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TORGリプレイ

『天より来りしもの』

 

第三幕

 
シーン2 Hazard from Space(承前)

 
前方のモニターに様々な情報を映し出しながら、ロタン・ウルカが説明を続ける。
「レギュオンには、ツリー種、ソルジャー種、マザー種の3種類が確認されている」
 

GM:ツリー種というのは、リアリティツリーの変種です。異常に成長が早く、長くて48時間ぐらい。役割は、繁殖に適したリアリティと環境を作ることです。つまり、スタースフィア/コアアース混合エリア。なおかつ、大気中の酸素濃度が22%以上。ある程度高い技術アクシオムの人には判りますが、高濃度の酸素は、生物にとって、猛毒以外の何物でもありません。

マキシム:ふーん。

GM:因みに、レギュオン自体は、ケイ素系生物なので、殆ど関係ありません。

リリアン:それでガラスが盗られたわけね。

GM:そしてツリー種は、繁殖する時に、自身の種を、圧縮した液体酸素と液体水素の爆発で打ち上げます。すさまじい爆発現象で、半径6kmから20kmが完全に壊滅します。

マキシム:それだったんだな。

GM:頭頂部の種は、マザーレギュオンの卵と、ツリー種自身の種子を詰め込んだカプセルです。根っこの部分が、大気圏外へ行く起爆剤で、それが爆発すると、周りにある酸素が燃え尽きて半径数10kmが壊滅。幹の部分は、他星系までの加速燃料庫なんで、打ち上げた時点で次々燃え尽きちゃう。

ユウイチ:レールガンのレール部分だね。

リリアン:そこに着火してやりたくなるね。

GM:そうすると、やっぱり、半径数10kmが。

リリアン:ずどーん、か。

GM:実はこのツリー種、液体酸素と液体水素を合成する機能を持っていません。ソルジャー種から、提供を受ける必要があります。

ディ:オレたちが戦った相手が、ソルジャー種。

ユウイチ:さっきの映像で、奴らが地中に潜ってたのは、最後に燃料を補給するためか。

GM:そう。戦闘中、爆発ロール振ってましたでしょ? ソルジャー種の体内には、液体酸素と液体水素の貯蔵袋があって、そこを直接突くと、自動的に爆発して、死亡が入ります。

ユウイチ:その代わり、自爆扱いになるから、ダメージってことね。

GM:しかも、爆発した時に、体内の水銀が気化して襲いかかってくるんで、二重ダメージ。

マキシム:厄介だなー。

GM/ウルカ:「君たちがどう戦ったかは知らないが」

リリアン:え? 力技(笑)。

ディ:うん。2回か3回死んでるような戦い方を、オレ、した気がする(笑)。

GM:外骨格はセラミック。腱や筋肉の代わりに、レアメタル融合ワイヤーで全身を可動させています。

リリアン:1体にどれだけお金が掛かってるんだ(笑)。

ユウイチ:ある意味レアメタルの塊か。

GM:繰り返しになりますが、こいつらは電磁波を発している者を、敵対者として積極的に攻撃します。例えば、サイバーウェアとか、無線機とか。

ユウイチ:ああー(納得)。

GM:逆に言うと、電磁波を発しない物には、基本的に無関心なんで、〈トリック〉とかに引っかかんないのはそのせいです。そして、電磁波を発していなければ、攻撃的な行動を取らなければ無視されます。

リリアン:じゃあ話は簡単よね。携帯電話で呼び出して、寄ってきたところを爆発させちゃえばいいんでしょ。

GM:まぁ、爆発したらしたで、すごい大気汚染とか、土壌汚染になるんですが。

リリアン:うん。地下でやっちゃえばいいんだよねー。

マキシム:おいおい・・・。

GM:最後にマザー種。ソルジャー種が働きアリだとしたら、マザー種は女王アリです。こっちが、本当の意味での不可避の災害。最大で、体高140m、体長170mまで成長した個体が確認されています。

マギー:うわー。

GM:攻撃や防御に使う上半身部と、ソルジャーを増やす卵巣部、種子保管庫と脚部、そして、あらゆる攻撃を跳ね返し、無効化する、電磁シールドを持ってます。おかげで、スタースフィアの宇宙戦艦で攻撃しても、一切効きません。無敵の盾です。

リリアン:無敵の盾と無敵の剣をぶつけると?

