Eternal Smile > I Have No Mouth, and I Must Scream 『I Have No Mouth, and I Must Scream』(おれには口がない、それでもおれは叫ぶ) 第四幕 ゴッドネットを飛び出し、現実世界へ出現する能力を得た怪物を、カリーナは『ベヒモス』と呼んだ。彼女は、原エリスを餌にしてベヒモスを操り、世界を破滅へ導こうとしている。それがどんなに恐ろしいことか、彼女にも解っているはずだ。きっと彼女は、あの狭い部屋の中で、 一晩まんじりともせずに過ごすのだろう。 それでも彼女は復讐を望む。それだけ彼女の執念は強い。 神崎さんは言った。 昨夜、私は、彼女の暴走を止められないことが悔しくて泣いた。 終わらせる・・・。 ゴッドネットで誕生したベヒモスは、大量のデータを文字通り「食い潰し」ながら、ネットワークを渡り歩いたようだ。それはサイバー教会やニッポンにとって、宝の山に等しい。ベヒモスの顕現(現実世界への出現)に合わせて、教会警察やニンジャの襲撃があることは容易に予想できた。 神崎さんとマルセルは、下調べ済みのイベント会場で警戒にあたった。フリオさんはエリスを見守る位置に立った。私は会場全体が俯瞰できる位置、かつ自分が矢面には立たない位置に、ノートPCを持ち込んで座った。 イベントの冒頭で、原エリスが「ストこれ」のマスコットキャラのプレイヤーだったことと、今日からサービスが世界展開することが発表された。 その時、多数配置されたディスプレイのひとつから、ベヒモスが顕現した。 空から黒い影が降りた。どこぞの企業忍者だ。神崎さんは脇差を抜き、6人もの手練れを相手に大立ち回りを始めた。やがてその手が妖刀にかかり、彼は迷わず妖刀を抜き放った。 揃いの赤いコートを身に着けた、サイバー教会の異端審問官が、靴音高らかに現れた。マルセルが無言でその進行を妨げる位置に立った。 「ひとつ教えておいてやる。貴様らの信じる神は、ここにはいない」 (→NEXT) "Eternal Smile" Since 2002.02.02 E-mail:charmy_s@mac.com |