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TORGリプレイ

『REWRITE』

 

第四幕

 
シーン1 パンドラの災厄
 

アーサー・リゲルの胸に、様々な想いが去来する。

ユウイチ、光、マキシミリアン、ディアン。
自分が何者かも判らぬ時に出会い、手を差し伸べてくれた4人。
僕はみんなに汚い嘘をついた。
―――芽生え始めていた感情を、切って捨てて。
―――腐っていきそうな心を、ただひとつの目的のために留めて。
アーサーはスペースシャトルのハッチを開ける。世界を救うために。

やがて、シャトルは遥かなる宇宙に向けて飛び立つ。
その機内には、5人のストームナイトの姿があった。
 

ユウイチ:あ、我々もシャトルの中なんですね。

:窓の外を見て、「地球か。何もかもが懐かしい」(笑)

GM:シャトルの中はすっからかんで、かなり広い空間が開いています。重力は殆どなくて、身体も軽くなっています。

ディアン:オレとマキシミリアンは、1Gです。観測できないものは存在しない(*23)から。

GM:ですよねー。この人たちは普通に動けます。他の人は、フワフワ浮いちゃって、何かに掴まらないとうまく動けない。つまり、まともに戦えるのは2人だけです。

:むしろさ、マキシムたちからすると「何でおまえら浮いてんの?」ってこと?

マキシム:うん。でも前に宇宙に来てるから、判るんだよね。おんなじマスターで、月に行ってる(*24)から。

GM:ということで、無重力実験とかやる、大きな空洞あるよね、あんな感じのところを、あなたたちはフワフワ浮いてて、2人は、カツカツカツカツ歩いてる(笑)。

ディアン:手を貸すか? オレに掴まっていれば、運ぶから。

ユウイチ:連れていってもらおう。

GM:はい。そうしますと、目の前に、ひとりの男が、立ちはだかります。

ディアン:誰だ?

GM:アーサーです。彼は剣を鞘に収めたまま、あなたたちがある程度の距離に来るまで、声も掛けずにあなたたちを見ています。

一同:・・・・・。

GM:なんでみんな生きてるんだろうって疑問は当然あるんですが、それは置いておいて、「今度こそ、諦めないと、いけないらしい。すまないけど、もう一度、殺すよ」と言って、彼は剣を抜き放ちます。

:「・・・僕はずっと考えていた。椅子を投げて5台の車を倒した時も、Dr.メビウスに選択を迫られた時も。そして悩んでいた。でも僕は解ったよ。仲間が間違った方向に行っているならば、僕が止めてあげなきゃならない! それが仲間ってもの。そしてそれが、正義の心ってもんだろ!」

GM:ああー。もう、ものの見事に正論ですね。「君の言葉は耳が痛いよ。でも、全てを正しい形に戻すためには、仕方がないんだ。大丈夫。僕もいつか罰を受けるから」

ユウイチ:「それはもう遅いな」と割り込んでみよう。「全てを正しい形に戻すと言うが、既にこの世界は、ひとつの形に進んでしまっているんだ。それを今更戻そうとしても、果たしてそれで、お前の望む未来が手に入ると思うのか?」

GM/アーサー:「判らない。ただ、僕は、今の状態がいいとは、到底思えない。ひどいことを言うようだけど、君たちは、何故、ここにいる? 君たちは、本来、この世界にいる筈ではない人間ばかりだ。この世界に存在し得ない力を使い、存在し得ない知識を持ち、そうやって矛盾を内包したまま存在してきたはずだ。だったら、何故僕が、矛盾をなくそうとしてはいけないんだ? 全ては正しい形に戻るんだ。君たちだって戦わずにすむ。誰も死ななくてすむかもしれない。少なくとも、他の世界の争いを持ち込まれることだけはないだろう」

ディアン:「たとえ、動き出した世界が、間違いだとしても、それを、止める権利は、誰にもない。アーサー、お前にも。何故、戦う前から、諦める?」

GM:そうすると彼は、ふっと笑って、「君たちが、まだ見ていないものを、見たからさ」

ディアン:・・・やっぱりそうか。

GM:と言って、彼は剣を構えて、一歩進みます。「君たちか、僕か、どちらかが、未来を紡ぐ選択肢を持っている。ただ、ペンは1本しかないんだ。もし準備がよければ、決着をつけよう」

:こちらも無言で頷いて、歩み出す。

リリアン:そしたら、光を止めて前に出よう。「で、結局お前は何がしたいんだ? 世直しでもするつもりか?」

GM/アーサー:「世直しというより、本来起きるべきでなかったことを、止めたいだけだ」

リリアン:「それによって、神にでもなるつもりか?」

GM:首を振って、「神様が助けてくれるならば、それでよかったさ。でも助けてはくれなかった。別に、神様をなじるつもりはないけれど、誰もやってくれないんだったら、力を持っている人間がやるだけのことだろう。たまたまそれが僕だったのさ。そりゃ、代わってもらえるなら代わって欲しいさ!」

リリアン:「はぁー(溜息)。そこまでアホだったとはねぇー。代われるものなら代わってくれ? だったら装置をよこしな。こっちでやってやるよ。お前みたいに、いちいち理由つけてウジウジウジウジくだらねぇこと言ってんだったら、さっさとケツまくって地球に帰んな! やるべきことはな、強い意志をもった人間しかできねぇんだよ!」って言って、キッと睨んであげよう。

GM:では、それにはちょっと驚いた、っていうか、図星を突かれたという感じで、「そうだね。今のは、失言だった。(記憶を探るようにして)リリアン、さんか。あなたの言うことは、もっともだ。今のは僕が間違っていた。いくら、一番大事なものが思い出せないからといって、誰かのせいにしたり、誰かに背負わせようとしたのは、僕の弱さだった。ごめん」