マギー:それを矛盾と言ってだな(笑)。

GM:武器は、まず、可視状態まで電磁波を圧縮して放つ、電磁波ビーム。

マキシム:例えば、そのビームを撃ってる間だけ、電磁シールドが使えないとか・・・。

GM:関係ないです。

マキシム:ないんだ(笑)。ちぇっ。

GM:どこかに、電磁シールドを発生させている器官がある筈なんだけど、今のところ見つけられていません。その前に、たとえ見つけたとしても、その無敵の盾をどうやって突破するか、ってことになります。

リリアン:無敵の盾を貫通するにはどうするか。そこは策士の腕の見せ所。

GM:武器の2つ目が、マイクロウェーブです。

マキシム:ああ、さっき人を燃やしちまったヤツ。

GM:そう。自分を中心として、球形状に、パルスをばーっと発生させる。因みに、避ける時は、積極防御じゃないと無理です。

マギー:厳しいなー。

GM:最後が、電磁ムチ。口の周辺に、電磁ムチ発生装置があって、至近距離に来た小型物体に対して攻撃を行います。最大6本まで出ます。

リリアン:(思案中)燃料切れにしてしまうか、それとも、もっと強い力で叩き割るか。

GM:因みに今のところ、マザー種はまだ、成熟期から脱していません。ただし、放っておくと、加速度的に、巨大化かつ強大に成長していくでしょう。

ユウイチ:タイムリミットは判ります?

GM:せいぜい12時間から24時間ぐらいかな。

ユウイチ:12時間以内に、何らかの手を打たないとまずいわけね。

GM:そうすると、ロタン・ウルカが、ちょっと嫌そうな顔をしながら、「いや・・・彼らはあれをうまく誘導できると思っているようだが、それができれば、我々も、不可避の災害として恐れるわけがあるまい」と呟きます。

ユウイチ:「ん? 何それ? どゆこと?」

GM/ウルカ:「おや、聞こえていたか。きみたちとすれ違った、各国の大使たちだよ。我々の話を聞いて、どうやら彼らは、あれを電磁波で誘導できるものと思い込んだようだ」

リリアン:「電磁波で誘導して、海にでも叩き落とすの?」

GM/ウルカ:「いや。例えば、あれをリビングランドで爆発させれば、ジャングルのトカゲ共が一掃されるとか」

ユウイチ:まあ、確かにね。

GM/ウルカ:「エジプトに連れて行って、スエズ運河の横に、新しい運河を作るとか、インドネシアの魔物は、恐ろしい敵だが、広範囲を一挙にせん滅すればいいとか」

リリアン:爆弾代わりってこと。

ユウイチ:王蟲だな、ほとんど、扱いが。

GM/ウルカ:「中には、ソルジャー種の身体を確認して、レアメタルとセラミックの無限工場だと思い込んだ輩もいたようだが」

ディ:・・・・・。

ユウイチ:あー、もう少し聞き耳を立てればよかったかな。ははは。

リリアン:ま、いいんじゃない? どっちにせよ、やることはひとつだし。問題はレギュオンに〈威圧〉が効かないことよ!(笑)

マキシム:そっちか!

ディ:「レギュオンは、何故、地球にやって来た?」

GM/ウルカ:「それは判らない。恐らくは酸素と水素のある星だからであろう。奴らがどの星を選ぶかは、誰にも予測ができない。だからこそ、奴らは災害であり、天災なのだ」

ユウイチ:あくまで、自分が繁殖するための土壌を探すために、宇宙を浮遊して、そこで繁殖すると同時に、また違う星へ。効率がいいんだか悪いんだか。

リリアン:効率はいいでしょうね。人間にとっては迷惑だけど。

GM:というか、住んでる生物、全てにとって迷惑です。

リリアン:何よりも、あたしにとって迷惑なのが許せない(笑)。

マギー:ホントに、天かける迷惑だな。

ディ:マザー種を、消滅させることができれば、地球の危機は、なくなるのか?

GM:そういうことです。少なくとも、発芽して育てるためには、マザー種とソルジャー種がいないとだめです。

ユウイチ:そのまま、あとは枯れるのを待つだけ?

GM:枯れるというか、成長自体ができなくなるんで。まず、ツリー種がちょっと芽を出して、周囲を、レギュオンの動きやすい環境にする。するとマザー種が誕生して、ソルジャー種を生み出す。ソルジャー種がツリー種を世話することによって、ツリー種が巨大化する。

リリアン:ホントにアリンコだわね。

マギー:どっちかというと、キノコを育てるシロアリだ。

リリアン:さーて、どうやって倒すかよねー。

 
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