Eternal Smile > CONNECT 『CONNECT』第三幕
ディ:「ユウト。なぜ、行ってしまった?」 裕人:「・・・・・」 ディ:「ユウトは、オレには関係ないことだ、と言った。なぜ、頼ってくれない?」 裕人:「なに? 頼らせてくれるの?」 ディ:「いくらでも頼れ。オレは、ユウトを助けるためにあの場に行った。ユウトを助けたくてあの場に行った。オレが決めたことだ」 裕人:「ははっ。あの時、恐怖で足が動かなかったのに? 怖がってたくせに、そう言うんだ?」 ディ:「・・・そうだな。オレは、ユウトがヴァンパイアであることを、認めることが、怖かった」 裕人:「そりゃあ、ね。だって、あなたに嘘ついたのは、俺だもん」 ディ:「ユウトは、ストームナイトだ。それで充分だ」 裕人:「ストームナイトでも、ヴァンパイアであることは、変わらないじゃないか!」 ディ:「ヴァンパイアでも、ストームナイトであることは変わらない」 裕人:「・・・確かに」 ディ:「ユウト」 裕人:「ん?」 ディ:「ひとつ、頼みがある」 裕人:「ヴァンパイアの俺に、何?」 ディ:「このロンドンで、邪悪なヴァンパイアが、人間をヴァンパイアにする実験をしている。オレたちは、そのヴァンパイアを、これから倒しに行く。ユウト。オレたちに力を貸してくれ」 裕人:(そのヴァンパイアは、優美? それとも・・・?)ディアンは知ってるのかな、優美に取り憑いてることを。 GM:知ってます。ソウジが気づいてます。 裕人:うーん・・・。
裕人:まず、自分がヴァンパイアであることは、確かだ。ストームナイトの力として、ヴァンパイアの力を振りかざしてる。だから、ヴァンパイアの力を、否定しきれない。 GM:ですね。使わなければ、冒頭で死んでるからね。 裕人:そして、優美は、ほぼほぼ魔物になってしまった。助ける手段は、取り憑いてる奴を殺すこと。それを、みんなが手伝ってくれる? GM:ひとりでは無理だというのはわかっていて、あなたの後援者になってくれる人が現れた。その人と一緒に戦えば、助けられるかもしれないけど、その人から、「助けるっていうのはどういう状態なの? そもそもあなたは、あなた自身をどう思ってるの?」と訊かれている。 ソウジ:難しいなー。 GM:今のあなたと同じようになるのは、助かってるの? 助かってないの? 裕人:肉体的には助かっても、精神的には助かってない。 GM:だったら、ヴァンパイアになればいいじゃん。何を悩んでるの? ディ:・・・・・。 GM:というのが、サバシーナおばあちゃんの理屈です。ただ、本当だったら、こんなこと「言う必要がない」んです。 アン:うん。 GM:「お前はヴァンパイアであり、私の孫なんだから、私と一緒に、私の息子をやっつければ、お前の妹は帰ってきて、一緒に仲良く暮らせるよ。なんだったら私も力を貸すよ、一族になるかい?」おばあちゃん優しいから、なってもいいかな、って思わない? 裕人:思う(笑)。 GM:そういう話だけすりゃいいんですよ。でも、都合の悪いことをわざわざ話してるんですよ。 アン:揺れ動く選択肢を与えてる。 GM:さっき〈魅了〉で振ってもらったのは、おばあちゃんはあなたが可愛いんです(笑)。だから選択肢を与えたいんです。 裕人:あー、なるほどー。 ソウジ:じゃあ、ちょっとだけ発言していいですか。「きみが裕人か」 裕人:「あなた誰?」 ソウジ:「俺はしがないサラリーマンだ。香川ソウジという」 裕人:「まあ、はじめまして」 ソウジ:「どうも、はじめまして。俺はきみたちの話を、ディアンから聞いただけに過ぎないし、これは勝手な俺の考えだが、重要なのは、どうあるかではなく、『どうありたいか』ではないだろうか」 裕人:「どうありたいか・・・」 ソウジ:「きみが今迷っているなら、これから先どういう風になりたいか、を考えたらどうだろうか。俺も、せいぜい有給休暇を1日取れたぐらいで、定時退社もままならない身だが・・・」(笑) GM:パンチあるなぁ! アン:一番ガスッとくる! 裕人:「は、はぁ」 ソウジ:「それでも、労働組合としてついてきてくれる仲間たちもいる。今はまだ、こんなダメダメな身だが、俺は将来、定時退社を全うするべく・・・(*14)」 GM:カッコいい!(笑) ソウジ:「そんな未来を獲得するため、そうありたいと思って、日々、努力している。たとえ今が、よくない状況だとしても、先のことを信じて、どうありたいかを見つめて行動するといいんじゃないだろうか。