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TORGリプレイ

『Samurai Overdrive!』

 

第二幕

 
シーン2 光あるところ影あり

 
闇影:私は、ディアンに頼まれて、一緒に裏街へ情報収集に行きます。上野公園辺り。

GM:わかりました。そうすると、〈発見〉振るまでもないんで説明しますね。ユウイチとリリアンのシーンに出てきたのは、ホントにきらびやかな、平和そのもののところでしたが、あなた達が裏街へ入った瞬間、ホームレスとか、ごろつきとか、そういう奴がうじゃうじゃいます。貧富の差がものすごい激しくて、ホントにここは、同じ国なのか? ってレベル。特に上野公園の辺りは、もう、人が住んでいいところでは、なくなっています。

闇影:上野公園は、何がヤバいかって言うと、上野動物園の猛獣が逃げ出して、あそこに巣食ってるんで、ホームレスが食われる、という。

リリアン:でも逆に、ごろつきが「肉だ!」って言って、そいつらを食っちまうおそれが。

闇影:食ってます。文字通りの弱肉強食です。

リリアン:弱い奴は焼肉定食にされるわけね(笑)。

GM:きらびやかな表通りでは、高級品、大トロとかを一口食べて、「ああ、もう、残りは下げちゃっていいわ」って言う人がいる一方で、明らかに飢え死にしてる人たちがばったばたいます。

ディアン:「これは、どういうことだ?」

闇影:ぼそっと一言、「〈リアリティ〉技能で、自分で調べてみろ」

GM:それはダメ!(笑)それはメタすぎて、ダメ!

闇影:いや、おかしいなと思ったら、〈リアリティ〉を振るのが、ポシビリティ能力者として当たり前。

リリアン:確かに。

GM:ただこれは、例えば、いきなり目の前の奴が魔法使った、みたいな異常ではないですから。要するに、セレブがいて、ホームレスもいる、社会の縮図なんだな、っていう絵面なので。

闇影:なら言いましょう。「これが、裏の真実。表に見えている姿が、真実とは限らない。裏もまた真実なのだ」

ディアン:「アイルの、闇の地域よりも、ひどい・・・」

GM:ちょっと表通りに目を向けると、新幹線で通勤してるサラリーマンやOLが、軍隊のように降りてきて、巨大な企業にばーっと入っていって、みんな平均15時間労働。

闇影:因みにあの辺の博物館は、廃れちゃってて、金になりそうなものは、いつの間にかどっかに運び出されちゃってるんですよ。

GM:で、あなた達がやって来ると、どうしようもない、ドラッグ中毒のチンピラが、ケンカ売ってきて。

闇影:じろって睨まれただけで、びびって逃げていくわけね。

GM:逃げていって、公園の外に出ようとしたら、警官が、警告して、従わなかったら、撃つ。

ディアン:!

GM:で、射殺したチンピラに対して、何のためらいもなく、公園の中に蹴り戻して、「網膜パターンコードなし、市民登録ナンバーもなし。うん、人間じゃない」

闇影:その死んだ奴の衣服に対して、浮浪者がわらわらわらー。

GM:わらわらわらーって寄りすがって、奪っていく。

ディアン:さすがにここで何か言ったらまずい(*18)のは、オレにも解るので、拳を握りしめて必死に耐えています。

闇影:「どこの国へ行っても、こういう光景はある。そう、アイルだろうと、ナイルだろうと」

ディアン:「わかっているつもりだ・・・」

GM:そうすると、栄養失調で目が白濁した老人が、「おお、ガイジンの方かい。憐れみをくれよ」という態度をしながら、「わしらは、町にいるだけましなんだよ。町にいられない奴は、もっとひどいからね」

ディアン:金貨を渡して、それで何とかなるんだったら・・・。

GM:そしたら、SPが飛んできて、「口を聞いてはいけません。きりがありません。公園中から人がやってきますよ」

闇影:っていうか、金を恵んでもらったことを、もし言いふらしたりすると、その金を狙って、通りすがりの奴が突貫してくる。

GM:で、殺し合いが始まります。

闇影:だから、はっきり言って、自分を守る力のない人間は、恵みを得ることすらできない。

GM:SPたちは、「この辺りは、皆さんが来るようなところではありません。迷い込んでしまったんですよね?」って態度。

闇影:ディに小声で、「どうする? 公園の奥へ行くには、彼らをまくしかない。そうすると、我々に加護はなくなる。それでも行くか? 勿論、我々2人の力があれば、この連中など100人かかろうと200人かかろうと問題はない。しかし、ディの、精神の方がどこまで保つか。慣れている私ならともかく」

ディアン:・・・・・。

ユウイチ:闇影ひとりで動くんだったら、隠行使って消えちゃえばいいんだもんね。

GM:ただ、この状況でディを放置すると、何が起こるやら、っていう心配はあるよね。闇影さんも、忍者だからこんな口調だけど。

闇影:普通のナイル人だったらブチ切れてますね。

GM:一般のサラリーマンは、そんなあなた達に目もくれず、げっそりした顔で歩いてます。街頭ビジョンでは、『頑張りましょう。あなたの頑張りが、幸せを呼びます』みたいな政府広報が流れてます。

