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TORGリプレイ

『Be Alive』

第二幕

 
シーン4 Malice in the Mist

 
 背後で歓声が沸き起こる。胸躍る名勝負が繰り広げられたことを察しつつ、
 マンジマルはひとりジャングルへと向かう。
 

マンジマル:空気が変わったのは解るでしょうから、それはそれでよし。ただ、ナイルの人間としては、やっぱりちょっと引っかかってる。果たしてこれが、真の正義を求める戦いなのかどうか。

GM:うんうん。なるほどね。

マンジマル:やろうとしているのは、初っ端の恐竜との遭遇で、彼らが逃げ去った後を追って行っての、敵情視察。一応リアリティ・バブルは張ります。

GM:さすがです。(裕人に)リアリティ・バブルってのは、1ポシビリティ使うと張れる、バリアみたいなもので、張っておけば1を振ってもリンクは切れません。特に今回は、自分の能力を世界に依存していて、リンク切れちゃうと能力が使えなくなる人たちばっかりなんですよ。

マンジマル:当然ながら忍者走りで。

GM:しゅたたたたた。足跡は、ジャングルまで続いています。つまり、リビングランドです。ここから先は、純正エリアになります。

強力:純正エリア怖い。

マンジマル:少し忍んで行こうか。

GM:隠れるものは山ほどあるので、余程目が悪くなければ大丈夫な気がします。

マンジマル:奥義・仮隠形。+3のボーナスがある状態で、〈隠れ身〉。(コロコロ)低いな。一応ポシを使っておこう。(コロコロ)+6で、ボーナスが+3ついて、24。

GM:ではもう完全に、霧に隠れています。リビングランドの霧は、とても濃い霧で、実際に物がはっきり見えるレベルは、10メートルが限界で、それ以上だと霞んじゃってよく解りません。あなた自身の視界もやっぱり10メートル程度しかないので、ちゃんと見ようとしたら、相当近づかないといけない、というリスクがあります。

マンジマル:了解。

ディアン:直前まで気づかないですよね。視界10メートルの霧なんて。

GM:はい。ほとんど会ったらばったり、の距離ですよ。で、進んでいくと、偽装された、ナイル帝国の基地みたいなものが、ジャングルの中にあるのが見えます。

裕人:ナイルの基地?

GM:多分、ハードポイントか護符を使っているんでしょうけど、軍事工場というか、前線基地というか、そんな感じの趣です。何か大きなものを作っているようです。

強力:ナイルのヴィランの基地でしょ? 正直な感想を言うね。悪そうー!(笑)

GM:無駄にとげとげしい。これ隠す気あるのかな? って、若干思われます。

マンジマル:警備兵は人相悪いよね。

GM:勿論。ショックトルーパーって呼ばれてる、ナイルの一般兵です。基本、砂漠を半裸で動いてるんですけど、ここはジャングルで、あっついんで丁度いい。そいつらが、マシンガン持って、歩哨に立っています。

マンジマル:ススッと近寄ってみようかな。

GM:完全に、見咎められることもなく、近づくことができます。仮隠形なので、目の前にいても気づかれないレベルです。基地に入ると、ナイル帝国優勢エリアになります。

マンジマル:パッと見て、長年の経験で、怪しげな、明らかにこれは幹部クラスが使ってるテントだ、というのはすぐ解ると思うので、そこに行きます。

GM:あ、すぐ解ります!

強力:ナイルの幹部の天幕でしょ? 超、解りやすい(笑)。

マンジマル:お約束で、天幕の上に忍ぼう。音もなくスタッと。

GM:そうすると、下の声が聞こえてきます。「んっとねー、ナタティリはねー」

ディアン:ぐわぁ!

