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TORGリプレイ

『Open Mind』

第一幕

 
シーン2 For your eyes only

 
GM:バスは、衝突しなかったから、大丈夫ですね、普通にドアが開きます。

宗元:「いやー、ビックリしたのぅ」

イリス:「わ、私もビックリしました!」

裕人:パンパンと、手を払ってます。

GM:「た、助かった!」「ありがとうございます!」

宗元:「誰か怪我した奴はおらへんか。大丈夫か?」

GM:「中に、怪我をした人が!」あれだけのスピンですからね。

ジョシュア:そうですね。

宗元:じゃあ、もみくちゃになってる人たちを、「うぉっし!」(担ぎ上げる)

GM:そうすると、一組の男女が目に留まります。今、宗元さんが担ぎ上げたのは、頭から血を流している、白人の男性。その男性が、かばっていたのは、イリス、あなたの知っている少女です。

イリス:「あっ! あ、あなたどこかで・・・」

GM:彼女は、自分の傍から、体温がなくなったので、はっと顔を上げて、「ニコライ、どこなの! 私をひとりにしないで!」と、言います。

裕人:あれ? 眼、見えてないの?

GM:ビンゴです。彼女は、視力を喪っています。

宗元:「大丈夫や。嬢ちゃんの連れは、無事や。ちょっと頭、怪我しているが、命に別条はあらへん」

GM:彼女は落ち着きを取り戻し、声のした方を向いて、「ここでお会いできましたか。ストームナイトの皆さん」

裕人:おや?

GM:「私は、ロシア超能力研究所の、カトリーナ・トヴァリシュと申します」

裕人:カトリーナちゃん。

GM/カトリーナ:「大英博物館から、迎えに来てくださったストームナイトというのは、皆さんですね」

イリス:「あ、は、はい。私たちです」

GM:お解りだと思いますが、皆さんは自分の素性を一言も話していません。

裕人:見た目、何歳ぐらいなんですか?

GM:自分のイメージだと、17、8なんだけど、すごく幼くも見える。

イリス:お姉ちゃんだ、お姉ちゃんだ。

GM:だいたい、釣り合いは取れるのよ。外見年齢的に。

裕人:何の話ですかね(笑)。

宗元:「未だに、ストームナイトって言われても、いまいちワシは、ピンとこんのぅ」

GM/カトリーナ:「我が身を顧みず、沢山の方々の命を救おうとしてくださった。それは紛れもなく、ストームナイトの行いです」

宗元:「このバスが、どっかにぶつかったら、いっぱい人、死ぬやないか。そう思うたら、身体が勝手に動いたんや」

ジョシュア:「とりあえず場所を変えよう。バスの中では邪魔になる」

イリス:「そ、そうですね」

宗元:「オッサンを、病院に連れてかなアカンしな」

GM:ということで、ニコライと呼ばれていた男性を病院へ連れて行くのは、シーン外の処理として、皆さんは、カトリーナと一緒に大英博物館に移動します。因みにジョシュアは、彼女たちが来ることを聞いていました。

ジョシュア:ええ。

GM:ロシア超能力研究所は、ストームナイトの皆さんと同じ、侵略者と戦っている側です。TORGの日本語版として出版された世界は6つなんですけど、カトリーナは、7つ目の世界がやって来るのを阻止した作戦の立役者です。

裕人:ふーん。

ジョシュア:サーコルドって、どこでしたっけ。

GM:それです。サーコルドがいつ、地球のどこに降りるのかを彼女が予知して、そのおかげで、世界を繋ぐブリッジを壊すことができたんです。

ジョシュア:あ、ごめんなさい、別に誘導して訊こうとしたわけではなくて。

GM:いえ、大丈夫です。最初からこの情報は出すつもりでした。彼女が「私は予知能力者です」なんて言うとは思えないし。

イリス:ですね。

宗元:自分からそれ系の能力を言うって、絶対ペテン師だ。

GM:彼女は、この大英博物館の、ロゼッタ・ストーンに用があるそうです。

ジョシュア:ああー。はい。

GM:ロゼッタ・ストーンは、ヒエログリフとギリシャ文字で書かれていて、ヒエログリフを解読する手掛かりになった、大きな石碑です。彼女が持っている石板と照合すると、エジプトのどこかにある、エタニティ・シャードの手がかりが得られる、ということで、情報部から、彼女を通すようにと、お達しがあったのです。

ジョシュア:なるほど。解りました。

GM/カトリーナ:「エタニティ・シャードは、その地に暮らす人々の想いが詰まった、ポシビリティの結晶のようなものです。侵略者たちは、それを悪しき目的で使おうとしています。特に、エジプトを支配しているナイル帝国は、ポシビリティで動く、怪しげな機械や、恐ろしい爆弾を作るために、エタニティ・シャードを集めています。決して彼らに、エタニティ・シャードを渡してはなりません。そのために、ニコライと私は派遣されたのです」

裕人:ふーん。

GM:カトリーナと並んで廊下を歩くイリスは、気づくんですけども、彼女の青い瞳は、何も映してはいませんが、彼女は、苦もなく歩いています。杖ぐらいはついてますけどね。

裕人:じゃあ、訊くだろうな。「あれ? 眼、見えてんの? 見えてないの?」

GM/カトリーナ:「見えなくても、貴方の姿は、視えています」

裕人:「へぇー。じゃあキミも、能力持ちなんだ」

GM:って、言ったんですね。

ジョシュア:しかも今、キミも、って言いましたね?(笑)

GM:言った言った。あなたのことをまっすぐ見て、「あまり、人に話せることではないので」

裕人:くーっ、怖ぇー! じゃあ、フードを深くかぶって、「まあ、そういうこともあるよね」

GM/カトリーナ:「いつか、話せる日が、来ると、いいですね」

裕人:その言葉には、無言になります。

宗元:「超能力なぁ。ただの人間のワシにとっては、よぉ解らん話や」

裕人:その言葉を聞いて、くくく、って笑ってます。だって、自分と同じくらいの《筋力》を持ってる人が、ただの人間とか言ってるんで。

イリス:きょとんとして、「魔法、みたいなもの?」

GM/カトリーナ:「そうですね。魔法と同じように、ある種の触媒を使って、世界を変える力を生み出す、と思っていただければ」

裕人:ふーん。

GM:ある種の触媒、という言葉に、ちょっとだけ引っ掛かりを覚えます。

イリス:そんなカトリーナさんの袖の辺りをギュッと掴んで、「私も、バレたらね、異端、って追っかけられるの。だから、私も内緒」

GM/カトリーナ:「では、少し、目立ってしまったかもしれませんね」

イリス:「ホントは、やっちゃいけない。でも、ああ言ったら、追っ払えるかな、って思ったんだ」

ジョシュア:「場所が場所だったら、あれだぞ、天秤のこちら側にお前を乗せて、体重を計られたりしたかもしれないぞ」

イリス:きゃー。ビビリに戻って、そのへんの物陰に隠れてます。

宗元:「まぁ、そんなけったいな奴らが来たら、また追っ払ってやりゃあいい!」

GM:頼りになるお兄さんだねー。

イリス:すごく頼りになりますね!

ジョシュア:自分は、カトリーナの耳元でボソッと、「触媒を無駄遣いするなよ」

GM/カトリーナ:・・・・・。

宗元:「まぁ、世界を変えるなんて、ろくな考え方やあらへん。普通は、人間ちゅーのは、ただ単に自分しか変えられへんのや」

裕人:・・・ぐさっ!(笑)

宗元:多分、ワシ自身にも言ってるかもしれない。
 

 
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