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TORGリプレイ

『STORM』

 

第二幕

 
シーン4 Practice makes perfect

 
豊かな物資は、人の心も豊かにする。
戦闘準備が整うにつれて、町の人々の士気は高まるばかり。
そんな「ストームナイト」の様子を見て回っていたディアンに、ニミュエが神妙な顔で駆け寄る。
 

GM:もう騎士様とは言いません。「ディアン。相談があるんだ」

ディアン:先を促す。

GM:「ちょっとこっちへ」と、手招きして、着いたところには、カタパルトが並んでます。

ディアン:「使い方が、解らないのか」

GM/ニミュエ:「何となくは解る。けど、いざ本番の時に、使いこなせないってことがないように、練習をしたい」

勇人:なるほど。

GM:「あんたに、手本を見せてほしいんだ」と言って、向こうを指差すと、ハリボテみたいのが、ぷっかぷっかと浮かんでる。練習用の的っぽいです。

ディアン:「オレも使うのは、初めてだが、やってみよう」

GM:というわけで、スタンダードシーンの戦闘になります。

トマス:ファイト。

GM:やり方を説明します。使う技能は〈投擲武器〉。的は3つ浮いています。特にデータはありません。一発撃つ度に、ひとつずつ減っていきます。

ディアン:うーん、技能ないんだよな、〈投擲武器〉。

GM:システム的に、何を意味するか。最終決戦時、彼ら、「町の人々」というユニットが、カタパルトを使う際の達成値を、あなたは今から出すことになります。

ディアン:解りました! 頑張る!

GM:手本を見せろというのはそういう意味です。的が3つということは、チャンスは3回。

勇人:1回高いのを出せばいいって理解でオッケー? それとも、3回のアベレージ、ってこと?

GM:1回でいいです。「こうやるんだ、解ったか?」って言えば、町の人々は、「解りました」って言うので。

トマス:3ラウンドあるって思っとけばいいんだな。逆に言うと。

GM:ニミュエは、「あの人たちがあんなにすごかったってことは、きっとこのディアンという男も、すごいに違いない」という目で見ている。キラキラキラキラキラ。では1ラウンド目。(カードをめくる)

トマス:ヒーロー疲労。ショックダメージ食らいます。確かに、脂汗かくわな。

勇人:やったー、設置終わったー。『では試射をお願いします』え?(笑)

GM:えっとね、町の人々が集まり始めてる。

ウーシン:酒場のマスターが、『ほう。カタパルトか。ガキの頃、見たっきりだな』

勇人:むしろ、みんなを呼び集めて、「これを彼が当てれば、みんな勝てます!」

ディアン:すごいプレッシャーだ(笑)。振りまーす。とりゃー。(コロコロ)あれ、低いな。ポシビリティを使います。(コロコロ)16。+3なので、達成値13。

勇人:「いいところに当たりましたね。でも、こんなもんじゃないですよ」

ウーシン:『ほう。ああやるとあんな感じになるのか』

トマス:で、1ラウンド目の敵方フェイズで、みんながわーっと集まって、新しい的を置くんだ。

GM:次のラウンドです。(カードをめくる)敵疾風。

ウーシン:ハリボテが、『ふ、甘いな』。ぶーん、ぶーん(笑)。

GM/ニミュエ:「風が強くなってきたわねー」

ディアン:(コロコロ)ポシビリティを使います。(コロコロ)24。達成値18です。

ウーシン:おおー。一射目より直撃だった。

GM:「風が強いにも関わらず、やるもんだなー」最後の的ですね。ててててん。(カードをめくる)敵高揚。

ディアン:よかったー。ヒーロー側に不利なイニシアチブが、出まくってくれた。

トマス:なんかすごく、敵が、燃えている。具体的に言うと、的が燃えている。

GM/ニミュエ:「あれっ、火が着いちゃった。早く撃って、早く!」(笑)

ディアン:「わ、解った」(コロコロ)6か。ポシビリティ使います。(コロコロ)“ドラマ”も使います。(コロコロ)26。“アドレナリン”2枚で、達成値25。

GM:お。燃え尽きるまえに、ちゃんと的に当てられました。

ウーシン:当たったー。ガンガンガンガン(鍋を叩く音)。

GM:というわけで、町の住人たちは、達成値25で、カタパルトを撃てるようになりました。

ウーシン:ははははは! おかしな精度だ、それ。そんな民兵見たくない。

トマス:ごめん、俺逃げるわ(笑)。

勇人:真顔で、「練度が高すぎます」(笑)

