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TORGリプレイ

『Be Alive』

第二幕

 
シーン5 Gray Area

 
 マンジマルがレジスタンス村に戻ったのは、宴が終わろうとする頃だった。
 今度は姿を隠さず、白い忍者装束でスタスタと歩く。
 

裕人:「あっ、マンジマルさんだ」

ディアン:「マンジマル。どこに、いた?」

マンジマル:「少し、野暮用でな。丁度いい。今から、あやめのところに話をしに行く。君たちにもできれば一緒に聞いてほしい」

裕人:てこてこ、ついて行きます。

ディアン:ストロングは来る?

強力:ああ、来る来る。

GM/あやめ:「何か、お解りになったのですか?」

マンジマル:「単刀直入に言おう。奴らの前線基地を見てきた」

強力:「奴ら、とは?」

マンジマル:「我が宿敵、メビウスの手の者だ」

ディアン:「そうか。それで、姿が見えなかったのか」

マンジマル:「奴らは、とんでもないものを隠し玉にしていた」
 

 マンジマルの説明に、一同は少しずつ違った反応を示す。
 

ディアン:「飛空艇・・・。空を飛ぶ魔法を掛けた船か」

裕人:「ゲームみたいだ。うわ、スッゲー」

強力:強力は、きょとんとした顔をしている。

GM:あやめさんは、ナイル帝国のやることだから、ツッコんでたらキリがない、って顔をしている(笑)。

マンジマル:「奴らは、テラ(*17)のリアリティを、この地に作るつもりだ。そうすれば、拙者にとってはいい世界かもしれない。だが、多くの者が、その姿を消すことになるだろう」

裕人:「それはいただけないですねー」

マンジマル:この辺りの地図を、見せてもらって、自分の記憶したところに、印をつけていく。「残念ながら、暗号を使っていたので、詳しくは解らないが、恐らく、ここを襲うつもりなのだろう。この場所が何か解るか?」

GM/あやめ:「生き残りの人々がいるエリアが多いようだと、判断がつきます。あとは、バラク・カーの部族のいる辺りも、含まれているのでしょうけど」

マンジマル:「もし、奴らの作戦が成功したら、さすがの我々でも、太刀打ちはできないかもしれん。拙者はこう思う。先手必勝だ」

強力:にたり、と笑います。

ディアン:「どういう意味だ? 飛空艇が飛ぶ前に、オレたちは何をする?」

マンジマル:「簡単なことだ。あの船を、飛ばさなければいい。少なくともそれによって、奴らの野望の多くは潰える。その上で、リアリティ爆弾を処分すればいい。もし船が飛んでしまったら、俺たちは、沢山の人質を抱えた状態で、相対しなければならない」

GM/あやめ:・・・・・。

ディアン:「マンジマルの言う通りだ。これだけ数が多ければ、オレたちが四手に分かれても、連れ出すには、時間が足りないだろう」

マンジマル:「少なくとも、奴らは、卑怯な形で、我々に挑んできている。だが我々は、正義を持ってこれを為す。これは、正々堂々たる戦いである!」

強力:裕人に向かって声を掛けよう。「裕人。確実に、悪い方向に話は転がっている。恐らくお前が、当初想像していたより、きつい戦いになるぞ」

裕人:「別に、俺はそれでも、構わないけどな」

強力:・・・若干心配そうな顔をする(笑)。

裕人:実は、相島裕人くん、面白いことがあればいいや、という考え方なので、楽観的なのです。どれだけ深刻なのかを、解っていない状況。「つまり、船を、止めさえすれば、いいんだよね」

ディアン:「船を止めるには、どうすればいい?」

マンジマル:「簡単なことだ。この手で壊すんだ!」

GM:きたよ。

強力:「ああ、それが一番早いだろうな」

GM/あやめ:「なるほど。ただ、こちらとしては、あの船は、できれば破壊しないでいただきたい」

ディアン:「何故だ?」

GM/あやめ:「勿論、使わせてほしいからに決まっています」

マンジマル:ああー、火士ハッカー的には。

ディアン:「ダメだ!」

GM/あやめ:「異なことをおっしゃいますね。道具に善悪はありません」

ディアン:「使う者の心次第だ、とでも言いたいのか」

GM/あやめ:「ええ」

ディアン:「あやめは、それを使って、何をしようとしている?」

GM/あやめ:「私の目的は、先程申し上げた通りです」

ディアン:「ユキを、王にするために、悪の道具を使うことを、オレは許さない」

強力:ああ、それは、口を開くな。「ディアン。悪の道具とは何だ?」その上で、あやめが何か言おうとするのを、一度手で制します。

ディアン:「リアリティ爆弾のことだ」

強力:穏やかに言います。「悪というものは、俺は心の弱さから生まれると思っている。怯えであったり、あれが欲しい、これが欲しいっていう、欲望。そういったものが切り離せないから悪は生まれるんだ。あやめの言う通り、道具に心はない。悪が善に変わる。そういった瞬間をディアン、お前もこれまで、見てきたんじゃないのか?」

