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TORG往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第二幕

 
シーン2

 
 野原くんがストームナイトだと聞いて、逃げなくちゃ、と思った。
 ストームナイトは、外の世界の人間と戦って、地球を取り返そうとしている人達。
 私が外の世界から来たと知られたら、きっと殺される。

 けれども、私の抱いていた常識と、野原くんの行動原理は、全然違った。
 迷惑掛けるから別れましょうというのは、逃げるための嘘にすぎないのに、ひどく怒った。
『ストームナイトが動くのは、みんなの希望のため』。
 その言葉通り、地球よりもまず、私の研究成果を取り戻そうとしている。

 無事に取り戻せたなら・・・私はこれから、何をしよう。
 

マルセル:「野原。念のため確認だ。俺たちの任務は何か。そして任務遂行のために必要なものを思いつく限り、挙げてみろ」

球太郎:「俺の任務は・・・」マルセル先生を見て、ディ様を見て、そして沈黙してしまったナオミさんに目を向けて、嘯きます。「ナオミさんを騙して、ぬか喜びさせたやつらに、一発かましてやることっす!」

一同:・・・・・。

球太郎:実際、教皇領の作戦を邪魔してひと泡吹かせることになるから、嘘ではないですよね。しかし、先生の目が怖いので、ここから真面目に行きます。「もとい、神の救護院に捕らわれてる100人を助け出すことっ! 魂を戻す算段はマルセル先生に頼るとして、考えるべきはサイバーデッキ行使までのお膳立て、陽動と潜入ですかねー」

マルセル:「ほう・・・。(ニヤリと笑い)奇遇だな。俺も、野原と同意見だ」

球太郎:「えっ?」

マルセル:「俺たちストームナイトは、奪われた希望を取り戻す存在。宝条のかつての行いが非難されるべきものであったとしても、宝条から希望を奪い去った者を、野放しにする理由にはならない」

球太郎:先生、話わかるぅ! それでは、先生の目が怒ってると勝手に思い込んだが、先生の言葉を聞いて大いにホッとしたと同時に喜んだという心理描写演出で!

GM:ナオミにも、あなたの一生懸命な想いは届いていると思います。でもまだデレるには早いかな。

球太郎:デレるには「まだ早い」。方向性は間違ってないということですね。嬉しいお知らせ、ありがとうございます! では、投げるべき言葉は投げたと判断し、あとはミッションに全力を尽くす背中をナオミさんに見せ続けるとします。結果デレたにしろデレないにしろ、球太郎の青春の貴重な一ページとさせていただきます(笑)。

ディアン:「陽動と、潜入。二手に分かれるのか。・・・!」

GM:突然、ディアンの表情が険しくなります。

球太郎:「どうかしたんすか、ディ様?」

ディアン:「ニンジャが、オレたちを見ている」

GM:マルセルの義眼がせわしなく左右に動き、彼は静かにうなずきます。

マルセル:「残念ながらそのようだ。こうなると時間が惜しいな。野原。荷物を取り戻すために話をするか、ニンジャを迎え撃って話を聞かせてもらうか、好きな方を選べ」

球太郎:「うーん・・・ディ様、先生にニンジャを引き受けていただいて、俺がナオミさんと荷物引き取りに動く、てのはダメすかね? 先輩方を囮に使っちゃうようで恐縮ですけど、俺なら、運転手の顔も名前もナンバーも覚えてるから連絡つきやすいと思うんで」

ディアン:「わかった。教会警察がやって来ないように、街外れまで歩いて、ニンジャを引きつける。球太郎もナオミも、気をつけて」

球太郎:「ありがとうございます! お互い、コトが終わったらメール・・・えーと、魔法の手紙? で一報入れて、合流しましょう!」

マルセル:「行くぞディアン卿。さぞかし有意義な『話』が聞けるだろう」(退場)

GM:2人だけになり、球太郎が行動を起こそうとするより先に、ナオミが言います。

ナオミ:「ねえ野原くん。私たちを乗せたあの運転手が営業所にいたら、逆にまずいんじゃない? だって、私のことを通報しようとした人よ。別人が荷物を引き取りに来るというのも不自然だし」