トマス:いやいやいや。カタパルトは、セッティング変えなかったら、同じ場所に落ちるから。

GM:その辺りもちゃんと把握して、なるべく速いスピードで撃てるように、みんな練習を始めたところで、ニミュエが寄ってきて、「いやー、ありがとう。これで何とかなりそうだよ」

勇人:「あとはもう、撃つタイミングだけの問題です」

GM:「ディアンさん、勇人さん、見ていてください!」と言って、4人が、実演してくれます。まず、力自慢の奴から、弾を渡すでしょ。次の奴がその弾を渡すでしょ。次の奴がまた弾を渡すでしょ。最後の奴が、ゆっくりと装弾して、自分ひとりで一生懸命、紐とかこうやって引っ張って、カタパルトを撃ちました。

勇人:なるほどね。やり直し!(笑)面白い!

ウーシン:ブッブーッ。

GM:ディアンと勇人、2人に向かって、バカ兄弟4人が、小首を傾げて、「ダメ、だったか? 今の」

ウーシン:あんちゃん、これダメか?

勇人:4人の肩を抱いて、「ダメじゃない。ダメじゃないけど、ちょっと考え直しましょう」

GM:そんな様子を見て、ニミュエが、「何だかんだで、あいつらもここが好きなんだよ」

ディアン:「みんな、ニミュエを慕って、ここにいる」

GM:彼女は、首を横に振りました。「あたしのことを慕う必要はないさ。ここは、みんなの場所なんだから。この場所を何とかしようと思ってるだけだからさ。・・・ありがとね。あんたたちが来てくれてから、何か、変わった気がするよ。ホントに勝てる気がしてきた。やっと今」

ディアン:・・・・・。

勇人:僕はあっちで、「さあみんな、ニミュエ姉さんのために、頑張りましょう」

GM:「はい!」と言って、まずひとり目が、弾を置いて、動かして、カタパルトにセットして、撃った。

勇人:よし、前進している!(笑)一歩一歩、着実に前進している。

GM:笑いながら、「あいつら可愛いでしょ?」

ディアン:「だが、立派な戦士だ」

GM/ニミュエ:「そうね。正直、ああいう風に化けてくれるとは思わなかったよ」

ディアン:「ニミュエ」

GM/ニミュエ:「ん?」

ディアン:「ひとりで、背負う必要はない。ニミュエは、みんなに慕われる、立派なリーダーだ」

GM:・・・・・。

ディアン:「年老いた者も、若い者も、子どもも、みんな、戦うためにここに残った。それは、みんながニミュエと同じ気持ちだからだ。みんな、ここを守りたい」

GM:「ありがとね。でもさ、あたし、いっぺん逃げちゃってるからさ」例の、諦めかけてた時の話をしているようです。「逃げちゃった分の穴ぐらいは、埋めるつもりさ。でも、その上で、みんなで立ち向かって、みんなで生き残る。それができるって、あたしは信じてる」

ディアン:「逃げることは、悪いこととは限らない。その先で、希望を見つけられるなら」

GM/ニミュエ:「あたしは、死んでもともと、みたいな気持ちじゃ、もうないよ。ディアンみたいに優しい人もいるしね」

ディアン:え・・・え?

GM/ニミュエ:「あんなに面倒見のいい、坊やもいるしさ」

勇人:おじいちゃんおばあちゃんも巻き込んで、全体的なイベントに(笑)。

ディアン:『お前らだけに任せておけんわ!』

GM:バカ兄弟は、試しに、自分をカタパルトに入れて飛んだりしてます。

ウーシン:『あんちゃん! オデ、飛んでみたい!』

GM:ざぱーん! ゲラゲラゲラ。因みに、その4人、そんなことしても傷ひとつなく、平気で帰ってきてるから。「タフだねー」

勇人:とりあえず4人を呼んで、「アバム、ブラッド、カール、ドナルドー。そろそろご飯にしますよ。腹が減っては戦はできぬと言いますから」

ウーシン:名前がついた!

