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TORGリプレイ

『STORM』

 

第一幕

 
シーン1 On our Honor(承前)

 
GM/アーディネイ:「さて、皆さんには、ある、ヴァイキングの船団を、止めていただきたいのです」

ディアン:オレは、事前に話を聞いているのかな。それとも、初めて聞くのかな。

GM:ここで初めて聞きます。彼女いわく、‘暴風王’と呼ばれるヴァイキングが率いる、残虐非道の大船団。

勇人:はいはい。また御大層な名前ですね。

GM:規模は、確認できているだけで、船の数200。

トマス:一隻に40人乗るとすると、8千人から1万人程度ですね。

GM:彼らは、この近辺の海にとどまらず、ヴァイキングの次元を超えた侵攻を行い、各港町を荒らし回っています。

ウーシン:沿岸じゃなくて、遠洋に出るガレー船だったのね。

GM:そして現在、散らばっていた戦力を、ある程度集めながら、北アイルランドに対して攻撃を仕掛けています。

ディアン:!

勇人:ほうー。

ディアン:「狙いは、何なのですか?」

GM/アーディネイ:「解りません」

ウーシン:「ま、解ったら苦労しねぇなぁー」

トマス:季節は?

GM:季節ですか? そうですね、6月にしましょうか。

トマス:「秋も早いし、冬には海に出られなくなる。閉じ込められる前に、稼げるだけ稼ごうということだろう」

勇人:「そうですね。そうかもしれません」

GM/アーディネイ:「ですが、妙なのです。彼らは、襲撃を行う町に対して、事前に予告をします」

勇人:「襲われたくなかったら、出すものを用意しとけ、という意味ですかね」

トマス:「若しくは、単なる無能か」

GM:今までの例だと、数日以内にお前んところに行ってブチ殺すからよろしく、っていう予告をして、その後、襲撃が行われます。

ウーシン:身代金を払え、ではないのね。

トマス:占領する気はない、滅ぼしてしまえばいい、というんであれば、‘暴風王’の名を出して事前に予告をすれば、兵力は減るわな。そういう意味で、防御を手薄にして、単純に焦土戦術だっていうのは、ポシビリティ戦争全体から見れば、間違いではない。野蛮人らしい戦略ではないかね。

ウーシン:とはいえ、放っておいていいもんではあるまいよ。

GM:既に、北アイルランドの複数の町が潰されています。そして女王は、ディアンに向かって、はっきりと言います。「あなたの前に、3名の騎士が向かい、そのまま、彼らの勤めに殉じています」

ディアン:・・・・・。

ウーシン:「だが、ちょいと疑問があるぜ。証拠はねぇ。ただの勘なんだが、俺が会ったあいつらは、もっと禍々しい、何かに見えた。なにせ、足を持ってひょいひょいと振るだけで、俺の足を握り潰したからな」

ディアン:「会ったことが、あるのか?」

勇人:その足を痛々しそうに見つつ、「聞く限り、ヴァイキングというよりも、禍々しい魔物じみた連中みたいですね」

ウーシン:「普通のヴァイキングだったら、交渉はできた。だが、あの時会った連中が、交渉に応じる気配は全くなかったし、まともには見えなかった。闇夜の中で、目が真っ赤にギラギラ光ってる。正直言えば、俺はあんまりオカルトは信じねぇんだが、関羽様にすがりたい気分だったよ!」

ディアン:カンウ・・・。軍神か。

ウーシン:「残念ながら、貢物をケチったせいで、来てはくれなかったが。おかげさまで、俺の船も、乗組員も、全部海の藻屑だ」

ディアン:「ならば、船の、代金は、払ってもらわないとな」

トマス:うん、一連の話だと、オーロシュの魔物ならそんなもんだよねー、という思考にしかならん。

勇人:ですよねー。

GM:だから呼ばれたんだ、的な。

トマス:面倒くさいなー。

GM:女王は言います。「我が騎士ディアン。彼らと共に、北アイルランドの、予告のあった町に向かいなさい。忌まわしき‘暴風王’の手から、町を守り抜くのです。既に、3つの盾が失われています。あなたが、失われる4つ目の盾にならないことを、わたくしは信じています」

トマス:その、‘暴風王’とやらは、名乗ったのかね?