GM:最年少の女の子。ナタティリっていう、小悪魔系女子です。

裕人:ふーん。小悪魔は嫌いだなー。

GM:元々奴隷で、提督の愛人だったんですけど、そいつをザックリ殺って、提督の地位を乗っ取った。それ以降は、自分の魅力で人を籠絡させて、成り上がる、っていうのが基本パターンです。

強力:ヴィランサークルの姫(笑)。

マンジマル:まあ、面倒くさいタイプですね。

GM:「ねー、ネテルー」もうひとり、肉体派の若き野心家、ネテル提督ってのがいて、そっちに話し掛けています。

強力:あー、引っかかりそうー。

GM:完全におねだり口調で、「今回の作戦、『あれ』、使ってみたら? きっとファラオは喜ぶと思うなー」「『あれ』とは何だ」「えっ? もうー、とぼけちゃってー!」
 

 天幕の横から、カモフラージュされた通路が巨大なドックの方に伸びている。
 ナタティリはネテルを連れてドックに向かう。勿論マンジマルも後に続く。
 

GM/ナタティリ:「ここって、リアリティ爆弾を使わないと、ナイル帝国のものが使えない、うざいところじゃない? 汗臭くてむっさくて気持ち悪い人たちもいるしー。あ、あなたは違うわよねー」

ディアン:うぜぇ。殴りてぇ。

裕人:う、うわー。

GM/ナタティリ:「でもあいつら、生きてるものだったら使ってもいい、とか色々言ってるから、考えたの! 上からバーッと爆弾をばら撒けるように、樹を使って、空飛ぶ船を作ってみましたー♪」

一同:!

GM:樹を、〈マッドサイエンス〉でいじってみました! 生きている飛空艇だから、リビングランドでも飛べるよね?

強力:さすがにとんでもねぇな。ナイル幹部。

マンジマル:なんというギズモ。

GM:リビングランド以外だと、どこで使うの? いや、別に使う予定ねぇし。

マンジマル:因みに、寸法的には?

GM:寸法的には戦艦クラスですね。

強力:ふふふふふ!(笑)

マンジマル:ってことは、200〜300メートル。

強力:いいよ、いいよ。その技術があれば、もっと根本的な解決、取れたんじゃないか?

GM:俺もそう思う!(笑)無駄なコスト!

強力:ナイルの悪役は、こうでないと!

マンジマル:様式美にこだわってる。まぁ、わからんでもないが。

GM:すーっと、意味もなくパーソナルスペースに入り込んで、意味もなくボディタッチをして、意味もなく耳元で囁くんですけど。「この船をあなたが率いて、わーって攻め込んだら、大武勲よね? 西の地がわーって、あなた色に染まるのって、見たいと思わない?」

強力:絶対この女、この船の実験がしたいだけだ(笑)。

GM:ネテルさんは、一線を図りながらも、まんざらでもないという様子ですかね。

マンジマル:すっかり籠絡されてるっぽい。あかんやつやー。

裕人:手玉に取られてるー。女って怖ぇー。

GM:リアリティ爆弾は、ほぼ作成完了。あとは積み込みをして、ばーっと上からばら撒いてしまえば、ね。トカゲたちも銃で撃てば、死ぬし(笑)。

マンジマル:う、うん。

GM:リビングランドなら、奇跡ですぐ治っちゃったりするけど、ナイルになっちゃえば、そうはいかないし。雑な作戦ではありますけど、うまくいけば強い。

強力:決まったら終わりですね。

GM:あとは悠々と、スティリーを打ち込んで、ナイル帝国できあがり、という算段です。ただし、一応この人たちは「帝国」で、ちゃんと軍事的に動くので、船が飛んで、爆弾を落として、リアリティが塗り変わるまでは動けません。作戦行動が取れないし、機械が使えないから。

裕人:そうですね。

GM:現状まだ、武器の据え付けだの、弾薬の補充だのをやっているので、飛べる状況ではないようです。

マンジマル:とりあえず、リアリティ爆弾の保管庫だけはチェックしておくかな。

GM:そうすると、ショックトルーパーから報告があります。「ナタティリ様、ナタティリ様」「なーに。今忙しいんだけど」「地球人の奴隷がまた何人も倒れて、作業が進んでないんです」「替えればいいじゃん」

