Eternal Smile > The Right Way to Save the Earth
 

 
第16回トーグオンリーコンベンションプレイレポート

『正しい世界の救い方』

 

第三幕

 
シーン1

 酔っ払った住民たちは、「アーネストがボー・アカを追い払った」「アーネストがアーネストに勝った!」と大盛り上がりだった。

 一方、ロザリオマスクとマリーの表情は冴えなかった。アンデッド化の魔法によって生き長らえていたアーネストが、改めて死を迎えようとしていたのだ。この時初めて知ったのだけど、アーネストはマリーの恋人だったらしい(*8)。

「懐かしい声だ・・・。マリー? きみなのかい?」
「貴方は死んだと聞いて、諦めてたんだけど」
「最期に会えて、嬉しかったよ」
「いいえ、最期じゃないわ。ここにいるロザリオマスクが、何とかしてくれる!」
 

 アーネストは現在、アイルのリアリティに変身している。彼のリアリティをナイル帝国に変えることができれば、彼は「ゾンビヒーロー」として、新たな命(?)を得ることができるらしい。

 リアリティの変更。それは互いの存在と価値観を賭けた決闘、ストーム・コンバットを意味する。そして今、アーネストを救うことができるのは、ナイル帝国のリアリティを持つ、ロザリオマスクただひとり。
 

「私の勇姿、撮っておいてくれ!」
「任せろ兄弟」

「ロザリオマスク、彼を頼んだわよ!」
「お前ならやれるさ」
「情報伝達は任せておいて。ネットで拡散してあげる」

 他者の介入を拒む、激しい嵐が巻き起こった。
 皆の期待を一身に背負ったロザリオマスクは、このミッションを無事成功させた。

 嵐の中央に雷が落ち、程なく雲が晴れた。
 アンデッド化していたアーネストは、ヒーロー「エレクトリック・サンダー」として復活した。
 

 ナイル帝国ってすごいわ。まるでマンガみたいなことが起こってしまうのね。私はいつの間にかニッポンに染まっていたので、姿形は変わらなかった。克己はビジネスマンから蛮族になってしまったわけだから、大きく変身したと言えなくはない。それでも、たった今目撃したアーネストの「生まれ変わり」には、驚かずにいられない。
 

 意識を取り戻したアーネストが、1本の短剣を差し出し、そして口を開いた。
「アーネストという男がいたはずだが、それは君の、異名のひとつだったはずだ。本物のアーネストは、君だろう、ロザリオマスク」

 えっ?

 先程のことを思い出してみた。確かドミニクは『アーネストは生きている』と有力者に語っていた。それはハッタリでも何でもなくて、事実だったということ?

 マリーが相好を崩してロザリオマスクに抱きついた。
「貴方だったのね! 私よ、マリーよ!」
「何にせよ彼は助かった。おおっと、マスクの下の素顔は、誰にも見せるわけにはいかないな」
 そんな2人を、ドミニクがニヤニヤしながら眺めていた。一体、本物のアーネストは、どっちなの(*9)? 状況が全然飲み込めていないのだけど、一応、この件はハッピーエンドということでいいのかしら。
 

『フィーヒヒヒ!』

 大音声が場の空気を打ち破った。
『取引場所に来なかったのでね、ワシの方から、出向いたというわけだよ!』
『フィーヒヒヒ!』『フィーヒヒヒ!』『フィーヒヒヒ!』
 いやらしい笑みの描かれた気球が、東西南北に浮かんでいた。サラウンドで声が聞こえ、うるさくてたまらない。

 前言撤回。ナイル帝国って、すごく、面倒くさいわ。

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