GM:これ、私の素直な感想です(笑)。運転手が運よく不在なら、営業所の人間を言いくるめて(チップを掴ませて)荷物をもらって帰れると思いますが。

球太郎:「そこは当然、バッチリですよ! 任しといてほしいっす!」ぱかぱぱっぱぱー♪ とひみつ道具的なノリで、それこそドヤ顔で変装セットらしきものを取り出します。
 

 が、球太郎が偽造身分証の写真撮影に使ったという変装は、単なる口ヒゲにすぎない。
 女性用の変装道具に至っては、サイズの全く合わないカツラ、周回遅れのデザインのサングラス。
 しない方がまだましだと思われるほど、散々なクオリティの品々。
「し、しまったー! こんなのじゃモロバレだー!」
 

GM:ナオミは、頭を抱える球太郎を見て、久しぶりに笑顔を見せます。

ナオミ:「ほんと、貴方って喜怒哀楽が激しいのね。でもまあ、大丈夫よ。こう見えても私、運は強いの」

GM:その言葉通り、運転手は不在。無事に荷物を引き取ることができました。

球太郎:作戦の穴をつかれたときは、正直ダメかと思いました。ナオミさんの強運に感謝です。

ナオミ:「大事なものは、パソコンぐらいしか入ってないんだけど。でも、ありがとう」

球太郎:「いや、俺結局役に立ってねえし。ナオミさん、ほんっと運強いっすよね」と言いながら、先生の携帯に荷物を取り戻した旨報告メール入れて、逆に先生からメール入ってないか確認します。

GM:因みに、球太郎がニンジャ迎撃を選んでいた場合、マルセルが再度異端審問官に成りすまし、タクシー会社から異端者(ナオミ)の荷物を押収する、という芝居を打つ予定でした。

ナオミ:「・・・任務、だっけ。私が一緒にいるから、だいぶ計画が狂ってるんじゃない?」

球太郎:「全然っすよ。元々ノープランで乗り込んだもんで、先輩方が来てくれなかったらどうなってたことか。だから全然気にしないでほしいっす」

ナオミ:「100人が捕らわれてる、って言ってたわよね。肉体だけがその救護院の中にあって、魂は別の場所? 冗談きついわね」

球太郎:目を白黒させながら、必死で話についていきます。

ナオミ:「だいたい、魂ってどんな形をしてるのよ。ひとつひとつ手術で埋め込んだりするの?」

球太郎:「それはですね」と、預かったメモリーカードのこと、マルセル先生がサイバーデッキで魂を肉体に戻すことを説明します。

GM:期せずして、ナオミはチームのブレーン(作戦参謀)になってくれています。「こんな作戦はどうだろう」という思いつきがありましたら、挙げてみてください。

球太郎:4人目の仲間的な立ち位置になってくれたんですね! 嬉しいです! ヴァイキングの話(*7)で、IRAの女性が、心動かされて積極的に動くようになったのを思い出します。

GM:彼女はふっと遠い目をして、「もし私が野原くんと会ってなかったら、私は今頃、騙されて神の救護院にいるはず。今からでも捕まれば、役に立てるかしら」

球太郎:「そげんか危険なことさせらるーわけなかろーもんっ!

GM:(笑)

球太郎:実は九州男児だった球太郎、お国訛りが出るほどぷんすかします。とはいえ、いいアイデアは出ず。先生のメールを待ちながら、しばし考えあぐねますね。

GM:さて、そんな話をしているうちに、マルセルから返信が届きます。

マルセル:『迂闊だった。奴らの狙いは研究成果の回収と宝条の殺害だ。我々が二手に分かれたのを見て、ニンジャも同様に動いた。本隊はそちらへ向かっている』

球太郎:なにーっ!

マルセル:『しばらく耐えろ。もしくは、派手にお前の力を見せつけてやれ』

GM:補足しますと、戦闘等で偉業を達成することで、人々に希望を与え味方にすることができます。ウタカゼ的メソッド(笑)。

球太郎:熱い展開ありがとうございます! マルセル先生のセリフって、燃えますね。A(冷静なセリフ)、もしくはB(熱いセリフ)。この組み合わせ最強です。

 
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