TORGリプレイ

『かえるひまで』

 
 

第二幕

 
シーン3 彼らの事情・1
 

夕闇の中、サーチライトの光に怪しく浮かび上がる秘密基地。
正門には機関銃を持った歩哨が立ち、四隅の物見台にも兵士の姿がある。
門の内側へ目をやれば、兵器の在処と思しきプレハブの建物はすぐ見つかる。
しかしその隣はドーム型をした兵舎。
基地の内情を探り、卵を見つけ出すのに、何か良い手はないものか・・・。
 

三太夫:提案なんですが、極力無駄な交戦は避けたいので、指揮官のワッツハイム少佐の身柄を押さえて、物の在り処を吐かせましょう。

シグマ:ふむ。

三太夫:要するに、相手の警備を潜り抜けて侵入して、ワッツハイム少佐を見つけて、その場で訊くか、或いは昏睡させるなり気絶させるなりして、連れ出してから訊く。

海優:それやったら、潜入向きなのは(シグマを指差す)。

ティル:だね。行ってらっしゃーい。

シグマ:っていうか、お前盗賊だろう! お前も行くんだよ(笑)。

三太夫:でもって、実はもう一つ作戦を考えていまして・・・。

シュア:うん。

三太夫:名付けて、特攻野郎Aチーム。トラックごと突っ込む! その後急速転回して、トラックを停めて、中に突入! 少佐をひっ捕まえたら、またトラックで脱出!

エリオット:パーパラッパー、パッパーパー♪(嬉しそうにAチームのテーマ曲を口ずさむ)

海優:・・・非っ常にナイル的で判りやすいんやけど、リスクでかすぎ。

GM:そして問題は、ワッツハイム少佐がどんな人だか誰も知らないってことだ。

シュア:そう。顔も判んないんじゃあなぁ・・・。

エリオット:あとは、年齢が30代後半ってことしか。

ティル:ショックトルーパーじゃないヤツを捕まえれば。

シュア:それだ。上半身服着てるヤツは士官だから(笑)。

GM:えー、基地を見下ろしてるんだよね。全員〈発見〉を振ってください。

三太夫:(コロコロ)達成値14。

海優:(コロコロ)12。

GM:12以上の2人は気づきます。プレハブの方に向かって、人が3人歩いてきます。

三太夫:格好は?

GM:1人は、軍服をした軍人。相当地位が高そうです。もう1人は、白衣を着た男性。残る1人は、他とかなり一線を画したショックトルーパー。

海優:見えた。アレやな。

GM:で、小林三太夫さん。あなたにはその白衣の男性に見覚えが。

三太夫:はっ、あの人は!

GM:彼の名前は、ランバートン博士。侵略以後、消息不明になっていた機械工学の権威で、あなたにとって科学雑誌でよく見る憧れの存在・・・だった。

三太夫:これは・・・無理矢理働かせられてるのか?

GM:それは判らない。表情までは見えないので。利用されてるだけかもしれないし、強要されてるのかもしれないし、イヒヒと笑いながら協力してるのかもしれない。

三太夫:・・・・・。
 

ここで、三太夫のサイドストーリー“個人的利害”が発動。
尊敬と敬愛の対象である博士が、ナイル帝国の秘密基地に! どうする三太夫!
というわけで、以後彼には常に博士を念頭に置いたロールプレイが要求される。
しかしそれはあくまで外伝であり、ストーリー本筋は別途進行する。
 

GM:さてどうするね。

海優:もたもたせんで、乗り込んで突っ込めばえぇやん!・・・考え方、ナイル化してきた(笑)。

エリオット:問題なのは、それやると、ゆっくり中を調べらんなくなっちゃうんです。

シグマ:そうだ、いい方法を考えたぞ。無線機を出して、ナイルの周波数に合わせて、援軍要請ー。

シュア:そうか、無線の発信器置いとけば、見に来る奴がきっといるから、それをひっ捕らえて・・・。

エリオット:ひっぺがしてー。

海優:なるほど。さすがシグマはん。

GM:では、無線を使うわけですね。基地の方には全く動きがありません。

シグマ:おびき出すのは無理だったか。

GM:が、街の方から、ショックトルーパーが4人ぐらい乗ったトラックがちんたらちんたらと走ってきます。

シュア:まぁ、いっかー。贅沢は言わない方向で。

三太夫:じゃ、待ち伏せしましょう。

シグマ:いきなり包囲。ガサッ。

GM:包囲されたらしい。終わり(笑)。

エリオット:どかっ、ばきっ、コテッ。

三太夫:縛りっ。

GM:ま、まぁ、のして縛り上げた。

ティル:我々の前に敵はない。

三太夫:じゃあ、着替える人、はーい(挙手)。

海優:(手を挙げかかり)ああー! ウチはダメや。
 

ナイル帝国の一般兵、ショックトルーパーの制服は上半身裸。
そのため、女性である海優は「ショックトルーパーに捕まった人」を演じることに。
 

エリオット:え、僕もですか?

シュア:捕まっとけ(笑)。
 

同様に、背が低すぎて制服が着られないエリオット少年も、
捕まった人間の役を務めるよう言われる。
しかし非常に不満げな様子。典型的正義のヒーローである彼には、
悪人に捕まって落ち込む演技をすることが耐え難き屈辱であるらしい。
 

海優:せやったら、むしろ、捕まって悔しがるストームナイトを地でやるか? ウチも芝居合わせるから。

エリオット:そっちの方が楽です!

GM:決まったようですね。では皆さんは正門まで来ました。
 

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