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TORGリプレイ

『Limited War』

第一幕

 
シーン4 再起

 
フリオ:謎の虚無僧現る。

イクイリ:「何の用だい? このジャパニーズ・クレリックさんは。奇跡を願いに来てくれたのかい?」

GM:錫杖をシャリーン、と鳴らしながら、「なるほど、その者たちが、お前が心から信頼する腹心のストームナイトか、嵐王寺勇人」

神崎:ほう。

勇人:(小声で)あ、返事できない(笑)。

神崎:じゃあ、嵐王寺の代わりに問い掛けるよ。「お前は嵐王寺の知り合いか?」

勇人:ありがとうございます。

GM/虚無僧:「お前は、目立ちすぎたのだ。故に、金輪からマークされ、生命を狙われた」
 

 虚無僧は、携帯電話のワンセグ放送の画面を4人に見せる。
 ワイドショーのメインキャスターが、淡々と原稿を読み上げている。

『嵐王寺流通が開発した、次世代超小型ビジネスジェットが、本日、午後2時頃、
 試験飛行中に、高度1万メートルで爆発し、墜落したニュースの続報です。
 警察の発表によりますと、この事故で、
 嵐王寺流通CEO、嵐王寺勇人さんと、乗員乗客2名が死亡。
 また、飛行計画に署名した機長が、実際には搭乗していなかったとの情報もあり、
 現在身元の確認を急いでいるとのことです』
 

神崎:「ろくでもねぇなぁ」

フリオ:「随分と手が早い」

イクイリ:「そうですね。(虚無僧に)あと、そもそもあなたは一体何者なんですか」

GM/虚無僧:「(答えずに)お前は死んだものとして扱われ、全てが金輪の筋書き通りに進んでいる」
 

 画面が、嵐王寺流通のCEO代行記者会見に切り替わる。
 飛鳥譲(あすか・じょう)という青年が、テキパキと報道陣に受け答えをしている。

『曽祖父の代まで遡りますが、僕は嵐王寺財閥の正当な継承者です。
 定款に書かれている順位に従って、僕が選任されました』
 

GM:勿論、勇人以外に血縁者がいる、という事実はありません。

勇人:見た目的にはどんな感じですか。

GM:えーと、クールキャラっぽいお兄さん。名前は、エースのジョー(*11)からいただきました。

神崎:ドクターが「お前は何者だ」と訊いてくれたので、こいつは嵐王寺の敵ではないんだ、と認識できました。それで俺はドクターに対しては警戒を解きながら、でも、虚無僧に対する警戒は解かないかな。

勇人:そりゃそうですよ。なかなかフランクに接するのは難しい。

フリオ:敵とも味方ともわからんし。

GM:敵意は感じないですね。勇人は今、瞑想中?

勇人:じゃあ、そろそろ目を醒ましますよ。「・・・ああ」

神崎:「あ! 無事か?!」

勇人:「まあ、これを無事と言うのであれば」

神崎:「命があっただけよしとしよう」

勇人:「はい。ありがとうございます。真っ当な商売はしておくものですね。苦しい時にこうやって、人が来てくれる」と言いつつ、画面を見せてもらって、「なるほどなるほど。全ては計画通り、というやつですね。やってくれます」

GM/虚無僧:「嵐王寺勇人よ。お前の望みは何だ?」

勇人:「僕の望み・・・」

GM/虚無僧:「せっかく拾った命。再び狙われることのないよう、慎ましく暮らしていくというなら、それもいいだろう。だが、それでは不満なら、何を為す?」

勇人:「なるほど。そういう意味ですか」
 

 薄れそうになる意識を必死で留めながら、勇人は言葉を紡ぐ。
「生き馬の目を抜くビジネス界。転げ落ちれば、そこに待つのは地獄のみ。
 今更、慎ましやかに生きていけるほど、僕は清廉潔白な人生を歩んでおりません。
 となれば、やることはひとつでしょう。目には目を、歯には歯を。
 ・・・受けた刃には、復讐を」
 

神崎:・・・・・。

GM:虚無僧が、満足げに頷きます。「よかろう。その復讐、成し遂げるには金が要るはず。私からお前に出資しよう。この財閥を(白紙のシートを取り出す)、お前の好きに使うがよい」

フリオ:ホワイト財閥か!

GM:というわけで、後ほど、財閥のデータを決めてもらいます。

勇人:「今や、天下晴れて無一文。このニッポンにおいては最下層まで落ちた僕に、何をもって、出資なさるので?」

GM:「お前には、借りがある。そして、見込みがある」〈手掛かり分析〉を振ってもらえますか。難易度はゴメン、25です。

勇人:〈瞑想〉でやってもいい? その方がちょっと高い。

GM:どうぞ。

勇人:(コロコロ)ポシビリティ使います。

神崎:「嵐王寺、お前の知り合いか?」と言って、“ひらめき”を渡します。要らないカードと交換してください。これは絶対、気づいておく方がいい情報だから。

勇人:ありがとうございます。〈瞑想〉28です。

GM:素晴らしい。そうすると、虚無僧は籠を脱いで、素顔を見せます。「宗房忠右衛門(むねふさ・ちゅうえもん)。名刺は以前、お渡ししました。嵐王寺さん」

勇人:!

GM:彼は、以前企業戦争を遊んだ時に登場したNPCで、勇人の〈説得〉によって、最終的に、味方になってくれた人です。

神崎:ふーん。

GM:その正体は、芭蕉。ニッポンテックのハイロード、No.3327のクローンのひとりです。

フリオ:ほうー。

勇人:オイシい設定としては、クローンのひとりなんだけど、自分自身を裏切っている。金輪を滅ぼしたいと思っていて、ダブルスパイをやっている。

神崎:ニッポンテックでは、100人にひとりは裏切り者だからね。

勇人:「あなたでしたか、芭蕉。悲しいかなこの世の中では、株式会社の社長は、株主の期待に応えなければいけません」

神崎:なるほど、出資者だから筆頭株主か。

勇人:「であるならば、もう一度CEOとして、ビジネスをさせていただきましょう」そう言って、身体は動かせないけれど、敢えて痛みに耐えて、ニヤッと笑います。

GM/芭蕉:「すぐにここから立ち去るが良い。金輪の手の者が、後始末をしに現れるだろう」

勇人:「でも僕は、賭けにまずひとつ勝ちました。携帯電話を捨てなかったのは、味方が来てくれると信じていたからです」と言って、みんなにもう一度、頭を下げます。「ありがとうございます」

神崎:まあ、友達だから全然、気にはしないんだが。

イクイリ:とりあえず、掘り起こした後、担架みたいなのを簡易的に作って、それに載せて車に運びましょう。

GM:ここで第一幕終了です。皆さんに2ポシビリティ差し上げます。

イクイリ:“仇敵”どうする? 特に何も浮かばないんであれば、返しちゃうけど。

GM:この後登場する誰かが、仇敵になる、って感じかな。

イクイリ:とりあえず、場に置くだけ置いときます。

GM:“自己犠牲”と“人物誤認”はどうしますか?

フリオ:む、むう。微妙やね。1ポシと交換で。

イクイリ:スポット参戦的には、“自己犠牲”はかなり魅力的なんですが。

GM:スポット参戦って言うな!(笑)

勇人:いやいやいや。ほら、復讐劇で犠牲者が出たら、なんかショボーンってするから。

 
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