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TORGリプレイ

『Limited War』

第三幕

 
シーン3 追撃

 
フリオ:タクシーの運転手に、「この車には、その、何だ、無線機のようなものは付いているのかね。悪いんだが、シュツルムリッターという会社に、連絡をしてもらえないか」

GM:〈語学〉で判定をお願いします。

フリオ:そうか、それを流ちょうな英語で喋らなきゃいけないんだね。(コロコロ)おおう。イタリア訛りが出たようだ。ポシビリティを使うよ。

GM:どうぞ。

フリオ:(コロコロ)身振り手振りをこうやりながら、《知覚》17で説明。

GM:「電話を掛けりゃいいんですかい? お客さん、携帯は?」

フリオ:「生憎、そういったものは持っていないんだ」

GM:確かに、旅行者だったら、ニッポンで使える携帯は持ってないかもな、と納得してくれました。

神崎:よかった。

GM:勇人のところに、知らない番号から電話が来ます。

勇人:さっきの流れの後だから、推測して、受けます。

GM:タクシー会社の名前を言って、「お客さんから頼まれたんスけど」

勇人:「移動中なんですね。大体想像しました、はい」(笑)

GM:「あの、電話切っていいっスか? こっちもさ、運転中で、危ねェんですけど」

勇人:「とりあえず、今走っているところと、どっち方面に向かっているかだけ教えてください」

GM:「湾岸方面っスね」

神崎:車の識別番号を聞けますか? そしたら、芹奈さんに連絡して、どこに向かって走ってるのか、調べてもらいますよ。

勇人:教えてくれんのかな? まあいいや、話はしてみよう。「大変恐縮だが、緊急の用件でね。勿論、それなりに、会社さん、いや、君にもポケットマネーをお支払いする(笑)。実はそこに乗っているのは、とある、少女のエージェントでね」

GM:「は、はぁ」

勇人:「まあ、君にだけ明かすんだが(笑)。『そういう用件』だと、認識してくれればいい」

GM:すごくもっともっぽいな。

勇人:ということで、嘘をついてポケットマネーを提示して、+6。(コロコロ)

フリオ:おう、そうか。ポンテクだもんな。

GM:その出目なら、楽勝で教えてくれました。

神崎:芹奈さんに、「この車の位置を、カーナビの地図に入れてもらえますか? 多分、追ってる車もわかるだろうから、そしたら俺はバイクで先行するよ」

GM/芹奈:『神崎さん。確認ですけど、追っている車、っておっしゃいました? 今回もまた、そういうことですか?』

フリオ:(吹き出す)

神崎:「そういうことです(笑)。フリオさんが、誘拐事件に巻き込まれた女の子を追っているので、俺たちもその子を救出することになります」

GM/芹奈:『フリオさんらしいですね』

神崎:「ニッポンの国内だったら、あなたの得意フィールドでしょう?」

GM/芹奈:『ええ。任せてください。・・・えーと、倉庫街の方角ですね』

神崎:「わかりました」では、倉庫街に向かいましょう。ネクタイをちょっと緩めて、ヘルメットも被らずに、バイクを走らせるかな。

勇人:おっ、カッコいい!