マンジマル:お、おう。

GM/ナタティリ:「使えない奴は使わなくていいよ。ねー、ネテルー♪」

マンジマル:なんというブラック企業。

GM:「え、言うこと聞かない? しょうがないなー」って言って、苦しんでる人たちのところに行って、はい、【チャーム】!(コロコロ)「ナタティリのために働きたくなってきた? なってきた! よかったー!」(笑)

ディアン:“ロマンス”の相手がこれって、きっついな。

GM:選択肢のひとつ。性別女子ではありますからね。

マンジマル:どう矯正するか、考えておこう(笑)。

強力:逆に言えば、この女をたらしこめるんだったら、かなりクリティカルな、作戦へのカウンターには、なる。

GM:で、血を吐いて、倒れそうになってる人には、「【ヒーリング】の奇跡とかできるんだよねー? もうちょっと頑張ってるトコ見たいなー! はい、頑張って♪ 頑張って♪」(手拍子)

ディアン:すごいね。今まで見た中で、一番殺意を覚えるヒロインだ。

強力:わかりやすいわかりやすい。さすがナイルだ。

マンジマル:静かに見て、心の中で怒りを溜めています。

GM:ということで、奴隷たちに木の箱を運ばせているので、多分あの中に、リアリティ爆弾が入ってるんだな、というのは想像がつきます。〈マッドサイエンス〉技能って持ってます?

マンジマル:ない! だから、塩梅はわからない。ただ、少なくとも、あの飛空挺で、空から撒かれたら、かなりの被害が出るのは間違いなかろう。

GM:〈発見〉で振ってみてください。

マンジマル:〈発見〉はないので《知覚》ですね。よっ!(コロコロ)一応ポシを使っておこう。(コロコロ)24。《知覚》18。

GM:そうすると、ネテルが今、作戦遂行前にチェックしようとして、机の上に広げている、機密扱いの書類、彼らが把握している、人間の居住地とか、その辺が見えます。

マンジマル:ああ、いわゆる地図か。

GM:はい。ナイル帝国は、これを見ながら、実際にどこに兵を配置するとか、どこにスティリーを置くとか考えているので、これが手に入ると、逃がすべき対象がどこにいるかが解ります。

マンジマル:なるほどね。持ち出すのは無理そうなので、覚える、しかないですよねー。

強力:スマートフォンとかがあれば便利だったんだけども、多分、シャッター音で、ぴろりん♪ 誰だ?(笑)

GM:あと、恐ろしいことに、要所要所ヒエログリフで書かれています。

強力:ははははは! めんどくせーな。

GM:TORGの言語に関する技能は、〈語学〉、〈ヒエログリフ〉! この2つだけ!(笑)〈ヒエログリフ〉は専門技能だから、読めない。でも、大体のことは解る。

マンジマル:地図に印は付いているから、NPCのところに覚えて帰って、そこを手掛かりにしてもらう、って形ですかね。

GM:ということで、記憶するのであれば、《知力》かな。高ければ高いほど、正確に再現できます。

マンジマル:《知力》は9。(コロコロ)これも頑張ろう。もう1ポシ。(コロコロ)27。+9だから、18。

GM:こっちはネテルが、あなたを〈発見〉できるかどうか。(コロコロ)ポシを使います。(コロコロ)32。+10だけど、〈隠れ身〉24だもんね。無理だ、21。

マンジマル:よかった。

GM/ネテル:「ん? なんだ、恐竜か」(笑)

裕人:ぎゃおー。

GM:「ねー、ネテルー」って呼ばれて、「ん、何だ?」

マンジマル:また来たか面倒臭い奴! では、夜陰に、姿を消して、再び霧の中へと。

GM:戻っていきました。多分、最低限必要な情報は得られたと思います。

 
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