第三幕

 
シーン２　二十六夜の獣―Crescent Beast―
 

マリアのバーは、スラム街の外れ、繁華街寄りに建つ雑居ビルの
上階に位置する、比較的大型のバーであった。
 

シオン：まず店内をひとまわり見ます。

ＧＭ：マルセルはいない。

シオン：ブランデーを頼みます。

ＧＭ：あなたの外見に惹かれたのか、大げさな嬌声を上げて、何人かのショーガールが寄ってきます。「あら、お兄さんひとり？」「どこから来たの？」

シオン：・・・しょうがねぇなぁ！　格好良くやるよ！（片肘をつき、もう一方の手で邪険に追い払う仕草）

セバス：（客の演技）「何だよ、お高くとまってるなー」

ＧＭ：「まっ、何て高慢！」「・・・けど、『彼』に似てない？」「あ、雰囲気似てるわね」「クールなトコとか。そこが魅力なのよねー」

シオン：耳ダンボだね（笑）。

ＧＭ：次の瞬間、上の方で、ドカーンという音がする。

一同：ドカーンかよ！

ＧＭ：恐らく、上の階か屋上で、騒ぎが起きてるんでしょう。シャンデリアが、ぐらんと揺れます。

シオン：食い逃げはイヤなので適当にその辺に金を置いて、「上、上に行くにはどっちだ？！」

ＧＭ：「あ、あっちの階段！」

セバス：（野次馬の演技）「何だ何だー？」

ＧＭ：で、客達が話してる中で聞こえたのが、「おい、屋上だぞ」「なんだ、用心棒のトコか」

シオン：ピンポイントかよ！　上行くよ。

ＧＭ：はい。階段を上ると屋上に出ます。屋上のネオンボードの後ろに、警備員さんの仕事小屋みたいのがあって、そこの壁が、一面ごそっとなくなっています。

シオン：あら。中から壊した？　外から壊した？

ＧＭ：中から壊した感じ。そしてあなたは、夜の中にひときわ高く響く、狼の遠吠えを聞きます。〈威嚇〉。（コロコロ）ゴメンよ。いい目だよ。達成値２０。

セバス：でっけぇ！

シオン：積極防御。（コロコロ）出目が１４だったから、＋１にしかなんないから・・・萎縮（注：振り足し不可になる）か。

シンディ：これの被害軽減にはポシビリティは使えないんですよね。

ＧＭ：使えません。バッドステータスであって、ダメージではないので。

シオン：しょうがない、食らうよ。「何ぃっ！」

ＧＭ：では、あなたは見ます。今にも消えそうな三日月の向こう側に、人間のものではない高さで跳んでいく、銀の獣毛を持った、巨大な狼。はっきり判ります。サイバーレッグを使っています。そしてもうひとつ。小屋の反対側のネオンボードの壁に、ひとりの人間が、床をぶち抜くようにして埋まってます。

シオン：どっちの方に向かったかだけ確認して、その人を助けに行きます。

ＧＭ：男は、痛みにうめいています。重傷ってヤツですね。

シオン：「・・・治してやっか♪」

シュア：嬉しそうだな、おい（笑）。

ＧＭ／男：「き、キミはセスラムかい？」

ディアン：セスラム？

シュア：何でヴィクトリア人の宗教なんだよお前。

ＧＭ／エマニエル：「気持ちは嬉しいが、辞退しておこう。貴族として！」

シュア：うわ！

シンディ：嘘！

シオン：坊っちゃん？

セバス：嘘ぉ？！　坊っちゃん負けた？　うちの坊っちゃん負けた？！　そんな馬鹿な！！

一同：（爆笑）

シュア：動揺、動揺！　動揺してるよ！　ルールブックの同じページを何度も何度も繰ってる！（笑）すごい動揺っぷりですよ。

セバス：負けた？・・・いや、そんな馬鹿な！

シンディ：坊っちゃん負けたのが信じられないらしい（笑）。

シオン：「とりあえず、手当てができるところまで行こう」と言って、肩を貸す。

ＧＭ：「いや、待ってくれ。まだ何か、あるかもしれない」そう言って、彼は這いずるように、部屋に向かおうとしています。

シオン：おろおろしながら追いかけるね。

ＧＭ／エマニエル：「あの人狼は、僕の友達なんだ。殺したくない。何とか彼が元に戻る道を探しているんだが、〈説得〉にさっき失敗した」

セバス：まず〈説得〉するのはさすがだね。

ＧＭ／エマニエル：「ちくしょう、マルセルめ。いきなり狂乱するなんて！（はたと気づき）そうだ。キミは、マルセルの知り合いかな？」

シオン：「知り合いと言うほどのものではないが」

ＧＭ／エマニエル：「具体的に訊こう。キミは、サイバー教会の人かい？」

シオン：「いや、今は違う」

ＧＭ：「そうか。ならば、いい」彼は立ち上がると、汚れをパンパンと払い、しかめっ面でうずくまる。

シオン：無理してるー！

ＧＭ／エマニエル：「いや、すまない。・・・ちくしょう、手加減なしで殴りやがって」

シオン：「何を手伝えばいいんだ？」

ＧＭ／エマニエル：「多分何か・・・あると思うんだけど、僕は探索が苦手なんだ」

シオン：「安心しろ、わたしもだ！」（笑）

ＧＭ／エマニエル：「はっはっは。〈説得〉は好きなんだけどねー。はっはっは・・・（溜息）爺がいればな」

一同：（笑）

ＧＭ／エマニエル：「確かこの街には・・・いや、だがしかし！」

シオン：じゃ、「安心しろ、わたしが頼りになる仲間を知っている！」

ＧＭ／エマニエル：「本当かい？！」

シオン：「そこに案内しよう！」

一同：茶番だ、茶番ー！（笑）

ＧＭ／エマニエル：「そうだ、言い忘れていた。今は訳あってストームナイトをしているが、エマニエルと呼んでくれ」と言って歯が光った。

シオン：うわ、ナイルもんや、こいつ！　すっごい胡散臭い顔で見るよ俺は！（笑）
 

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