GM:これまであった予告の全てに、‘暴風王’の名が刻まれていたことから、そう呼ばれている。

トマス:それは、彼が名乗ったということだね。よかろう。

ディアン:「女王陛下が守りたいと思う、全てのものを、オレも守りたい。力を貸してくれる、ウーシン、トマス、嵐王寺、3人と共に、ここに戻ることを、誓います」

ウーシン:では言います。「4人ぽっちで何をしろって言うんですかい、女王様」

トマス:「まあ、現実的ではないな。恐らく、200隻となると、拠点は複数だろう。せいぜいひとつかふたつか。無理な仕事は請けられん」

ウーシン:「できることはする。だが、4人で1万人を止めるのは、ちと厳しいな」

GM/アーディネイ:「わたくしもそれは承知の上です。ですから、皆さんを呼んだ、もうひとつの理由をお教えします」

勇人:はい。

GM/アーディネイ:「次に予告した町に、‘暴風王’が、直接来ます」

ディアン:!

GM/アーディネイ:「皆さんには、かの軍勢をかいくぐり、‘暴風王’を討ち果たしてほしいのです」

ウーシン:「なるほどなるほど、鉄砲玉ってことかい」

GM/アーディネイ:「わたくしも、もっと兵を集めて、皆さんを支援したいのはやまやまなのですが、他にも、やらなくてはならないことがあるのです。勿論、できる限りのことは、させていただきますが、それにも限りがあるということは、ご理解ください」

トマス:「結局、オーダーは、その‘暴風王’を倒せ、ということかね。それならばシンプルだ。眷属1万人から町を守れ、と言われると、無理難題だがな」

ウーシン:「牧師さん。できそうかい?」

トマス:「さあ。これが仕事だ。やってみる、としか言えん。ただ、神は私の隣にいる」

ウーシン:「はっ、心強ぇ。なら、手は貸そう。俺は個人的に、あいつには恨みがあるんでな。‘暴風王’本人か、その部下かは解らんがね」

GM:えーと、改めて復習します。他のヴァイキングよりも、ひときわ豪華な格好をした、大柄なヴァイキングで、右肩に、大きな黒い鳥を乗せている。

トマス:それは、カラス?

GM:カラスかどうかまでは、判断できませんが、大柄な鳥であったことは、間違いがない。正確に言うと、鷲に近いかもしれない。

ウーシン:鷲みたいなサイズだった、とは言うが、夜だったし、明確なことは言えない。

ディアン:なら、目立つな。

勇人:まぁ、カラスは飛ぶけどね(笑)。そのカラスが、常に肩に乗っててくれるとは限らない。
 

「皆さんに、可能性の加護がありますように」
 祈りの言葉に見送られ、謁見の間を出ようとしたディアンを、女王が呼び止める。
 

GM/アーディネイ:「ディアン。近くへ」

ディアン:はい。では、失礼しながら。

GM:近づいたところで、女王はふっとあなたの両頬に手を当てて、「あなたは、ひとりの、わたくしの騎士である前に、あなたもまた、わたくしの家族だと思っています(*3)」

ディアン:!

GM/アーディネイ:「生きて戻りなさい。いいですね。これは女王ペラ・アーディネイとしてではなく、アーディネイ個人として、ディアン、あなたに申し上げておきます。生きて戻りなさい」

ディアン:「勿体ない、お言葉。・・・この剣と、盾に賭けて、誓います」

GM:微笑んで、頷きます。

勇人:因みにその盾は、僕からの贈り物ということにさせてください。渡すのは女王陛下で構わないので。

ディアン:嵐王寺からもらったってこと?

勇人:そうです。お祝いに。

GM:ではここで、オープニングを終了して、本編に入ります。

 
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