TORGリプレイ

『月光夜曲』

 
 

第一幕

 
シーン1 墜ちたる者
 

サイバー教皇領出身のシオンと、ガイア出身のセバスチャン。
ある程度経験を積み、名を知られたストームナイトである2人は、
ロサンゼルス市警のロバート・ウッドヘッド警部に呼ばれ、警察署を訪れる。
応接室へ通され、しばらく待っていると、汗を拭き拭き警部が現れる。
 

GM/ロバート:「2人とも、よく来てくれたな」

セバス:「毎度お世話様です」

GM/ロバート:「ちと、あんたらの力を借りたくてな。実はだな、ここ最近ロスの裏街の方で、馬鹿でかい狼を見たって話があってな」

セバス:「狼、ですか?」

GM/ロバート:「そうだな。馬ぐらいある狼だ」

シオン:「それは、狼と言うのか?」

GM「外見からすると、狼としか言いようがない」〈知識(神秘学)〉で判定。〈オカルト〉で代用して良いですよ。

シオン:(コロコロ)1・・・。

セバス:(コロコロ)普通に、14。

GM:ではセバス。あなたには、狼と聞いて、オーロシュの人狼がすぐに浮かびます。あれは、堕落した悪魔であり、感染することもあります。基本的には、狼に変身すると、人間とは違う強い力を持ちます。弱点を持っていることもあります。普通の武器が効かなかったり、銀の武器で倒したり。ただし、個体差は大きい。それに、オーロシュの魔物なので、コアアースに出てくるってのは、あまり多くはないはずです。

セバス:ほぅ。

GM/ロバート:「と同時にだ、スラムのとあるアパートで・・・こんな、事件があってな」
 

ロバート警部は、大きく引き伸ばした1枚の写真を取り出す。
それはぼろアパートの一室で、床には魔方陣。
部屋中にニワトリの血が大量に振りまかれ、四方に黒いろうそく。
まさに絵に描いたような、儀式の痕である。
 

GM/ロバート:「ちとタイミングも合いすぎていてな。あんたらから見て、これが、ジャンキーどものパーティなのか、それとも違うものなのかを、教えて欲しい。単なるジャンキーの仕業なら問題ないんだが、万が一があるからな」

セバス:「ちょっとそれを貸していただけますかな」何か、やばそうな雰囲気します?

GM:うーん、写真からだとわかんないですね。

セバス:「実際に見てみないことには、何とも言えませぬな」

GM/ロバート:「じゃ、今からその現場に行くからよ、ついて来てくれ」
 

2人は、ロバート警部に伴われ、スラム街のアパートへと向かう。
途中でパトカーを降り、車の入れない道をどんどん奥へ進んでいく。
 

GM:と、進行方向の横道から、ぼろを纏った男が出てきて、警部にぶつかります。男はすらりとしてるんですが、そろそろ中年太りが気になり始めるかなーという、体重が7・80キロの警部の方が、しりもちをつきます。「いてっ! おい、何すんだよ」

セバス:ほぅほぅ。

GM:男の身長は180ぐらいで、ぱっと見、かなり薄汚れてますが、おそらくは欧米系。「あぁ、これは失礼」と言って、警部を片手で軽々と立ち上がらせます。

シオン:それは見た感じおかしいな。このドーナツ食いすぎ体型をひょいと持ち上げるなんて(笑)。

セバス:〈手掛かり分析〉で振って良いですか?

GM:どうぞ。あとシオン、《知覚》でチェック。目標値は13。

セバス:(コロコロ)お、19。んー、達成値21って感じ?

シオン:《知覚》?(コロコロ)8だから、関係なし。

GM:オッケー。まずシオンは、「あれ? この人どこかで見た気がするな」と思います。そしてセバス。彼は、見た目通りの身体じゃない。そして、「これは失礼」と言った時、明確に、フランス訛りがある。

セバス:うーん・・・か、〈看破〉してみる?

