Eternal Smile > The Right Way to Save the Earth
 

 
第16回トーグオンリーコンベンションプレイレポート

『正しい世界の救い方』

 

第二幕

 
シーン2(承前)

 ロザリオマスクがジャングルの中から息を切らして現れた。
「アーネストだ。アーネストが、間もなくここに来る!」
 

 ますます訳が解らなくなってきた。ロザリオマスク曰く、アーネスト自身が彼の境遇をゴリラ語で語ったらしい(細かいツッコミはしないことにするわ。きりがないから)。エディーノスのゴルトに斃された後、彼はアイルのネクロマンサー(死霊術師)、タイガーアイの魔法によって蘇り、肉体を操られた。自由人村を襲撃する前段階の斥候としてやって来て、そこで出会ったロザリオマスクと組み合った。わずかに残る自我で、自由人村の危機を知らせ、一旦退却した。彼の黒ずんだ身体には、怪しげな入れ墨が浮かんでいた・・・。

 ネクロマンサーと聞いて、克己の表情が険しくなった。
 私もどこかで聞いたことがある。アイルのハイロード、ユーソリオン卿に仕える魔法使いは皆、宝石の名前の通り名を持っているんですって。そのタイガーアイという魔法使いは、リビングランドまで来て何をしようとしているのか。例えば、リビングランドのハイロードと手を結んで、邪魔者(ストームナイト)を排除し、死体を魔法の材料に使う、という感じかしら。

 これを知ったことで、克己がアーネストを積極的に迎え撃つ気になってくれれば、私たちにも勝機はある。口には出さないけど、私だって、彼の実力をちゃんと認めているのよ。
 

 果たしてアーネストはやって来た。しかも、スタレンジャー(ヒトデ)とエディーノス、ゴルトの乗騎であるはずのボー・アカまで引き連れて。

 自由人村の住民に被害を出してはいけない。アーネストとボー・アカの注意を引いて、私たちの中で最も戦い慣れている克己を狙わせる必要がある。えっ、ひどい女ですって? 失礼ね。私は最も成功確率の高い作戦を取りたいと思っているだけよ。

 隣でマリーが動いた。ストリートパンク御用達の拳銃が、襲撃者の機先を制した。威嚇射撃を受けて、エディーノスとスタレンジャーは散り散りに逃げ出した。アーネストもボー・アカも、相当驚いている様子だった(*5)。
 このマリーの偉業で、風は私たちに向いた。
 

「アーネストぉぉぉ!」
 上から声がした。いつの間に登ったのか、ロザリオマスクが今まさに、アーネストめがけてダイブするところだった。

「マイフェイバリットホールド、ジーザス・クライスト・スーパースター!」(*6

 必殺技? が綺麗に決まり、のしかかられたアーネストはボー・アカの頭上から落下した。そうそう、もはやツッコむ気力もないから事実だけ説明するけど、ロザリオマスクの覆面の額には、十字架が縫いとめられているの。頭突きされたら痛いと思うわ。
 

 アーネストの身体から入れ墨がすっと消えて火の玉の形になり、ジャングルの方へ飛んでいった。
「Hey! 誰だ、そこで俺たちを見てるのは!」
 ドミニクが大声で叫んだ。指差した先でガサガサと音がして、フードつきマントの人影が藪から飛び出した。リビングランドの住人は、衣服を死せるものと呼んで忌み嫌う。つまり、あれはアイルのネクロマンサーに違いない。深い霧の中に姿を隠されたら追いつけなくなる。
 

「克己!」
 みんなの前で、敢えて名前で呼んだ。
「貴方はあっちへ行って! ここは私が何とかするから!」

 ボー・アカはアーネストのコントロールを失い、暴走寸前。あれに踏み潰されたら、私なんて簡単にぺしゃんこだ。でも、負ける気はしなかった。さあ、いらっしゃい、怒れる恐竜さん。
 

 もうもうと砂煙が上がった。

「芹奈! 大丈夫か?!」
 克己が血相を変えて駆け寄ってきた。
「大丈夫よ。彼のおかげでね」
「ふう。わたしがジャングルの王者でなければ、危ないところだった」
 頭上のロザリオマスクに操縦(バナナで懐柔?)されたボー・アカは、私が立っている場所の50cm横に大きな足跡を残し、村から去ろうとしていた(*7)。

「貴方の方はどう?」
「ああ。タイガーアイの奴を捕らえた」
「お疲れさま。・・・ねえ、心配した?」
「当たり前だ」

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