Eternal Smile > Welcome to Darkness Kingdom
 

　限りなく今に近い未来………
　今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

Prologue

 
　その、ひとつひとつの出会いは、偶然であった。

　涙を流し、心ここにあらずで歩く者。
　ぼんやりと公園で佇む小さな少女。
　思い詰めた表情で橋の上で佇む者。
　ビルの谷間で何かを捜す者。
　必死の表情でビラを配る年配の夫婦。

　しかし、その、想いを込めた出会いは、必然であった。
 

 
ゲームマスター（以下ＧＭ）：ここは、ベルギーの首都ブリュッセル。皆さんは、ブリュッセルの中心部から少し離れた、どっちかというと下層階級が暮らすような場所に建っている、セントベルナール教会という小さな教会に滞在しています。この教会、あちこちからストームナイトが集まっては離れ、集まっては離れているんで、近所の人は皆さんを見て、「また変わった人達がいるわ」と思う程度でしかありません。因みに教会のドアには、ナイルのヒロインが作った看板が掛かっています。表側には『困った人、助けます』、裏側には『ストームナイト待機所』と書いてあります。そしてこの看板は、よく、勝手にひっくり返ります。ナイルですから。

一同：（笑）

ＧＭ：さて、皆さんは、町を歩いている最中に、人捜しをしている５組の人々に出会います。誰が誰に会ったかは、自由に決めちゃっていいです。それぞれの人の状況は、以下の通りです。
 

涙を流し、心ここにあらずで歩く者。（戻ってこない婚約者を捜す女性）
ぼんやりと公園で佇む小さな少女。（目の前で兄が砂に飲み込まれた少女）
思い詰めた表情で橋の上で佇む者。（繭にされ連れ去られた同僚を捜す男性）
ビルの谷間で何かを捜す者。（ロープ状のものに吊られて消えた同級生を捜す少年）
必死の表情でビラを配る年配の夫婦。（陥没した地面に落ちた我が子を捜す両親）
 

ＧＭ：彼、彼女達が捜している相手には、失踪、家出をする理由がありません。見た通り、誘拐をされています。しかし、その誘拐のされ方が非常に特殊で、あまりにも常軌を逸していて、警察ではまともに取り合ってもらえないため、それぞれ必死になって捜しています。
 

第一幕

 
シーン１　取り残されて
 

ＧＭ：皆さんが、話を聞いてセントベルナール教会に戻ってきたところから、シーンが始まります。順々に、キャラクターの自己紹介をやっていってください。
 

―――涙を流し、心ここにあらずで歩く者。

　エイダ（２７）　行方不明者：婚約者のグレン（２９）
　喧嘩をして、仲直りをしに家に行ったら誰もいなかった。冷蔵庫には食材があり、夕飯の準備もしてあった。警察には、ストーカーが嫌で、何もかも残して引っ越したのではないかと言われた。間もなく結婚する筈だったのに。

 
バーバラ：じゃあ、まず先陣を切って。スーツ姿のひとりの女が、疲れたような顔をして、教会に戻ってきます。「ああ、また看板がひっくり返ってるわ」と、表に戻して（笑）、「誰か、何か知ってればいいけど」と呟きながら、教会の中に入ります。キャラクター名は、バーバラ・ブライド。２７歳のリポーターです。元々は、時事通信とかインタファックスとか、そういった国際系の通信社にいて、世界を飛び回っていた人物です。今回、元同僚のエイダという女性から話を聞いて、行方不明になったグレンという男を捜しています。えー、ゲームマスター、“個人的利害”（＊１）、使ってよろしいですか？

ＧＭ：構いません。どんどん使ってください。

バーバラ：はい。まず、エイダとグレンと、バーバラは、元同僚です。この２人はベルギー駐在。バーバラは、ベルギーに年に数回来る程度。そしてグレンは、バーバラの元恋人なんですが、既に別れています。その後、エイダとグレンは婚約したんですが、エイダから、良くも悪くも、お前の昔の男だろうって感じで、話が来た。

一同：おぉー。

バーバラ：「ふぅ。別に、消えるような男じゃないんだけど。喧嘩したくらいで、消えるようだったら、あたしといた頃には、５、６回消えてるわ」
 

―――ぼんやりと公園で佇む小さな少女。

　ミスト（９）　行方不明者：兄のケイン（１６）
　とつぜん足元が砂に変わって、怪獣が、お兄ちゃんをつかまえた。けいさつの人に、ウソをつくなとおこられた。お父さんもお母さんも、ものすごく落ち込んでいる。

 
ジョルト：そうすると、年の頃は２０代中頃、金髪の短髪の、ロケットレンジャースーツを着た男が、憤懣やるかたなしという表情で、「小さい兄妹の仲を引き裂くなんて！　どこかに悪がいる！　間違いない！」と言って、ガッシャンガッシャンと入ってきます。こいつはですね、ナイル帝国出身の、ジョルト・スターシーカー。熱血漢で、将来の夢は宇宙を旅する！　そして星を探す！　だから僕はスターシーカーなのさ！　でもそのためには、宇宙へ行く前に、まず地球の悪を滅ぼさねばならない！

