Eternal Smile > Christmas Carol
TORGプレイレポート
『Christmas Carol』
第二幕
シーン2
「あの父親は間違ったことを言っている! サンタクロースはいるぞ! そうだ、ロケットレンジャー隊からサンタクロースに連絡を取って、幸雄くんのところに来てもらうのはどうだろう?」
ナイル帝国出身のキャプテンが、熱く語り出した。
「サンタクロースとは、誰だ?」
カイルさんには、赤い服を着た聖人、という説明で納得してもらった。
そこへ、ジェシカが戻ってきた。
「あの親子に、危険が迫ってるわ。天使が舞い降りて、父親を連れ去ろうとしてる」
何の脈絡もなく、そんなことを言われても、すぐには信じられるはずがない。でも、彼女の目は真剣だった。同時に、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
キャプテンが、いち早く窓から飛び出した。私たちは、タクシーを停め、冬木氏の名刺にあった住所を目指した。
冬木氏の自宅のある、安アパートの前では、キャプテンが商安局員に食って掛かっていた。
「冬木武雄にはインサイダー取引の容疑がかかっている。よって財産を没収する」
「子どもは親の財産の一部である。よって我々が連れていく」
「幸雄くんは、ひとりの人間だ! 物のように取り扱うのはおかしい!」
あまり楯突くと、キャプテンまで公務執行妨害で逮捕されかねない。口添えしようかと思ったその時、ジェシカが警察官の前に立った。
そして、コートの前をはだけた。
コートの中は、黒いビキニの下着姿だった。
誰もが唖然とした。勿論私もだ。だって想像の範疇をはるかに超えているもの! 彼女の身体はよく鍛えられていて美しかったが、こんな見せ方はまるで変質者だ。って、私は一体何を言ってるの?
ジェシカは全く動じずに、こちらを振り向いて、口で「今よ」と合図した。どんな形であれ、せっかく彼女が作ってくれたチャンス(?)を無駄にするわけにはいかない。私とカイルさんは、そっと警察官の脇を抜け、アパートに入った。
中にいたのは、幸雄くんひとりだった。子どもを見捨てて逃げたってこと? 私が冬木氏の行方を問うより先に、幸雄くんがカイルさんにすがりついた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん! お父さんを助けて!」
幸雄くんは、ピカピカ光る天使が、PCディスプレイの中から飛び出して、お父さんを連れて行ってしまった、と泣きながら訴えた。ディスプレイの中、ですって?
街頭のオーロラビジョンに、臨時ニュースが流れた。
フィンランドのドローバックという街が、何者かによって焼け野原にされたらしい。
アナウンサーの背後に、逃げ惑うサンタクロースの姿と、空を飛びサンタに攻撃を加えるメカニカルな天使の姿、そして、黒いサンタ服を着た男の姿が映し出された。
「お父さん!」
黒いサンタ服の男は、冬木氏にそっくりだった。
ドローバックには、サンタクロースが暮らすテーマパーク、サンタランドがある。その街に、「サンタへ危害を加える天使」の一味として、冬木武雄が現れた。天使の外見や、冬木氏が連れ去られた経緯を考えると、彼はサイバー教皇領のネットエンティティ(ネット内生命体)と結託している、或いは利用されている可能性が高い。
オーロラビジョンから目を離せずにいる幸雄くんの肩を、キャプテンが叩いた。
「大丈夫。きみの父親は、私が必ず改心させる! 男と男の約束だ!」
「お願いします。お父さんを、助けてください」
幸雄くんは、ただ純粋に、父親の身を案じていた。揺るぎなく自分を持ち続けている彼に、私は可能性(ポシビリティ)の気配を感じた。
「そうね、そのためには、調査が必要だわ。セリーナ、力を貸してちょうだい」
私は少なからず驚いた。そしてジェシカを見直した。私が冬木氏の家から、PCのハードディスクをこっそり持ち出していたことに気づいていて、解析を手伝ってくれるのかと思ったのだ。
ベッドルームに二人っきりになると、ジェシカはロウソク一本だけを灯して私と向き合った。
「私は未来を見る魔法が使えるの。未来に起こる可能性が、影になって映し出されるのよ」
そう言って、彼女は私のジャケットのボタンを外した。えっ?
「余計なものがあると邪魔になるわ。ほら、早く。・・・せっかく邪魔者がいなくなったんだから」
早口すぎて、最後はよく聞き取れなかった。
ねえジェシカ。私のこと、騙したりしてないわよね?
シーン2−2(おまけ)
芹奈、大ピーンチ!(笑)
でも、この後は何も起こっていないはず。既婚者であることに配慮して、ジェシカのプレイヤーさんも(&悪ノリした私も)自重した。当プレイレポは全年齢対応ですから!
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