ディアン:・・・・・。

マンジマル:敢えて割って入ろう。「強力の言っていることは確かに解る。だが、あれは道具ではない。ギズモだ。この地球には、あってはならないものだ」

強力:えっと、世界観的な補足をお願いします。

GM:ギズモは異世界の産物である、という意味です。やっぱり、善悪はない。例えば、心を持つロボットみたいなものだと話は変わってくるんですけど、基本的には純粋な道具です。

マンジマル:テラでは、普通に使われてるものですけど、この地球には本来ないものなので。

強力:なるほどね。なら、俺はこれを言って、引っ込むかな。「さて、ひとつ確認しておきたいことがある」

GM/あやめ:「何でしょう?」

強力:「仮に、船を奪えたとしよう。当然、再度奪われることもある。守るためには、力を割かなければならない。承知の上で喋ってるんだよな?」

GM/あやめ:「ええ、勿論」

マンジマル:まあ、そう言うだろうなぁ。

GM/あやめ:「私たちが使うかどうかは、また別の話です。平たいことを言えば、売り払ってもいいですし」

裕人:あやめに訊きます。「依頼内容に、船を奪うことは入ってますか?」

GM/あやめ:「そうですね、報酬の増加が必要であれば」

裕人:「では、増加をお願いします♪」

GM/あやめ:「解りました」

強力:「お前さん、代案はあるのかね」

GM/あやめ:「それはむしろ、私が訊きたいところです。否や否やとおっしゃいますが、兵は寡兵、状況は劣悪。逆境と一言で収めるには、なかなか、にわかに頷き難い状況です。そこに転がり込んだ、一発逆転のチャンス。それをふいになさるからには、代案がおありなのでしょうね?」
 

 リビングランドでも、何ら制限を受けずに飛べる船。
 あやめはこれを使って広範囲にリアリティ爆弾をばら撒き、劣勢を覆そうと考えている。
 しかし、今すぐナイル帝国のリアリティが上書きされた場合、
 取り残された多くの人々が、死ぬ。
 連れ出すには、人手も時間も足りない。
 

強力:交通整理しまーす。船は残してほしいと言うのであれば、それはそれでいいと思うのですが、ならば奴らをどうやって仕留める? こちらからは、船を壊して、ばら撒く手段を食い止めれば、リアリティ爆弾が拡散するのを防げるだろうという算段を出しました。でも、船は残してくれ、となると、それ以外に、リアリティ爆弾を止めるにはどうすればいい?

GM:飛ばさないのは結構ですよ。別に、壊さなくてもできるでしょ。相手が敗走、もしくは侵攻を諦めるのであれば、あれは持っては行けないだろうし。

裕人:ほほーう。

強力:じゃあ、極端な話、エンジンキー抜いて、遥か彼方に吹っ飛ばす、でいいの?

GM:はい。二度と使えない状態にされると、ちょっと勿体なさすぎる、って言ってる。

裕人:仕方ありませんね。

GM/あやめ:「策を講じるためには、一時的にナイル帝国に変わっていただいても全然構わない、と私は思っています。向こうの争いに横から割って入って、逆転を決めたい。そのために、被害が出ないよう、人々を避難させてください、というのは、最初の依頼に入っています(*18)」

ディアン:・・・・・。

GM:道具に善悪があるという考えは、あやめさんにはないです。別に、誰が剣を振るおうが、それは使い手と使い道の問題であって、誰が剣を作ったかは問題ではないでしょ?

裕人:そこは自分も同意なんだよなー。

GM:あと、メタ的なことを言いますと、ナイル帝国のリアリティは、ヒーロー有利です。なので、一発逆転を狙うんだったら、よく解んない原始世界よりは、ナイル帝国にしちゃった方が、逆転の目はあります。

マンジマル:そうなんだよなー。確かに。

ディアン:・・・・・。

強力:GM。3分だけ時間ください。ディアンをちょっと外に連れ出します。

 
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