一同:いきなりかよ!(笑)
 

脚注。〈看破〉とは、人間の堕落具合や、人に化けた魔物の本性を見抜く、
オーロシュ特有の技能である。
セバスは、この男に何かを感じ、正体を確かめようとしたのだ。
 

GM:「申し訳ない、急いでいたもので。!」彼は、シオンの方を見ないようにしながら・・・。

シオン:露骨だぁー。ジーッと見るね(笑)。

GM:セバスの襟首を掴んで、「おい貴様、あいつは何処だ?!」

セバス:おや?

GM:サイドストーリー“人物誤認”カードをプレイします(笑)。

セバス:あぁ、納得。

GM:「お前の女主人だ、どこにいるっ?!」

シオン:女、主人?

セバス:「少しお待ちいただけますか。わたくしの名は、サー・ガストン・セバスチャンと申します。貴方のお名前は何とおっしゃいます? まずそこから始めていただかないと」

GM:そうすると、彼の目の虹彩、すごく複雑に動いていたんですが、それがヒューッと戻ります。焦点が合うような感じ。

シオン:うわ、警戒アイだ。こいつサイバーウェア使ってる。

GM:「・・・すまん。人違いだ。私の名はマルセル」シオン、名前を聞いたので、もう一回知ってるかどうかチェック。目標値は11。

シオン:(コロコロ)3とか振っちゃった。ポシビリティを使います。(コロコロ)18で判ったよー。

GM:では、マルセルと名乗った男が、立ち去った直後に、気づく。確かマルセルって名前の奴が、ホスピタラーにいた。

シオン:ホスピタラー?

GM:サイバー教皇領には、異端者とか怪我人とかを、「貴様を収監する!」と、病院へ強制収容する、ホスピタラー(病院騎士団)という集団がいるんです。教会組織の中でも、かなり権限が強い部署として、知られています。因みにきみが知るホスピタラーは、マルセル・ジュネという名で、大審問官ベルナール・ジュネの甥っ子だ。

一同:ぎゃー、大物だ!

GM:フランスにいる時は、もっと精悍としてたんだけどね。無精ヒゲも生えてないし。ホスピタラーの中でも、それなりの地位についていて、おそらくこのままいけば、枢機卿候補にのぼるだろうという人物です。

シオン:じゃ、知ってることをしゃべります。

セバス:ほぅ。そんなに身分の高い奴が、なんでこんなトコにいるのかね。

GM:「なんだ、知り合いか?」とロバート警部。

シオン:「知り合いというか、向こうが有名人だ」

GM:「そうなのか」警部は肩をすくめて、「墜ちるもんだな、人間ってのは」

シオン:・・・・・。

GM:「さて、行こうぜ」というわけで、現場に着きました。中の様子は写真で見た通りです。シオンは〈信教〉で、セバスは〈オカルト〉でチェックしてください。

セバス:はーい。(コロコロ)出目が3? どうしようかな。

シオン:〈信教〉だから、基本値は12ある筈なんだけど。(コロコロ)5・・・。

GM:えっとねぇ、シオンはその出目だと、「うむ、背信的である」と思います。

セバス:判ったよ、ポシ使うよ。

一同:お願いしまーす。

セバス:(コロコロ)10、振り足し。(コロコロ)27。

GM:高っ!

セバス:達成値23。

GM:なら判ります。はっはっは、子どもの遊びだ!

セバス:子どもの遊びですか?!

GM:ふと見ると、燃えかすの中に、オカルトショップのレシートがあるよ(笑)。何て言うか、映画のセットのように、それっぽく見せるためだけの物なんだな、というのがよく判ります。

セバス:要は、雰囲気を出しているだけ。効果はない、と。

GM/ロバート:「で? どうだ?」

セバス:「(威厳たっぷりに)ただのジャンキーパーティですな」

シオン:「(セバスと同時に)邪悪だ、許せん!」

GM:あぁー。どっちを信用すればいいのだろう。いや待てよ、邪悪=反宗教的であって、子どもの遊び。矛盾はしない。「そうか、よく解ったぜ!」

シュア:警部、すげぇコアアーサーっぽいよアンタ!(笑)

GM:「すまなかったな。こんなところまで来てもらって」といったところで、シーンを切ります。続いては、アイル組。
 

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入手NPCカード:ロバート警部
 


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