GM/ニミュエ:「それにあの、おっかない神父」

ディアン:「トマスは、怖いか?」

GM/ニミュエ:「あたしにはおっかなく見えるね」

トマス:まぁ、怖いよ普通は(笑)。そうじゃないのは、ディアンが強いよ。

勇人:真顔で、『え、怖くないの?』って言い返していいと思う。

ディアン:「トマスは、オレたちにはない、奇跡の業を持っている。オレは、トマスを尊敬する。だから、怖いとは思わない」

GM:頭をポンポンされますよ。「可愛いなー、あんたはホントに」

ディアン:か、可愛・・・?

GM/ニミュエ:「あの、相方として出てった中国人も、なかなかのやり手だね。一番しぶとく生きるタイプだよ」

勇人:そしたら後ろから、「‘暴風王’って奴は、高い買い物をしたってことですよ。あの人の恨みを買ったんだもん」

ディアン:「嵐王寺」

勇人:「大体終わりました。みんなでご飯にしましょう。ニミュエさんも、来てくださいね」

GM:「はーい。ディアンも一緒に行こう。あの2人もそろそろ戻ってくるだろ」って言ったタイミングで、帰港していいです。

ウーシン:ハッチをがばっと開けて、「ふー、帰って来たぜ」ぴしゃーん!「人が降ってきたー!」(笑)

ディアン:『オデ、オデ、一番長く飛んだよ、オデ!』

トマス:ぼそっと、「ふむ。甲板に直撃してたら死んでたところだ」(笑)

勇人:並みの人間だったら死んでます。

ウーシン:運が強ぇなー。いや、悪運も相当強ぇか。

GM:そしてですね、久しぶりにこの町で、活気のある夕餉が。パブとか、パブのある広場を貸し切って、今残ってる町の住民みんなで、美味しいご飯を囲んでいる。

ディアン:『踊れ踊れ!』とか言われて、踊らされてる。

勇人:お酒はあんまり飲まないでくださいね。

ウーシン:え?! 飲んでないアル、飲んでないアルよ!

ディアン:あ、アル?

勇人:どっち? どっち? ない、アル、どっち?(笑)

ウーシン:アルコールは強くしてないアルよ!

勇人:くっそー。もう、飲酒運転とかダメですからね。

ウーシン:まあまあ、それはそれ。船乗りにラムはつきものだろう! だが、俺は華僑だ。国に誇りがある。だから、ラムを紹興酒で割って飲む。ぷはーっ!

勇人:それ、チャンポンって言いますね(笑)。

GM:トマスは、多分静かに食べてるんだろうね。

トマス:お祈りして、食事をして、ワインをたしなんで、騒がしいのを見て、「うん。まあいい」

GM/ニミュエ:「うわ、神父みたいだ」

トマス:「牧師です」

GM/ニミュエ:「あ、牧師さんか」

勇人:そこじゃねーよ!(笑)

GM:そんな中で、じゃあ、とことん映画的に演出させてもらっていいですか? ディアン。お手洗いに行きたくなったよ。

ディアン:えっと・・・。

GM:「手洗いだったら、パブにあるぜ。使い方はわかるか?」

ディアン:多分。

勇人:大丈夫ですよ。ボタンさえ押さなきゃいい。

GM:幸い、トイレで〈リアリティ〉チェックされるような状況にはならず(笑)、広場に戻ろうとした時、黒い鳥が留まっている。

ディアン:こっちを見ている?

GM:はい。はっきりとあなたを見ている。

ディアン:「・・・‘暴風王’に伝えろ。オレは、お前を赦さない。お前に、明日はない」

GM:黒い鳥は、明瞭な声で言います。『宴は楽しかったかね?』

ディアン:「楽しんでいるところだ」

GM:(笑いながら)『結構。嵐去った後の未来を、語り合っていたようだね。とても美しい。私はそう思う。暖かい流れを感じる。お前たちが寄る辺とするものが、集まっているのを感じる』

ディアン:「オレたちは、ストームナイト。お前の嵐を、止めるために来た」

GM:『よかろう。その言葉、確かに承った。明日、嵐と共に、お前たちの元に現れよう。それまで、せいぜいかりそめの宴を楽しむがいい』と言って、黒い鳥は飛び去っていきます。

ディアン:無言で、マントを翻して去っていきます。

GM:というわけで、第二幕終了です。

 
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