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第一幕

 
シーン５　Family Portrait

 
　リンク切断によってヴァンパイアの力を一時的に喪失し、
　ロンドン市街で自由を満喫している相島裕人。
　ふと、店の商品を目に留めると、ショーウインドーに映る己の姿に気づき、思わず声を上げそうになる。
 

ＧＭ：今まで、光学的なものには一切映らなかった。

ソウジ：鏡とかも？

ＧＭ：映らないよ。写真にも撮れない。ヴァンパイアだから。

裕人：「・・・変わってないんだなー」と思って、しみじみ見て、「まぁ、今んところは別にいいか！」

ＧＭ：お腹がすごい減ってる。ずーっと食べてないから。すごい美味しそうな匂いがしてくる。

裕人：匂いにつられてトコトコと歩いていきましょう。

ＧＭ：色んなお店があるけど、何食べる？

裕人：ロンドン、イギリス・・・。そうだ、フィッシュアンドチップスだ！

ＧＭ：よし、行ってみよー！　って適当に店に入るじゃん。うわ、きっつ！（笑）油！　お腹痛い！

ディ：空腹に揚げ物は、やめとけばよかった！

裕人：・・・無言で店を出て、「じゃあ、次のものを目指そう！」タッタッターっと。

アン：（ナレーションっぽく）相島裕人は学んだ。本場が必ずしも、ニッポンのものより美味いわけではない、ということを。

裕人：あ、あそこも並んでるし、ちょっと行ってみようかな！

ＧＭ：みたいな感じで楽しくやってると、ニッポンの家族連れとすれ違って、あなたは何となく、家族のことを思い出すわけですね。お父さんお母さん、お兄ちゃんとお姉ちゃんと妹。

裕人：ああ、そっか、今だったら帰れるのかもしれないのか。

ディ：・・・・・。

ＧＭ：ふと気づくと、いっぱい人がいるけど、やっぱり自分はひとりなんだな、って。

裕人：とりあえず、そうだな、今のところは、楽しむ方を優先的にしたいんで、ちょっとその考えを流す。

 
『帰りたければ、帰ればいいじゃない』
 

裕人：・・・は？

 
『帰りたければ』『帰ればいいじゃない』
 

ＧＭ：周りの人たちが、口々に言い始める。まるで人形が喋るみたいに。

ディ：怖い、怖い！

ＧＭ：正確に言うと、日本語喋れない人が無理やり、言わされてる感じで、言い終わると、スッと、移動してしまう。通る人たちが言葉を繋ぐように、『カエリタケレバ』『カエレバ、イイジャナイ』『なんで帰らないの？』『ナンデ？』

裕人：「俺は・・・」

ＧＭ：『待ってるのに』

裕人：「待っ・・・てる？」

ＧＭ：『待ってられないから』『待ってられないから・・・』耳元で、

 
「・・・来ちゃった」
 

アン：誰？！

ＧＭ：Ｄ２０振って。

ディ：ぎゃー！

裕人：（コロコロ）１９！

ＧＭ：高いぞ！　ルール的に説明するね。今やったのは「克服チェック」です。

アン：まあ、そうですよね。

ＧＭ：ホラーが現れて何かして来た時に、克服値っていう、恐怖に抗う力で判定します。TORGで唯一、ただとにかくサイコロを振って、ポシビリティもカードも足せません。結果が、そのホラーの、ボスモンスターの持っている克服値を超えれば、恐怖の力に屈せずに普通に戦えます。下回っていると、ホラーが恐怖の力を使って、皆さんを酷い目に遭わせます。今回、超えたかどうかはわからないけど、出目はすごくよかったです。なのであなたは、飛び上がる心臓を抑えて、振り返ると・・・誰もいない。

裕人：なっ・・・。

ソウジ：え？

ＧＭ：後ろに丁度ガラスが、ショーウインドーがあって、あなたと、周りの人しか映ってない。もっかい振り返るじゃん？　女の子が立ってる。

裕人：は？

ソウジ：怖いー！

ＧＭ：見覚えがあるような気がする。ゴシックな服を着てるけど、見覚えがあるような気がする。顔を伏せてるから顔はわかんないけど、見覚えがあるような気がする。

裕人：「あれ？　どっかで・・・どっかで？」

 
「来ちゃったよ、お兄ちゃん♪」
 

裕人：「ゆ・・・優美？！」

一同：うわーっ！

 
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