ま、こんなオッサンの言うことなんて、きみには説教臭く聞こえるかもしれないが」 裕人:・・・・・。 アン:「ちょっと聞きたいんだが、あんたがヴァンパイアだとしたら、生き方は決まっているのかい? そのレールの通りに生きなきゃいけないのかい?」 裕人:「レール?」 アン:「人間誰しも、確かにレールはあるよ。だけどね、レールは多分選べるよ」 裕人:「レールを、選べる?」 アン:「あんたが走りたいレールが、本当の意味でヴァンパイアになって生きるレールなんだったら、それはまあ、あたしには止める権利はない。だけど、中途半端に、フラフラしたまんまで、レールを走ろうとするんだったら、ストームナイトとしても人生の先輩としても言っとくよ。そんな足元で、そのレールを走るのはやめておけ」 裕人:! あー、正論だー。叩き伏せられたー。 アン:「なおもそのフラフラの足元で、走りたいレールがあるんだったら、誰かに肩を貸してもらうか、互いに肩を組んで、進めばいいじゃないか」 裕人:・・・・・。
裕人:ディアンに向かって聞こう。「ディアン」 ディ:「どうした?」 裕人:「ヴァンパイアである、この、俺を、否定する・・・かい?」 ディ:「ユウトは望んで、ヴァンパイアになったのか?」 裕人:「望んではなかったかな。家族を助けた結果だったから」 ディ:「ユウトが選んで、成し遂げた結果を、否定する権利は、誰にもない」 裕人:「そっか。じゃあ、ヴァンパイアの力を、ストームナイトとして振るう俺を、否定、する?」 ディ:「もしそれが、人々への誇示であったり、弱い者を弄ぶためであるならば、オレは、生命を懸けてユウトを止める。でも、オレは、ユウトが、人々を守るために、ヴァンパイアの力を使ってきたと信じている」 裕人:「そっか! あー。何、難しく考えてたんだろ」 GM:サバシーナが、笑みをかみ殺すようにしています。 裕人:「じゃあ、今の俺を、相島裕人をさ。肯定してくれる?」 ディ:何も言わないで大きく頷きます。 裕人:「そっか!」
GM/サバシーナ:「答えは出たかい。あんたは何だい?」 裕人:「俺は、ストームナイト! ってことにしとく!」 GM/サバシーナ:「そうかい。残念だね。あんたとはこれまでだ。血族でもなければ孫でもなければ、おばあさんでもない」 ディ:ユウトの隣まで歩いていって、「ご婦人。邪魔をした」と言って一礼します。やせ我慢しながら。 GM/サバシーナ:「あなたと、あなたの仲間たち。この子を不幸にしたなら、殺します」 一同:! GM/サバシーナ:「何度でもやり直しはききます。それがヴァンパイアです。そして、もうやり直しがきかない。それがヴァンパイアです。わかりやすく言いましょう。ヴァンパイアとしての生き方を選ぶということは、例えば、あなたが、今ここでこの3人を殺すことです。そして、今でなくても、いつかそうします。それがヴァンパイアです」 裕人:・・・・・。 ディ:「ユウト。心配するな。オレが死ぬのは、ユウトより後だ」 GM/サバシーナ:「(微笑んで)そういうことです。あなたは何も迷っていない。今のあなたが救われているなら、同じようにしてあげなさい」 裕人:おばあちゃん、とはもう言わないな。「サバシーナ。二度目は、こうやって話すこともできないかもね」 GM/サバシーナ:「さあ。次は敵ですかね、ストームナイト」 裕人:「そうだね」 GM:「はい」と言って、ワインを渡します。「持っていきなさい」 裕人:「でもこれ・・・」 GM/サバシーナ:「人の血は入っていません」 裕人:そっか! 最初っからそうだったんだ! ははははは! GM/サバシーナ:「どうしてもお腹が空いた時に飲みなさい。大丈夫。しばらくはそれで飢えないはずです。少しずつ少しずつ飲みなさい。酒を飲まなければやっていられないことも、人生にはあります」 アン:あ、そこには強く頷く(笑)。 裕人:「じゃあ、そうする。俺、未成年だけどねー」 ディ:「嘘ではないな。もしも、たばかっているならば、オレはお前を・・・!」 GM/サバシーナ:「我が主、ゴーントマンの名にかけて」 ディ:「!」背筋にゾワッ、と悪寒が走ります。 裕人:馬車から降りて、そのまま振り返らないで、歩いていきましょう。 GM:その前に、サバシーナは、あなたに顔を寄せて、血でも吸うのかな? みたいな動きをして・・・ちょっと別室。 裕人:えっ? ディ:別室? えっ? ぎゃー。 "Eternal Smile" Since 2002.02.02 E-mail:charmy_s@mac.com |