TORGリプレイ

『逃げてきた黒天使』

 

第一幕:天使の怖れ

 
シーン2 再会・彼の場合
 

東京都心の一等地、「二十世紀財閥」本社ビル最上階。
兵器関連事業を端緒に、他業種へも進出し一代で財を築き上げた
財閥の若き総帥、伴稼頭姫(ばん・かずき)は、
ストームナイト6人が揃うのを待って、話を始める。
 

GM:因みにマッコイにとって、「二十世紀財閥」は、馴染みの仕入れ先だったりします。

マッコイ:質問。ラウル・ブロック(注:反金輪の企業連合)には所属してるんですか?

GM:してませんけど、彼女自身もストームナイトですので、信用していいです。「さて。本日私が依頼したいのは、産業スパイの特定だ」

マッコイ:「おやおや。穏やかではありませんな」

GM/稼頭姫:「我がグループのとある企業から、何者かが機密情報を盗み出した」

エリオット:「それはいけませんね」

マッコイ:「やはり軍事関係でしょうか?」

GM/稼頭姫:「詳細はな、できればこの依頼を受けてくれると約束してもらってから話したいのだ。お前たちを信用していないわけではないのだが、ここはニッポンだ。リスクはできるだけ小さくしたい」

マッコイ:「ふむ。仰る通りですな」

シュア:「質問! 内々で処理せずにどうして僕たちみたいなストームナイトに依頼するのですか?」

GM/稼頭姫:「内部で調べ上げるのは難しそうだからだ」

エリオット:「それは、その産業スパイが、他のコズムの関係者と思われるからですか? それとも、あまり言いたくはないんですが、貴女の会社の中に内通者がいて、秘密裏に捕まえたいというのが、本音なんですか?」

GM/稼頭姫:「その問いの回答は後者だ。残念ながら、内通者がいるという疑いは拭えない。何せここはニッポンだからな。もし請けてくれるのであれば、お前たちの拘束時間1時間につき6千円。加えて、(マッコイの方を向き)未払金の帳消しを考えよう」

シュア:「(小声で)先輩先輩。いっつも思うんですけど、生々しいですよね」(笑)

マッコイ:「もう慣れたさ(笑)。まぁ、私はいつもお世話になってますし、仕事を請けるのは、やぶさかではないんですがね」

エリオット:「そうですね、泥棒は良くないことです。僕も、この依頼を受けても構いませんよ。皆さんはどうですか?」

セバス:「まあいいだろう」

シュア:「ストームナイトの、総帥さんからのお願いだし」

GM/稼頭姫:「・・・すまぬな」

エリオット:「ところで、その機密ってのはどんな大金庫に?」頭の中には、すごく警戒の厳重な大金庫があって、怪盗がやって来るって図が。

シュア:こいつのことだから、絶対ナイルっぽい怪盗が盗んだと思ってるんだろうな(笑)。

GM/稼頭姫:「残念ながら今回奪われた機密情報は、君の想像しているような『金庫の中に厳重に保管された書類』という形とは趣が違う」

エリオット:「違うんですか?」
 

それには答えず、稼頭姫は壁側に振り向いてリモコンを操作する。
と、スクリーン、プロジェクタ、ブラインドが降りて室内が暗くなる。
 

GM/稼頭姫:「具体的な話に入る。被害に遭った企業は、ロボットの開発研究を行っている、ヴァルキリー社」

シュア:わ、超ーロボット作ってそうな社名(笑)。

GM/稼頭姫:「そこから、人型生命体、アンドロイドのノウハウが盗み出されたのだ」
 

ここでマスターは、金輪グループの企業、及び金輪の影響下にある企業が
図示された紙をプレイヤーに渡す。
 

GM/稼頭姫:「心当たりは何社かある。ヴァルキリー社と同様に、人型アンドロイドの開発を進めていると言われているのは、近江電機、長良産業、ザンテック・コンピュータ、李星電子。大体この辺りだな」

シュア:4社か。

GM:近江電機は、金輪グループの一員ですね。子会社にプラスチックや薬品の会社があります。

エリオット:長良はセキュリティロボット作ってて、李星って言ったらバトルアーマー!(注:ヘッドギアをつけて遠隔操作するロボット)

シュア:そう、李星って言ったらバトルアーマーだよな!

GM:ザンテックは・・・○ONYみたいな家電とパソコンのメーカー。

マッコイ:「では産業スパイの指令元はまだ特定できていない、と」

エリオット:「逆に言うと、この4社であればどこでも情報を欲しがるということですね」

GM/稼頭姫:「(頷いて)大事なことを言っておく。スパイの正体が判ったら、しばらく泳がせておくのだ。勿論、それが誰であったかの報告はしてもらう。しかし、その者を始末するのは、敵方の企業の狙いが判ってからでも遅くはなかろう」

エリオット:「では、一番重要なのは、犯人を捕まえる、ではなくて、奪われたその機密情報を取り戻す、ということなんですか?」

GM/稼頭姫:「そうだな。情報が何らかの形で敵の手に渡り、敵が試作機を完成させた等の事態になっていれば、お前たちへは、その試作機の奪回も頼まなければならないだろう」

セバス:「ふむ、要するに何かしらの設計書が盗まれたわけか」

エリオット:「そうですね。ロボットの・・・無人で動く、機械人形の設計図ですね」

GM/稼頭姫:「情報漏洩の事実に最初に気づいたのは、セキュリティの専門家である火士ハッカーだ。私はあまり詳しくないのだが、ヴァルキリー社のネットワークに、侵入の形跡が残されていたらしい。そうだったな、鷺沢」
 

秘書室の扉が開いて、ひとりの女性が現れる。
髪の毛はショートボブ、スマートにスーツを着こなしており、
手にはノートパソコンが1台。そして・・・
 

GM:マキシム、〈意志力〉で判定してください。

マキシム:俺だけ。何でだろ。(コロコロ)達成値13。

GM:他の皆さんは、〈手掛かり分析〉振ってください。

マッコイ:(コロコロ)1?!

エリオット:(コロコロ)あ、僕もだ。1振ったから、達成値3。

シュア:(コロコロ)男らしくポシを使いまーす(笑)。

GM:〈手掛かり分析〉13を超えた方いますか?

シュア:はーい、超えました。

GM:まずマキシム。彼女は、あなたの元恋人の八木澤芹奈(やぎさわ・せりな)とそっくりです。

マキシム:!!

GM:それからシュアは、マキシムが「えっ?!」という顔をしたのに、目敏く気づきます。

シュア:おっ、解りました。表情変わったぞ、マキシム。どうしたのかにゃー。

エリオット:「彼女は?」

GM/稼頭姫:「ああ、紹介しよう。私の秘書を務めてもらっている、火士ハッカーの鷺沢水奈(さぎさわ・みな)だ。具体的な話は、この鷺沢から聞くが良い」

セバス:横にこそこそっと訊いておく。「ハッカーとは何じゃ?」(笑)

マッコイ:「コンピュータの専門家だよ。あの鉄の箱に、手や足を生やす連中だと思えばいい」

シュア:さすが先輩だ、いい加減なこと言うの巧いなー(笑)。じゃあ、鷺沢さんに、「総帥さんから大体の話は聞きましたが、詳しくお願いします」

GM/鷺沢:「でしたら、場所を変えて話をしましょう。それでよろしいかしら?」

シュア:「特に、こちらとしては異存はないです」

GM:ではここで第一幕終了です。カード調整していいですよ。
 

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