TORGリプレイ

『かえるひまで』

 
 

第二幕

 
シーン6 動き出す時計
 

深夜2時、三太夫とシグマは再び研究施設を訪れる。
夜を徹して装置の調整をしているランバートン博士を、
ワッツハイム少佐が呼んでいると言い、人気のない廊下まで連れ出す。
 

三太夫:向き直って、「博士、あなたは機械工学会の理事だったランバートン博士ですよね」

GM/ランバートン:「いかにもそうだが」

三太夫:ショックトルーパーの被り物を脱いで、「私は大学で機械工学を専攻していた、小林と申します。あなたのお噂はかねがね、伺っておりました。あなたのような方が何故ここで、このような研究をされているのですか?」

GM/ランバートン:「半分は、金銭的な理由だ。技術を研究するための資金を得るには、それなりの支援が必要だが、少なくとも、この国は、それを私に提供してくれる。もう半分は、あまり言いたくはないが」

三太夫:「ご存知の通り、あなたが今行っている研究というのは、多くの死者が出るような、あまり誉められたものではないと思うのですが」

GM/ランバートン:「それについては、全くその通りだと思っているよ」

三太夫:「正直に言いましょう。私たちはこの兵器を破壊しに来たのです」

シグマ:「そして我々にとって最も理想的なストーリーは、誰かさんが制止を振り切って地震発生装置の試運転をさせたあげく、自爆してしまうことです。ついでに回収したい物もあるのですが」

GM/ランバートン:「と言うと?」

シグマ:「あのシェルターの下に、楕円形の石のような物はありませんか?」

GM/ランバートン:「よく知っているね。あれは地震発生装置のコアとなるユニットで、詳しい機構はよく判らぬが、総督自らが設計し、利用可能としたユニットらしい」

シグマ:「ご協力願えませんか、博士。あなたは強硬に試運転へ反対したと言うだけでいい」

GM/ランバートン:「だが既に私はプリムス氏にOKを出してしまった」

シグマ:「では、彼が本来の予定にはなかった行動に出た、とするのはどうです? 例えば移動できないのに無理やり移動させようとして、機関がオーバーロードして爆発、と」

三太夫:「博士。私はあなたの研究に深い感銘を受けております。その気持ちは今になっても変わりません。あなたは断じてこんな所で研究するような方ではない!」
 

シグマの提案と三太夫の熱弁に、ランバートン博士の心は揺れる。
しかし、微かに目を伏せてから口にしたのは、頑なな拒絶の言葉。
 

GM/ランバートン:「私にはこの国を離れることはできぬのだ」

シグマ:「それは何故?」

GM/ランバートン:「端的に言うと家族の問題だ」

三太夫:「ご家族を人質に取られているのですか? ならば私たちが・・・」

GM/ランバートン:「いや、そうではない。私の妻が大病を患っていて、エジプト神の神官たちの祈りで、何とか持ち堪えているのだ。お声掛かりがなければ、この国で、そんな治療など到底受けられはしない。妻を生き延びさせるため、私は帝国に協力しているのだ」
 

予想外の答えに、ストームナイトは思わず黙り込む。
ランバートン博士を味方につけることは不可能なのか・・・?
諦めかけたその時、1枚のカードが目に留まる。
 

シュア:ここで“知人”って手はアリかな? 例えば、難病の治療法を研究している知人がいて、ナイルを脱出した後に、そこで面倒を見てもらえる・・・っていう感じで。

GM:問題ないですよ。

シグマ:なるほど、当てがあるということだな。

三太夫:では、“知人”カードを使って、断言しましょう。「その病気なら、私の知り合いにかかれば、充分治療可能です。ですから教授、どうか私たちと一緒に来てください!」

GM:あなたの言うことが真実だと信じてもらうために、〈説得〉をしてください。

三太夫:(コロコロ)19。ここは重要なので、ポシビリティを使います。〈説得〉達成値は・・・20。

一同:おぉ!

GM/ランバートン:「解った、そういうことであるならば、協力は惜しまない。ただ、妻を何とかして連れて来なければ・・・」

三太夫:「そこは、私たちにお任せください。あと、今のうちに、この目で石の確認をさせてはいただけませんか?」

GM/ランバートン:「あの石には気をつけた方がいい。迂闊に傍へ寄ると、手痛い目に遭う。現に何人か技術者や兵士が、傷つけられている。だが遠目で見るだけなら、構わないだろう」
 

ランバートン博士が固く閉ざされていたハッチを開くと、すぐ下は金網の床。
そこから梯子を降りた最深部に、「地震発生ユニット」=卵が置かれている。
砂の中に半分埋もれているが、大きさと形から言って、
捜し求めていた物であることは間違いない。
 

GM/ランバートン:「ところで、少佐は君たちがやろうとしていることをご存知なのか?」

シグマ:「少佐は殆どのことを承知しておられる」

三太夫:「知らぬはプリムス殿ばかり」

シグマ:「故に、彼に無理やり実験をさせるのです」

GM/ランバートン:「なるほど、納得がいった。では私は、作業の方を進めることにしよう」

シグマ:さてと、いったん地上に戻ろうか。
 

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