられないものを見るような顔をしているぞ」 ディ:「(息をついて)ストロングは、いつまでも、オレの、先を行く、兄のようだ」 強力:「そんな大したものじゃない。もっとお前には見るべきものがあるだろう」
強力:見るとですね、筋肉の感じが変わってるんですよ。ゴツゴツした筋肉から、カモシカのような筋肉になっている。 スレブ:しなやかー、な。 強力:「これに気がついてから、苛立ちも怯えも何もなくなった。目の前のものを受け入れて、もはや立ち向かう必要もない。そう在るようにすればいい。・・・俺は、帰ったら角力を廃業する」 ディ:「! やめる、のか」 強力:「ああ。俺にとっての角力は、廃業しても、どこに行っても、どのような生き方を選んでも、もはや、俺から離れることはない。俺は、角力取りになれたんだ。たった今」 ディ:「・・・すまない。ストロングの話は、オレには少し、難しい」 強力:「いつか気づくだろう。お前が何も考えなくても、周りの者を守れるようになり、何も考えなくても騎士として振る舞えるようになる。その時がいつか来るだろう。俺は、そこに今、やっとたどり着けたんだ」 ディ:「そうか」 強力:と言って、おもむろに洗面台へ行き、カミソリでヒゲを、ちゃっちゃかちゃっちゃか剃り始めて、「やはりこちらの方がいいな」 ディ:支度が終わるまで、黙って待っています。 強力:「手伝って欲しいことがある。やり方は教える。俺の、髷を結ってくれ」 ディ:! アン:おおー。 GM:いいですねー。 ディ:「こ、こうか?」髷を結う判定って、技能は何でしょうね。 GM:〈芸術〉とかですかね(笑)。 強力:まぁ、事細かに説明するんで、判定は不要だと思います。 GM:時間は掛かったかもしれないけど、綺麗に結えました。 強力:「さすがにこれがなければ、格好がつかないからな」よく知っている強力の姿になります。 ディ:「長い髪だな。それだけ長い年月、ストロングは、角力を取ってきた」 強力:「ああ。だがそれも今日で終わる。俺はもう角力を取ることもない。俺がやることが角力なんだ」
強力:全ての支度が終わってから、ふうー、と溜息をつき、「お前に言っておきたいことがある。お前は、そうあろうとしなくても、既に騎士だ」 ディ:! 強力:「騎士であろうとして、必要以上に何かを求めて、手から何かをこぼすことのないように。・・・俺がそうしてしまったように」 ディ:・・・・・。 強力:と言って、一度、四股を踏みます。それは、完璧な四股です。 GM:美しい所作でした。 強力:前に見た時の四股は、地面を踏み締めるものだったんだけど、揺れが全くない。 スレブ:ストン。 ディ:「大地に気を、戻さなくて、いいのか?」 強力:「その必要もない。俺がここにいるだけで、それは為されている」 ディ:「ストームナイト・ストロング! 頼みがある」 強力:「何だ」 ディ:「角力に勝って、世界を救ってくれ」 強力:「何も心配は要らない。結果的にそうなる」と言って、綺麗な所作で、戦場へ向かっていきます。 スレブ:じゃあ、綺麗な四股によって、神の気を感じたのか、後ろからスッと現れます。「高い山が戻ってきた・・・! 我が挑戦したかったのは、あの山だ!」 GM:要するに、横綱とは神の依代であり、現世に降りた神そのものである、というのが、ただのお題目ではないと、今ここに証明されたわけです。 アン:あれですね。神が棲まうもの、おすもうさん。力そのもの、力士。 強力:そう。 GM:これは、彼の精神性が高まっていることも勿論ありますし、儀式に向けて、信仰アクシオムが高まっている、という現実もあります。 強力:色々複雑なものが絡み合ってる。 ディ:空気が研ぎ澄まされてきた、と、オレも感じるだろうな。 スレブ:輝きし、白き頂だ! "Eternal Smile" Since 2002.02.02 E-mail:charmy_s@mac.com |