闇影:『あなたの頑張りが、侵略を防いでいるのです!』

ディアン:それを見て、ぼそっと言います。「なら、彼らは、頑張っていないのか?」

闇影:「いいや。彼らは、生きるための戦いをしている。我々にできるのは、ハイロードを追い出して、少しでも早く、彼らを楽にすることだけだ。全員を救うことはできないかもしれないが、何割かは助けられる筈だ」

GM:ただ、あなたの認識だと、ニッポンがこうなっているのも、「他のハイロードのせい」です。

闇影:今の時点ではね。

ディアン:「どうして、カナワ殿と、ここの人には、こんなにも違いがあるのだろう」(*19

GM:そうやって、あなた達がハイロードを倒すしかないのか、って話していると、街頭ビジョンの下に、たったったーっと、ぼろをまとった男が走っていきます。手にメガホン持って、ピーガー、って鳴った後で、『みんな聴けー! 金儲けなんてくだらねぇぜーっ!

一同:(笑)

GM:『金なんて、とりあえず食うに困らないだけありゃいいんだ! あんなモンはな、あくまで、労働の対価としての、便利な道具にすぎねぇんだよ!』

闇影:「ある意味、正論だな。ただし、ある意味だけだが」

GM:『幸せってのは、金じゃねぇ! 人は、金のために生きてるんじゃねーんだ!

ディアン:!

GM:道行く人はみんな、ドン引き。あいつは何を言ってるんだ? と。一瞬、クラクションとかの音以外、辺りがすーっと静かになって、数秒後に、ファンファンファンファン! ものすごいサイレンが鳴って、パトカーやホバーカーで、商業の安全を守る、商安局の人が、大挙して押し寄せてくるのが解ります。

ディアン:「何だ、あれは?」

GM:で、警告なしに発砲かな。

ディアン:発砲?!

GM:要するに、「民主主義は間違っている。政府を打倒しろ!」だとか、「基本的人権なんて要らねぇぜ!」って叫ぶようなテロリストですから。

闇影:因みに今のニッポンだと、まず商法があって、刑法がある。基本的人権よりも商法が上。

GM:あなた達には、そういう人たちが手に手にマシンガンを持って、彼を蜂の巣にしようとしているのが解ります。

闇影:「さあ、どうする?」

ディアン:「えっ?!」

闇影:「そうか。では、好きにしろ」

ディアン:ちょ、ちょっと待って。ちょっと待って。考える時間をください。

GM:はい、タイムストップー! 長考が必要だったら、シーンを変えます。

ユウイチ:ひとつ訊いていいですか? パイルバンカーって手に入ります?

リリアン:飛行機につけるの? 本人に着けるの?

GM:パイルバンカーですか。一応確認しますけど、これは、手持ち武器として使うのも不穏当な、土木作業用の道具なんですが(笑)。

闇影:あ、いい方法があるよ。サイバーアームにして、パイルバンカー、がっしゃん。

GM:お金さえいただけるんでしたら、どんな非人道的な兵器でも、お売りしますけど。

ユウイチ:それはまた後ほど。(ディアンに)ほら、時間稼いでるんだから、今のうち、よく考えて。

ディアン:うん。・・・マスター。オレはここで、迷ってはいけませんでした。武器を持たない人間が攻撃されようとしてるんだから、彼をかばいます!

GM:はい、その通りでーす。

リリアン:つまり、飛んできた弾を全部打ち落とすってことね。

マキシム:剣振り回して、カンカンカンカーン!

ユウイチ:誰か煙幕だ煙幕。ここから逃げるの大変だぞ。

GM:では撃ちまーす。(コロコロ)達成値20。

ディアン:〈回避〉21。

GM:おおー。全部弾き返された。マジか。もしかしたら当たったものもあったかもしれないけど。

ディアン:無視です。シールドで弾いて。

闇影:そこに煙玉がぱんぱんぱーんと破裂して、「忍法・影分身!」と言いながら、〈トリック〉を仕掛けて離脱します。

GM:技の名前を言わないと出ないからです(笑)。

リリアン:さすがナイル。

闇影:ということで影分身。(コロコロ)+1の、“アドレナリン”で+4、〈トリック〉基本値23の、27の、〈武道〉持ってない相手には+1がつくから28。

ディアン:ここはニッポンテックなので31。

GM:おおー。すさまじい。そうすると、あっという間に姿がかき消えました。街頭の、巨大ビジョンだけが、ぶち壊れて、喧噪と共に、あなた達3人は離脱していきます。

闇影:で、消えると、SPたちが、「え、えっ、ええーっ?!」

GM:どこ行ったどこ行った? 首がかかっている!(コロコロ)見失った!(笑)ということで、シーンチェンジです。

 
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