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TORGリプレイ

『Pandora』

 

第三幕

 
シーン1 C’est promis

 
 かつての炭鉱都市、ランスに作られた観光名所、ルーブル美術館別館。
 フランスを支配するサイバー教会は、その建物と敷地を丸々病院に転用していた。
 「神の救護院」。間もなくここは、戦場になる。
 

神崎:作戦を始める前に、マルセルと会話しておきたい。「マルセル。フランスへ戻ってきて、前からずーっと言ってた、あれ、やるのか?」

マルセル:「あれ、というのは?」

神崎:「普通だったら絶対にハッキングできない、ゴッドネットに、ロックを流すってやつさ。俺は初めて聞いた時、何トチ狂ったこと言ったかと思ったけど」

マルセル:一瞬、この男は何を言ってるんだ、って顔をしてから、「ひとつ教えておこう。システムである以上、ハックできないものを作ることはできない。構造というものには、必ず裏が発生する。それは、ゴッドネットですら例外ではない」

神崎:「俺は、ネットのことはよく知らないし、システムがどれほどのものか解らないが、少なくとも、それをやったら、あんたはヒーローだよ」と、“ヒーロー”カードを交換します。

勇人:うんうん。

神崎:「しくじるとは思わないが、うまくやれよ。俺は俺の方でうまくやる」

マルセル:「お前がどのように生きてきたか、短い間だが見てきた。お前は必ずやる人間だという風に、俺は結論付けている」

神崎:軽く頷いて、2人の方に向かって、包帯を巻きながら、「というわけだ。俺は患者として中に入る」

マキシム:俺〈応急手当て〉持ってるんで、俺が巻こうか。

勇人:いいですねー。会話しながら巻くといいと思うよ。

マキシム:(コロコロ)14。+1の、〈応急手当て〉12。「神崎。お前はこれからひとりで、中に入るわけだが、お前の剣の腕があれば、中の奴を助けるなんて、容易いもんだろ?」

神崎:「まあ、何とかしてみるさ。今までもずっとそうやってきたんだ。それと、1個だけ、興味があるんだ」と言った後にですね、苦笑しながら、「あの人どうやって口説いたんだ?」(笑)

マルセル:確かに。

神崎:すごくいい男だってことは解る。ただ、何て言うかな、男にとって魅力的な男性なんだけど、女性にとってどうなのかな、っていう。

GM:うん。端的に言うと生活無能力者。

マキシム:やめろ!(笑)

勇人:さらに、女性が結構、無理目な女、という(笑)。

神崎:多分、このタイミングでしか訊けないんだ。改まって訊くものでもないから。

マキシム:そうだなー。「お前が、無事に帰ってきたら、後でたっぷり教えてやろう」

一同:おおー。

勇人:いい返しですねー。

神崎:「解った。終わったら酒でも飲もう。口が軽くなるような酒をな!」と言って、「嵐王寺。外のことはよろしく頼む」

勇人:「お気をつけて。ある意味、一番危険な任務です」

GM:忍者は側にいるけどね。「我々が常に付き従っているでござる!」

神崎:「目が覚めたばかりで状況が解らない100人に対して、襲い掛かられたら、さすがに俺ひとりじゃどうにもならない。だから、忍者が手足となってくれれば助かるし、恐らく俺は戦っているだろうから、100人の説得は任せるぞ」

勇人:「解りました」忍者の皆さんにも、通信機を渡して、フレキシブルに動けるようにしましょう。「事情説明はしますので、100人が復活したら、彼らを乗り物に誘導したり、場合によっては、武器を渡したりして、できる限り、僕らの戦力にそっくり変えられるよう、よろしくお願いします。あとは、神崎さんから言われた通り、手足となって動いてください。彼の力を十二分に発揮させることが、皆さんのミッションです」

GM:「了解でござる!」

神崎:「じゃ、行ってくる」と言って、忍者の方に合図をして、中に入っていきます。

勇人:「ご武運を」
 

 剣を交わし強さを認め合った好敵手、神崎を見送り、
 決戦に備えて身体を動かし始めたマキシムに、後ろから声が掛かる。
 

マルセル:「マキシミリアン殿。訊きたいことがある」

マキシム:「何だ?」

マルセル:「あなたは何故そのように在り続けられるのだ」

マキシム:「・・・俺は、ただ自然体に生きてるだけだ」

マルセル:「その、自然に生きる、ということから、俺は無縁だった。俺は、神崎のように、心を持って刃を振るうこともできない。ランオウジのように、彼と彼らの家族が築き上げた財産を以て、何かを生み出すこともできない。あなたのように、強靭な力を持っているわけでもない。俺は、サイバーデッキを使って、少しだけ物事の歪みに付け込むことと、このゴッドミーターで、俺より弱い者を、神の許に連れて行くことしかできない。本音を言おう。全員のことを妬ましく思っている」

GM:・・・・・。

マキシム:「お前には、いいものが沢山あるじゃないか。頼りになる、相棒。それから、お前のその腕前。きっとお前は、色々苦労してきたんだろうな。そして辛い道も歩んできたんだと思うが、その腕前は信用していいと思うぞ。俺はな」

マルセル:「それでも、あんたのような光は、俺にはない。いつ、俺のこの闇が晴れるのか、どうしようもなく不安でならないのだ。恐らく、あんたにこう問いかけたところで、俺の悩みは消えないだろう。だが、それでも聞いてみたくなった。強者である、あんたの言葉を」

一同:・・・・・。

マキシム:「俺も、色々あってな。故郷に残した家族が、人質に取られたり、それから、芹奈のことだが、あいつと離れ離れになったり、色んなことがあった。だが、ストームナイトっていう、心強い仲間を得られたことで、俺はひとつの答えを見つけられたし、失ったものを取り返すことができた。お前もいつか、答えを見つけて、もしかしたら、なくしたものが見つかるかもしれないな」

マルセル:「(ため息をついて)感謝する。そして、戦いが始まる前に、はっきり言っておこう。あんたを必ず愛する妻の元へ帰してやる」

GM:・・・きゃー!

マキシム:おおー? この野郎、いいとこ取られたなー(笑)。

マルセル:ケーブルをじゃこん! と首に挿して、「ジャックインを開始する。状況が始まったら、後は頼む」

勇人:では、話が終わったところでやって来て、「ということで、マキシムさん。お解りでしょうが、マルセル卿との約束を果たすためには、あなたが、彼の身体を守る必要があります」

GM:勇人の身体もね。

勇人:僕は、安全なところに自分で逃げますから。「僕もフォローはしますけど、矢面に立つのはあなたにお願いします。計画通りにお願いします」(“計画”カードを交換)

マキシム:嵐王寺、いつもすまないな。

神崎:いやー、いいね。実はね、今の台詞は、昔芹奈に言った台詞を、そのまま繰り返してるんだ。

GM:だから私(芹奈)がこんなに反応してるの。

マキシム:ああー、そっか、そういう意味もあったんだ。

勇人:夫婦にそれぞれ同じ台詞を言っている。お家に帰った時に、「マルセルにこんなこと言われたんだよ」って話したら芹奈さんがズッキューンってくる(笑)。

マルセル:あー、人間にそんな器官はないけど、フランス人袋がすごい充填している(笑)。

勇人:謎の器官が。

 
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