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TORGリプレイ

『STORM』

 

第一幕

 
シーン2 Home, Sweet Home

 
ウーシンが操るボロ船(*4)で荒波を越え、
ストームナイトたちは北アイルランドの港町、ラーンに到着する。
 

GM:港に入ってみて思うんだけど、うわ、大丈夫これ? 港として機能してる? みたいな空気。

ウーシン:どっちの意味で? 単純に、混雑していて、機能していないのか、やる気がなくて機能していないのか、がらんとしちゃってるのか。

GM:がらんとしちゃってる。

ディアン:人が、いない?

ウーシン:「はー、なるほどなー。こいつは、この船もかっぱらわれるかもしれねぇなぁ」

ディアン:「ウーシンが、暴風王と会った時も、人は、いなかったのか?」

ウーシン:「いや。あれは、海のど真ん中、避難船の護衛中だったからなぁ。ひでぇ話だったぜ。半分も助からねぇ」

勇人:「それは痛ましい」

ウーシン:「逃げ切ったのは、輸送船が半分。護衛船はゼロだ」

トマス:「おお、それは見事な護衛船だな」

勇人:「確かに。奮戦されましたね」

ウーシン:「ああ。仕事はしたぜ? 俺は生き残っちまったがな」

トマス:「どうかね。その奇跡に際し、我が神に目覚めてみんかね?」(笑)

ウーシン:肩をすくめて、「ま、考えとくよ」

GM:っていう風に喋っていると、色が浅黒で、髪をひっつめて後ろにまとめて、非常に、体格がしっかりした、スポーティというよりも筋肉質な、とてもキュートなAK(*5)を背負った女性が(笑)。

勇人:はい。キュートな。

GM:「あれー? あんたたち?」と声を掛けて、たったったったとやって来ます。

ウーシン:「おう、すまねぇ、港の子か?」

GM:「港の子か、っていうか、何この集団? あ、騎士様?」

ディアン:あ・・・。

勇人:ここは、ディアン卿が言っていただくのが。

ディアン:「オレたちは、ストームナイト」

GM:ちょっとサイコロを振る練習をしようか。彼女の反応を、深く察することができるかどうかの判定を行います。

勇人:〈発見〉とかでいいですか? それとも何か、対人行動?

トマス:通常は《知覚》ですね。

GM:彼女の表情の変化から、何かを読み取ろうとする、なので、〈手掛かり分析〉。〈知識(心理学)〉でも可。難易度は10。結果が、後のシーンに関わってきます。

ディアン:(コロコロ)出ないなー。

勇人:〈手掛かり分析〉で、とりあえず難易度は超えてます。

ウーシン:《知覚》14までいった。

トマス:+4で《知覚》だから13だね。

ディアン:オレだけ失敗かな。

トマス:いや、とりあえず、ヒントとなるようなことをして、+3あげときます。“援助”。

ディアン:+3でも足りないです。“援助”2枚持ってるので、誰か交換してもらえますか?