神崎:目的地を教えてもらえれば、そこに突っ込んでいきますよ。

GM/芹奈:『車が止まった場所をお伝えすればいいんですか?』

神崎:「そうですね、車が止まる、ないしは、速度が遅くなってきたら、教えてください」

GM/芹奈:『あっ、ちょっと待って。止まりました。ここは・・・肥料倉庫?』

勇人:あっ。

神崎:じゃあ、そこに急行しますよ。ブーン! って。

GM/芹奈:『! もしもし、神崎さん、繋がってます?』

神崎:「繋がってる、繋がってる」

GM/芹奈:『何か手伝えることがあれば言ってください』

神崎:「後から来る、ドクターと、それから、嵐王寺さん、いや、今は」

勇人:ヴァイスです! キリッ。

神崎:「ヴァイスと名乗ってますが、彼らをサポートしてあげてください」

GM/芹奈:『彼に伝えていただけません? あの外見はあまりにも悪趣味だ、って』

神崎:「解りました。そのままの言葉を、伝えましょう」

勇人:「趣味のいい復讐なんて、この世にはないよ(笑)。ってことで、(指を鳴らし)円くん。僕とドクターも出る。ヘリを出してください」

GM/円:「かしこまりました」

勇人:僕が操縦するんですけどね(笑)。実際、この方が渋滞しないし。

GM:〈航空機操縦〉で、1だけは振らないでくださいね。

勇人:はーい。(コロコロ)大丈夫。
 

 一方その頃。
 黒塗りの車は、倉庫裏手のスロープには向かわず、正面にまわって停車する。
 タクシーを降りたフリオが見つけた表札には、『虎長化学』と書かれている。
 

フリオ:いや、もう、ひどい。

GM:察してくださっているようですが、説明します。ここは、表向きは虎長化学という会社の有機肥料倉庫なんですが、中ではゴスポグを水稲栽培しています。裏にある地下へのスロープは、人間の死体を運び込むために作られたものです。

神崎:えっ、ゴスポグを作るのって、人間の死体が必要なの? ロクでもねぇなぁ!

勇人:オーロシュのハイロードであるゴーントマン先生が、こういうのあるけど使う? ってみんなに配った。金輪さんも、もらったはいいけど、こんなホラー丸出しの、怪物みたいなの使えないよー。でも、使わないのも勿体ないなー。よし、水稲工場で育てればいいんだ!

GM:鎧の中に生やせばいいんだ!

神崎:今度は、女の子を使って、何か実験しようとしてるわけか。

フリオ:かどうかは解らないけど、ロクでもないことは確実。

GM:神崎さんと勇人さん、2人とも〈手掛かり分析〉で。

神崎:(コロコロ)1。リンクは切れないけど、全然解らん。

勇人:(コロコロ)プラマイゼロで12。

GM:普通の倉庫だったら、歩哨は立たないことがほとんどですよね。でも現在、見るからにカタギと思われない人が、2名ほど、サブマシンガン持って立ってる(笑)。

フリオ:いやいやいや。

勇人:やる気満々だー!

GM:(ソースブックの地図を見せて)あと、こことここに監視カメラがあるよ、って書いてあります。

勇人:そうね。マスター用の地図だからね(笑)。

GM:きっと、芹奈さんが手に入れてくれたんですよ。ここが地上の高さで、L字型のキャットウォークになってる。吹き抜けの地下に、タンクがあります。

神崎:誘拐された人は、地下に連れて行かれた、ということですかね。

GM:フリオさんには見えたんですが、車から、黒服が2、3人出てきて、女の子を抱えて、歩哨のいる正面入口から中に入って行きました。

フリオ:なるほど。

神崎:フリオさんと合流して、「どうしましょうか? 突っ込みますか?」

イクイリ:僕、ヘリから飛び降りていい?

勇人:うん。そのつもりで連れてきた(笑)。飛び降りても平気だ、ってことは既に実証されたので(*19)。あれで平気だったんだから、大丈夫でしょ、全然。

フリオ:霧化して、降りる。

神崎:シューって降りたら、霧がパッと自分の姿に戻る、って、すげぇアクションヒーローっぽい!

GM:ただ、1を振ったらリンクが切れて、墜落死します。

イクイリ:お、おう。

勇人:おすすめは、ヘリコプターの中で霧になっておくこと。

イクイリ:(コロコロ)成功。じゃあ降下しまーす。判定はいい?

