Pandora's Box Act2 Scene3-TORG Replay-

ＴＯＲＧ往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第二幕

球太郎：先生からのメールをさっと読んで、返信せずに動き出します。本隊が来る前に、できるだけ遠くへ！　ナオミさんの手を引いて、闇雲に早歩きを続けます。

「俺、社会人球団にいた時、研究所にも物資を卸してたんす。
　みんな一生懸命、こつこつやってて、科学者って、すげえな、頑張ってるなって」

　警戒を強めながら、おもむろに語り出す。
　ナオミさんを安心させるためか、自分の緊張を紛らわすためか、
　敵に警戒を気取られないためか・・・自分でも意識しないまま、歩を進め、言葉を紡ぐ。

「ナオミさんをテレビで見た時・・・タクシーで会った時・・・
　自信たっぷりな笑顔の後ろに、一生懸命、こつこつと、すげえ頑張ってる姿が透けて見えたんだ。
　そんで俺、あんたの笑顔を、もっと見たいって思ったんだ。そんで・・・」

　無器用な問わず語りをぶったぎるような金属音！
　反射で振り上げた金属バットと忍者刀がぶつかり火花を上げた！

　全く気づかなかった。そして、今も姿は見えない。
　当然だ、相手はニンジャ。親切に名乗りをあげてタイマン張ってくれるわきゃない。
　奴らの身上である「隠密」技術を最大限駆使して、こちらを削り取るハラに決まってる。

　いつの間にか、人の多い通りに出ていた。
　これなら敵も迂濶に手を出せないか、と思ったが、甘かった。
　裏通りならかえって死角が少なく、ナオミさんを体ごとかばうことで何とか対応していた。
　しかしこうなると、人混みや路面電車など死角が増える！
　奴らは「隠密」のプロ中のプロ、人がどんなに多かろうと見つかる愚をおかすはずもなく、
　逆に有効利用してくる！

　そして遂に・・・その時は訪れた。ニンジャ本隊の中で一番の手練れ、
　「軍神カンベエ」の異名を持つ金輪忍軍Ｖ６小隊（珍しい６人組の小隊）オカダの、
　必殺の刃が、球太郎の完全な死角をつき、ナオミさんの真っ白な喉元に迫る！

ＧＭ：Ｖ６小隊って（笑）。まぁいいや、面白いからそのまま使います。

　ここで、カードを切ります！
　“敵方失敗”を発動！
　失敗の対象は、ニンジャたちの「隠密」です。

　突如！
　ナオミさんが、何もないところで、すっころんだ！

　虚を突かれたニンジャの刃は収まるべき場所を見失って空をさまよい・・・
　その姿は、あろうことか衆人環視にさらされた。

「ちょっと、あれ」
「映画の撮影ですかな」
「そうかしら？　普通に人殺しじゃないこと？」
「メルシー・ボクゥ？」

　闇に隠れていたニンジャ集団はその悪意を白日の元にさらされ、人々の好奇と疑惑の視線を受けた。
　ぷっ、と思わず吹き出し、ナオミさんを助け起こす球太郎。
「ナオミさん、ほんとに強運っすね！
　これであっちは人殺し、こっちは正当防衛。遠慮なく暴れられる！」

「俺たちには希望がある！」
　希望の法則でいい流れ（イニシアチブ）を引き寄せた上で、見せ場宣言！
　“アドレナリン”、“ドラマ”、“ヒーロー”カードをかき集めて、
　ポシビリティつっこんで達成値を上げるだけ上げて、ニンジャ全員に複数回攻撃。

　アドレナリンが筋肉を駆け巡り、気迫がみなぎる球太郎の脳裏に想起される光景があった。
　金輪龍一が戯れに開いた、プロ球団と社会人球団の親善試合。
　プロ球団側は当然、常勝軍団金輪ゴールデンリングス。
　社会人球団側は、球太郎が初優勝に導いた維斗嶋製作所フリークウオッチャーズ！
　９回裏ツーアウト、３対０の大ピンチ、しかし満塁サヨナラのチャンス、
　金輪の当時のエース・苦輪多との勝負の打席！

　この時、球太郎は・・・
　「本業」ではただ一度の「偉業」を成し遂げた・・・

　その時と同じ感覚が、両の手に、それを支える腕に、体に、そして瞳に、魂に、炎と灯った。

ＧＭ：うおおー！　すごいボリュームの行動宣言ありがとうございます。カードを使うタイミングも完璧ッス。偉業達成です！

ＧＭ：ニンジャが投げた手裏剣は、あなたの金属バットにひとつ残らず弾き飛ばされます。ここはナイル帝国ではないので、ニンジャはホームランされてお星様と消えるか、あるいはその場に倒れ伏すか、選んでください。

球太郎：では、ニンジャたちは、ベタに、お星様になりニッポンの方向に飛んでったということで！　あと、ホームランの直後に、胸ポケットのメモリーカードに手を触れ、もうすぐ助けるからな、とつぶやきます。これで、魂だけになってる彼らも偉業の効果を、希望を感じてくれたらな、と。

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