勇人:交換しましょう。はい。

GM:なるほど。こういう使い方ができる。

トマス:ここは、ディアンが成功しといてくれないと、面倒くさくてしょうがない(笑)。

GM:あ。うん。

ディアン:達成値は、《知覚》9引く5、+9で、13です。

GM:では全員解ったんだね。えっとね、ストームナイトという単語を聞いた瞬間に、ほんの一瞬、眉をしかめた。そしてすぐ戻した。

ディアン:・・・・・。

GM:そして、「ああ、ストームナイト。なるほどねー。すごいねー、ナイト様って」

ディアン:その反応を見て、「話を聞いて、いないのか?」

GM:「女王様に、請願して、こっちを何とかしてくれよ、って話はしたけど、もしかしてあんたたちかい?」

ディアン:「そうだ」

ウーシン:「運が良きゃ、第二陣が来るよ。運が悪きゃ、これで終わりだ」

GM:「これ以上運が悪くなるなんてことは、あり得ないさ。あ、名乗っとくよ。あたし、ニミュエ」

ウーシン:「ほうー。いい名前じゃねぇか」

GM/ニミュエ:「あ、先に言っとくけど、偽名だよ」

ウーシン:「いいんじゃねぇか?」

GM/ニミュエ:「IRA(*6)って知ってる?」

ウーシン:「ああ。爆弾作ってる奴らだろ」

GM/ニミュエ:「そ。でも、それだけじゃないさ。あんたらの名前も聞かせとくれよ」

ディアン:「ストームナイト、ディアン・オブロー」と名乗るんだけど、「ニミュエ。何故、名を隠す? 何か、事情があるのか?」と訊きます。〈名誉〉の考え方だと、名前を隠すとか、そういう、身分を偽ることは、悪だからです。

GM:じゃあ、肩をバンバン叩きながら、「あたしたち、テロリストだからさあー!」

ディアン:え、ええーっ?

勇人:オープンなテロリストだなー。

ウーシン:「はっはっは! ま、都合が悪くなかったら、名前は隠さねぇわな」

GM/ニミュエ:「でも、あたしは、ニミュエって名前で、自分の信じることをやってる。今、あたしたちがやんなきゃいけないのは、ここの連中を、どうにか安全なトコに逃がして、丸く収めることさ」

ウーシン:「騎士様騎士様。このお嬢ちゃんは、コアアースではいろいろあったが、今、‘暴風王’に対しては、一市民と思ってくれ。町中では色々と問題があるんで、名を隠しているが、あんたから見れば、立場は同じだ」

GM/ニミュエ:「じゃあ、あんたに納得いくような形で、話をするさ。あたしたちは、自分のやるべきことのために、名前を変えて、ニミュエ、として立ってる。だからあたしはニミュエだ」

ディアン:それを聞いて、よくよく考えると、自分にも、本名を名乗っていない仲間(*7)がいる、というのを思い出して、「そうか、わかった」と言う。

ウーシン:ま、ナイルヒーローと同じようなもんだ。

勇人:ヒーローネームというやつですね。

GM:「えっと、そこの、牧師さんは?」声を掛けてきますよ。人懐っこく。

トマス:「トマス・ヨハンネスだ」

GM:「トマスでいいかい? じゃ、よろしく!」勇人に対して、「あんたは?」

勇人:「嵐王寺勇人と申します。ニッポンで商売をしています。今回、些少ながら救援物資を運んできましたので、搬入を、ご協力いただければ助かるんですけど」

GM:「助かるよ! ありがとー!」と言ってハグされます(笑)。スタイルとしてはね、出るとこ出っ張ってて、引っ込むところは、健康的に、引っ込んでる感じの、ヨーロッパ系のグラマー。

ディアン:いいですねー。

GM:あ、強いて言うなら、人殺しか人殺しじゃないかだと、人殺しだろうな、と思う。

勇人:火薬っぽい匂いがするんだろうなー。

GM:そして、くるっと振り返って、「あれ、おじいちゃん大丈夫?」

ウーシン:「あー、大丈夫大丈夫。腰は痛いがな」

GM/ニミュエ:「あんた、名前は?」

ウーシン:「ウーシン。ウー・ウーシンだ。よろしく頼むぜ。今は、このボロ船に命預けてる」

GM/ニミュエ:「よろしく! とりあえず、あたしたちのアジトに案内するよ。そこで寝泊まりしてくれればいい」

トマス:「では、きみが地元の代表ということでいいのかな?」

GM/ニミュエ:「そうだね。あたしが仕切らせてもらってる」

トマス:「なるほど。ようやく認識した」何だろう、この馴れ馴れしい娘っこは、ぐらいの感覚だったので。地元の代表だから来たのね。

GM/ニミュエ:「ごめんごめーん。あたし、そーいうのあんま慣れてないからさー。リーダーも副リーダーもみんな死んじゃって」

トマス:「何人残ってる?」

GM/ニミュエ:「うーん。戦える人間は、両手で収まるぐらいかな」

トマス:「非戦闘員は?」

GM/ニミュエ:「その10倍くらいかな」

ウーシン:「この船に乗せて逃げられるか?」

GM/ニミュエ:「無理!」(笑)