ＧＭ：それはいいんですけど、熱血漢じゃないナイルヒーローっているんですか？（笑）

バーバラ：たまに、悪漢を気取ってるナイルヒーローはいますけどね。復讐の鬼とか。

ジョルト：熱血というか、血が上りやすい、てなトコですかね。
 

―――思い詰めた表情で橋の上で佇む者。

　ベス（２５）　行方不明者：同僚？　のアルフ（２５）
　頭上から白い粉が降り注いで、繭のようなものになって連れ去られた。自分は急に目眩がして気を失ってしまった。警察に言っても、悪酔いしていたんだろうと相手にされなかった。

 
アンドレ：続いて、中肉中背な、３０歳くらいの男が入ってくるんですけど、格好としては、サーコートっぽいものを着ていて、鎧は脱いでます。ということで、サイバー教皇領から流れてきた、元ホスピタラーの、アンドレ・ド・モンバールです。病院騎士団の中で、一生懸命「神様のために、神様のためにー！」って活動してたんですけども、そのうち、「なんかこの人達の言ってる、神の教え自体、違うんじゃね？　確かにこのサイバー教会ってのはいいと思うけど、教会組織としての方針は間違ってんじゃねーの？」というのに気がつきまして、一旦教会の元を離れて、実際世界はどうなのかを確かめるために、色々旅しています。なので微妙に、裏切った教会からも、目を付けられてる。

ＧＭ：いや、微妙に、じゃなくて、間違いなく目をつけられてる（笑）。

アンドレ：そんな感じで、よく、追っかけられたり追っかけられなかったりしてます。

ＧＭ：サイバー教会の教えは、魔女狩り時代の、中世キリスト教をベースにしてると思ってください。中世キリスト教との唯一の違いは、肉の罪を逃れるためには、神より賜ったサイバーウェアを身体に植えよ、という部分。

バーバラ：人間の肉体は原罪にまみれている。それを機械に換えよう。

アンドレ：あー、なるほど、グノーシスね？　はいはいはい。で、下を向いて、ぶつぶつ言いながら、入ってきます。

バーバラ：ボヤいてる奴多いなー（笑）。
 

―――ビルの谷間で何かを捜す者。

　マーク（１８）　行方不明者：同級生のサムソン（１８）
　ビルからロープのようなものが降りてきて、それに吊り上げられた。勿論警察に駆け込んだが、どこのカウボーイに捕まったんだと、相手にしてもらえなかった。

 
ディアン：オレは、そのマークという少年と一緒に、もう一度警察に行って、話をしたんだけども、結局、同じように、けんもほろろに追い払われてしまい、警察から帰る途中です。キャラクターネームは、ディアン・オブロー、２８歳、バーバリアン戦士です。元コアアース人で、できる限り名誉の教えに則った行動を取ろうと思っています。

バーバラ：非常に、単純実直。

ディアン：なので、融通がきかないです。嘘がつけません。正々堂々と行動しなくてはなりません。ナイラーとは相性がいいかもしれませんが、サイバー教皇領とは相性が悪そうです。

アンドレ：ええ、そうですね（笑）。

ディアン：「オレは、マークの言うことを信じる。ひとりでいたら、マーク自身も、また、狙われるかもしれない。オレといれば、オレが、マークのことを守る」と言って、セントベルナール教会まで、一緒に来ないかと尋ねます。

ＧＭ：マークは言う。「いや、僕は、サムソンと違って、普通の人間だから、誘拐なんてされないと思う。とりあえず自分でもう少し捜してみるさ。警察なんて所詮あんなもんだよ」

ディアン：「あ・・・サムソンには、何か、普通と違うところが、あったのか？」

ＧＭ／マーク：「彼はすごいんだ！」

ディアン：「すごい？」

ＧＭ／マーク：「すごい運動神経を持っていてね、滅多にその実力を見せることはないんだけども、僕は友人として、非常に鼻が高いんだ。そして、彼はいい男だ。あんな男がいなくなると、世の中面白くないからね。もう少し捜し回ってみるよ。じゃあ！」

ディアン：「あ・・・！　困ったら、オレはセントベルナール教会にいるから」

ＧＭ：「ありがとう！　ディアンさんの親切は、絶対忘れないよ！」と言いながら、またビルの谷間を、上を見ながら捜し回ってます。

ディアン：では、ちょっと浮かない顔をしながら、帰ってきます。
 

―――必死の表情でビラを配る年配の夫婦。

　デビーとスージー（５０代）　行方不明者：ノエル（２２）

 
ジョルト：行方不明になったのは、全員男なのかな？

バーバラ：いや、ノエルって名前はどっちでもいける。

ＧＭ：えーと、皆さんノエルさんの両親には会っていないので、判りません。誰かが、教会へ来る途中で、ふとビラを手の中に押し付けられて、というのなら、教えて構いませんが。

アンドレ：俺なんか絶対押し付けてこないよ（笑）。

ＧＭ：ああ、何せサーコート着て、胸にでかでかと十字架書いてますからね。そういう相手が歩いてたら、そりゃ普通は避けるでしょ。

ディアン：何となく、ジョルトがビラをもらっていそうな気がする。

ジョルト：じゃあ、持っているということで。

ＧＭ：いいですよ。ノエルさんは、女性です。
 

　【ＣＡＳＴ】

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