GM:要らないです。2人が、どうしようか相談してる間に、半物体みたいな形で降りました。

イクイリ:因みに、歩哨が立ってるところの近くに降りて、〈催眠術〉使いたいんだけど。

GM:おお、面白いですね。〈催眠術〉は、達成値で相手の《知力》以上を出さなければなりません。対象が興奮、緊張状態にある場合は、難易度が+5です。

フリオ:興奮はしていない。

勇人:緊張状態でも、まだない。

イクイリ:上司のような面をしながら、一対多行動で、目を合わせて〈催眠術〉を掛けようとするよ。(コロコロ)ポシビリティ使っておくか。(コロコロ)“ひらめき”も使っておく。+3で25。

GM:すごい成功ですので、5つの暗示を与えることができます。

神崎:お、素晴らしい。

イクイリ:じゃあ、「私はあなたの会社の上司です」、「何かあったら私たちを守りなさい」、それから、「最終的に、ここであった事件のことは忘れなさい」という3つの暗示を与えてみよう。

フリオ:なるほど。

イクイリ:「これからお客さんが来るので、ちょっと道を開けなさい。ああ、そうだ、お客さんが怪我をするといけないから、何か変な仕掛けとかあったら教えてくれないか。誤って変なスイッチを押したりしたらいけないからね!」

GM:「お客様が来られたことが、残ってはまずいわけですか?」

イクイリ:「政府のお偉方だからね。こっそりお忍びで来てるんだよ」

GM:「わかりました。では、監視カメラの電源、切っておきますね!」

神崎:おおーっ! すげー!

フリオ:それは有難い。

勇人:この方法のすごいところは、〈催眠術〉だから、記憶にも残らない。完璧!

GM:では、ちょっとだけ、倉庫の中が今どうなってるか説明しますね。キャットウォークの上に連れて行かれたゴスロリ衣装の女の子は、目隠しを外されて、「ここは・・・」「おっと嬢ちゃん、暴れるなよ? そいつがうっかり手を離しちまうかもしれないぜ」隣の奴がちょっと押せば、タンクの中に落ちてしまうような位置関係です。

一同:ふむふむ。

GM:「ここは、何故、こんなに死者の気配がするの?」

フリオ:あー、この子か。

神崎:この子が、お祖母さんが呼び寄せようとした。

勇人:ネクロマンサーの子ですね。

GM:彼女は小さなガラス玉を取り出して、数秒間の詠唱。【サンストア】の呪文によって、光が増幅されて、倉庫に入った皆さんは、いきなり奥が明るくなったのがわかります。

勇人:圧縮魔法か。

GM:「あなたも死霊術師なのね。下に見える液体が触媒?」「あ、兄貴、このアマ、やばいかもしれませんぜ!」「それがどうした! タンクん中に沈めちまえば、証拠なんて残らねぇ!」

フリオ:まずい。

勇人:ああ、悪い意味でヤクザらしい。

GM:という状況です。どうしますか。

フリオ:当然、突っ込んで行きますよ。

神崎:フリオさんに、「行こう!」って言って駆け出します。「今助けるぞ!」

勇人:僕は、いつでも動けるように、ヘリで旋回しています。

GM:ここで、ドクターは、大事なことに気づきます。彼女のことをあなたは知っています。

イクイリ:あ。

GM:(“仇敵”カードを示して)彼女はネヴァンといって、あなたの憎っくき仇です。

神崎:お、仇なんだ。

GM:あなたは、彼女にひどい目に遭わされたことがあります。

イクイリ:僕が彼女に対して、憎しみを抱いているということ?

GM:はい。憎っくき相手が目の前にいるのですが、どうしますか?

神崎:ああ、なるほどね。助けるかどうかだね。

勇人:こちらはその情報を知らないから、ゴスロリっ子が、ピンチだ! としか思わない。

GM:なので、ちょっと逡巡していただけると、楽しいかな。勿論、後でポシビリティを差し上げます。

イクイリ:ありがとうございまーす。

GM:カードの調整が済んだら、ラウンド進行に入ります。

 
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