リリアン:「謝って済む問題じゃあない。お前がしようとしていることが、何を結果として生み出すか、解った上でやっているのか? それに、解った上でやってるんだったら、尚更クレイジーもいいところだな。目の前にある未来も見つめようとしないで、お前は、現実から逃げることしかできないのか?」

GM/アーサー:「僕は、君たちが見ていないものを見ている。だから、元から、変えるんだ。これ以上、悲劇が積み重ならないうちに」

ディアン:「アーサー。お前が、見たものが、何なのか、オレたちに、聞かせてくれ」

GM/アーサー:「・・・全ての終わりだよ。僕らは負ける。全ての可能性は奪い尽くされ、この星だけじゃない、他の世界、他の宇宙も、全てが滅びる」

ディアン:「そんな未来、信じなければいい」

GM/アーサー:「僕は全てを見てきたわけじゃないが、僕の知る限り、その未来は変えようがない」

ディアン:「未来が変わるかどうかは、オレたちが、行動して初めて、決まることだ。行動する前から、投げて、どうする?」

GM/アーサー:「僕は、確定した未来を、もう見てしまったんだ。君たちの言っていることを、僕だって思った時期がある。でも、もうその時期は終わったんだ。夢を見る時間は、もう終わったんだよ! くだらない幻想かもしれないけど、世界を戻すことに賭けるしかないんだ!」

ユウイチ:「それは、お前にとっての確定した未来であって、おれたちにとっての確定ではない。おれたちはまだ、シュレーディンガーの箱を、開けてはいないんだ。未来はまだ、生きている者たち次第で、いくらでも変えられる」

GM:アーサーは首を振って、「いくら話してもきっと平行線だろう。お互い、立っている位置が違いすぎる」

:「そうだな・・・。言葉とは無力なものだ。お互いの意志を伝えきれないことがある。でもその時のために、他に色々なコミュニケーションの方法がある。俺はこの方法を取ろうと思う」と言いながら、腰にあったピストルを抜いて、捨てるわけですよ。そして、「さあ、始めようか」と言って、ファイティングポーズを取る。

GM:では、苦笑いをしながら、「君は不器用だな。僕も器用ではないけれど」

:「そんな俺も、世界が変わったからこそ、できたのさ」みたいなことを言って、飛び掛かりたいです。

GM/アーサー:「(マキシムとディアンを見て)この中だと、まともに戦えるのは君たち2人だけだ。すまないが、他の3人は、寄らば斬らせてもらう」

:はっはっはー。因みに俺は、今回何も出来ない。

ユウイチ:変身もできないの?

:いや、変身しても、基本的に戦闘能力ねぇから。

GM:そうしていると、奥の扉ががっと開いて、ひとり、若干見覚えのある、杖を持った人物が、姿を見せるわけですよ。

ディアン:「お前は・・・?」

GM:「ちゃんとした挨拶は初めてだったな。ラーゲという。彼に協力して一緒にこの世界に来た者だが・・・」

ユウイチ:彼?

GM/ラーゲ:「色々な手違いが起きたようだな、アーサー。とっとと話を進めれば、楽だったものを」

ディアン:マスター。その声に、聞き覚えは?

GM:はい。勿論ありますよ。

マキシム:あっ、こいつかー!

ユウイチ:なら、おれも判るわけだな。そしたらニヤッと笑って、「なるほど。お前がある意味の黒幕だったんだな」

GM/ラーゲ:「まあ、同志という奴だ。そういう言われ方は心外だね。(アーサーに向き直り)どうせ我々の崇高なる目的が達成された暁には、消えてなくなる存在に、何の情を通わせる必要があろうか。だからお前は甘いんだ。間違いを正すこともできない、負け犬だ」

マキシム:じゃ、俺も、言い返します。「お前は、ディアンのことを、犯罪者と言いやがったな。だが、それだったらお前は世紀の大悪党だ」

GM:ニヤッと笑って、「大丈夫。どんなに罪を犯しても、帳消しになるからな」

マキシム:「面白ぇ。消せるかどうか、やってみろよ」

GM:ということで、ラーゲはバキバキと姿を変えていきます。「人なんていう枠に留まっているから、迷うんだ、アーサー」

ディアン:ちょっと待て、オーロシュホラー?

GM:じゃねぇッスよー。シェイプチェンジの類の魔法です。メキメキと姿を変えて、タコのような足がついた、ケルベロスのような姿に。

:出たな、足ハッポーン!

GM:足8本ー、首3つー! みたいな。一応、背中に自分の上半身でも生やすか(笑)。さあ準備オッケー。

:とりあえず、基本的に、戦えない3人が、〈威嚇〉なり何なりで、相手を揺るがして、技能なしとかそこら辺になったところを、叩く、みたいな感じで。

ユウイチ:頼むよー、2人とも。

ディアン:いや、オレたちからも、頼む。

:おう!

GM:結構ここはスペースとしては広いので、アーサーは、マキシムとディアンの2人に照準を定めて、どっちかが1対1で来るんだったら、受けるけど、彼は2対1のつもりで、向かってきます。で、ラーゲは、「じゃあ俺それ以外の奴ぶち殺せばいいのね?」みたいな顔して。

ユウイチ:うーん。

GM:「お前が手に余ったら、俺がとどめさしてやるよ」みたいな顔して、ぐねぐねと近づいてきます。

ディアン:マキシミリアン。アーサーは頼むぞ。オレは、3人を危険にさらすわけにいかないから、ラーゲに向かいたい。・・・大丈夫だよな。

マキシム:(頷く)

 
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