ウーシン:ま、仕方あんめぇ。

GM:というわけで、彼女のアジトへ向かいます。移動中に、この町に届いた予告状のようなもの、を見せてくれます。

勇人:ほうほう。

GM:まず、何でできてるか。羊皮紙。

ウーシン:お、おう。

ディアン:羊皮紙って言った瞬間に、何となく、禍々しさが増す。

トマス:え、なんでだ? 人間の皮をなめした、とかだったら、イエスって言うけど(笑)。

勇人:増したどころじゃなくて、直撃だからそれ。

GM:何故羊皮紙かっていうと、ただ単に、アイルで普通に使える材質ってことです。

ディアン:失礼。プレイヤーが現代物の感覚でした。

GM:インクで、普通に書かれている。で、彼女はこれを、空から降ってきた、って言ってます。

勇人:ほう。

ディアン:鳥が、飛ばしたのか?

ウーシン:その可能性もあるし、逆に言うと、敵側が、航空戦力を持ってる可能性すらある。

ディアン:ドラゴンに乗ってくるというのか!

トマス:考えられる答え。1.鳥が飛ばした。2.航空戦力がある。3.瞬間移動能力がある(笑)。さあ、どれがいいでしょうか。

勇人:3は、めんどくさい。

ウーシン:4番目があるぜ。魔法でひとりでに飛んでくる。

トマス:ああー。あるね。

ウーシン:「何か、見えたかい? その時」

ディアン:「天気は、どうだった?」

GM/ニミュエ:「曇っててさ、何が飛んできたか、はっきり判んなかったんよー。晴れてたら判るんだけどさー。あたし視力2.0あるし。で、見たら、‘暴風王’って書いてあるでしょ? ここいらのあの町もあの町も、あいつらがやって来て、ひとり残らず皆殺しにされた」

ディアン:・・・・・。

トマス:事前に予告があるから、ほぼ逃げ延びてはいるんだよな。

ウーシン:今残ってるのは、この町から出られない人たちだけか。

GM:じゃあそれに対応して、「今この町にいるのは、小っさい子ども。じじばば。あと、あんたみたいにかたわの連中ばっかりさ。自分の足じゃ、普通じゃまともに動けない」

ウーシン:「だろうな」

GM/ニミュエ:「因みにね、あたしも、逃げちゃおうと思ったの。必要だったら自分の身体売るとかして、やっていけるしさ」

ウーシン:「何で逃げないんだ?」

GM/ニミュエ:「あたしここの生まれなんだ! はっはっは!」

ウーシン:「じゃあしょうがねぇなぁ! ま、何とかなるさ」

ディアン:「そうだ。オレたちは、何とかするために来た。だから・・・」敢えて地雷と解ってて言いますよ。「オレたちを、信じてくれ」

GM:半拍置いて、「・・・ああ、信じてるとも!」

勇人:顔には出さないけど、ディアンさんは相変わらずクールだな、と(笑)。

GM/ニミュエ:「というわけで、ここがあんたたちの部屋さ。3日後、消し飛ぶかもしれないけどね。好きに使ってもらって構わないよ」

勇人:「わかりました。とりあえずは、すいませんが、物資の搬入を、手伝える方がいたら」

GM:「ああ、うちの若い衆を、適当に貸すよ。おーい!」って言うと、「へーい、姉御ー」って言いながら、力持ちの、力しか能がないような連中が何人か出てくる。

ウーシン:あー、きっと〈重量挙げ〉持ってる(*8)、あいつら。

GM:そんな感じで、君たちは町へたどり着きました。現在の状況の整理です。微妙に、ストームナイトにいい印象を持っていないような、雰囲気を醸し出す、ニミュエ。この町にいる、ほとんどは、子どもかじじばば。純粋に戦える人間は、10人いるかどうか。予告状は空から降ってきている。はてさて、といったところですね。ここでシーンが終わるので、カードを補充してください。

 
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