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TORGリプレイ

『STORM』

 

Epilogue

 
トマス:「さて、仕事は終わりだ」

ウーシン:「おう、送るよ」

ディアン:「トマス。女王陛下の許にいる聖騎士ディアンとして、そして、ストームナイト、ディアン・オブローとして、礼を言う。ありがとう」

トマス:「(手で制して)これは、私の仕事だ。礼は、私の上司である、大司教に言ってくれ。報酬もな。女王にそう伝えておいてくれ」

ディアン:「大司教は、どこに、おられるか」

トマス:「こちらの世界の、ロンドン」

勇人:ガイアです(*22)。

ウーシン:「ああ、あんたガイアから来たのか。道理で」

トマス:「私はあくまで、大司教の意思を代行したにすぎない」

ディアン:「オレと、同じか」

勇人:「こちらからも、寄進をさせていただきます。もし、お仕事をお願いしたい時には、大司教にお話をすればよろしいのですね」

トマス:(頷く)

GM:では、トマスの物語は、ここで幕引きとさせていただきましょう。
 

【CAST】トマス・ヨハンネス
---サセラムの牧師
 

GM:町の人々は、君たちの戦いを見て、やっぱり、こういう顔(・。・)になってたわけです。この顔で、ずっと、淡々と、投石してました。

勇人:逆に怖い(笑)。

ディアン:「疲れただろう。よく、やってくれた」

GM:ニミュエは元に戻りましたけど、モブたちは、この顔のまま、去って行きました。

ウーシン:「おいおい、しけた面してるなー」

GM/ニミュエ:「あいつら、あたしの半分以下の経験しかないから。やー、でも、すごいもの見せてもらった。ストームナイトってすごいね!」

勇人:「何を言ってるんですか。貴女もじゃないですか」

GM/ニミュエ:「あたしにはできないよ。あんたらみたいに、あそこまで意地張んのは。ホントだったら、あたしたちが相手しなけりゃいけなかったんだよ。正直、怖くなってさ。あれと、戦おうとしてたんだな、って」

勇人:「戦ったじゃないですか。僕たちが戦えたのは、貴女たちがいたからです」

ディアン:「そうだ。ニミュエたちが、信じてくれたから、オレたちは戦えた」

GM:「実感はないね。だって、自分の故郷を守るのに、理屈なんて要らないさ。自分の故郷だからやった。それだけさ。あたしはそれ以上の理由を、どこにも作る気はない」そう言うとニミュエは言葉を切って、「そういや、あんた、連れはいるのかい?」

ディアン:あ・・・!(赤面)

GM:ディアン。あなたは、アイルの聖騎士だよな(*23)?

ディアン:「南に、大切な人が、いる」

GM/ニミュエ:「そっか。・・・絶対に、死ぬんじゃないよ」

ディアン:!
 

 ニミュエは、首の後ろに両手を回し、Tシャツの中から鎖を引っ張り出す。
 そして、チャリチャリと音をさせ、飾り気のない指輪を指先で躍らせる。
 

GM/ニミュエ:「あたしさ、旦那に先立たれてさ。寂しいんだよ、ホンットに」

一同:・・・・・。

GM/ニミュエ:「あたしなんかよりもずっと立派な奴で、色んな場面を駆けて生きていった。でもさ、ふらっと死んじゃって。あたし、死に顔も見らんなかったし。あんたは、そういう思いを、連れにさせちゃいけないよ。いいね?」

ディアン:「わかった。オレは、この戦いを、生き抜くことを、ニミュエに誓う」

GM/ニミュエ:「あんたは女王様にだけ誓いを捧げてればいいのさ。あたしとしたのは約束。ただの、約束さ」

ディアン:「わかった。約束だ」

勇人:「そういう時、ニッポンでは、こうやるんです。さ、小指を出して」

ディアン:「えっ?」

GM:きょとんとしています。

勇人:「僕に続けて言ってください。指切りげんまん。嘘ついたら、針千本、飲ーます!」

GMディアン:「「ウソツイターラー、ハーリーセンボン、ノマース!」」

勇人:「指切った! で、離すんです。いいですか? この約束は、2人のものです(*24)」

GM:ニミュエは、勇人の頭をわしゃわしゃわしゃってやってから、去っていきます。

ディアン:「ニミュエ!」

GM:くるっと振り返る。

ディアン:「また、逢おう」

GM/ニミュエ:「いつでも遊びにいらっしゃいな。アイルランドはね、闘士の国さ。戦うことを止めない限り、ここも、あんたの家だ。それじゃね」

ディアン:「どうか、元気で・・・」と、小さく言います。
 

【CAST】ニミュエ
---IRAの闘士
 

ウーシン:「時間だ。船を出すぞー」

勇人:「僕は少し残って、町の復興に手を貸します」

ディアン:「そうか。頼んで、大丈夫か」

勇人:「勿論。僕の仕事は主にここから先です」

ウーシン:ニヤッと笑って、「なあ、嵐王寺。いいな、あの潜水艦(ふね)。しばらく借りるぞ」

ディアン:えっ?

勇人:「解りました。その代わり、ちゃんと今度、お仕事を引き受けてくださいね」

ウーシン:「あと、この町で、水夫を募りたい。しばらくしたらまた来るから、見繕っといてくれ」

勇人:「いいですね。あなたのような優秀なキャプテンに相応しいクルーを、育てておきますよ」
 

【CAST】嵐王寺勇人
---財閥の総帥
 

 時は少々遡る。
 ボロ船に乗り込んで、エンジンを起動させようとしたウーシンを、どこかから呼ぶ声がする。
 『船長、船長ー』
 

ウーシン:「あん?」

GM:『船長、すごかったじゃないっスかー。めちゃくちゃカッコよかったっスよー』

ウーシン:「ほうー。どっかで見た面してやがるなー」相好を崩す。ひょこっ、ひょこっと寄って行って、「お前、名前を言ってみろ」

GM:『やだなぁー。あんたが初めて船を持った時から、ずっとそばにいたじゃないっスか』

ウーシン:「おいおい、おっかしいなー。俺が足を1本無くしてるのに、お前はなんで、足が2本ついてるんだ?」

GM:『へっへっへっへ。2本付いてるけどね。透けてるんですよ』

ディアン:!

ウーシン:「じゃあ、しょうがねぇなー」

GM:『みっともねぇくたばり方しちまったもんだから、なかなか上に逝けませんでしたけどね。やっぱ、船長。あんたが一番だ』

ウーシン:「ああ。きっちり、仕事はしたさ」と言って、タバコを2本用意して、火を点ける。

GM:『はー、船長。忘れちまったんですか? 俺はもうタバコは止めたんですよ。健康に悪いからってね』

ウーシン:「そうだったな」ぴしゃっと消して、「じゃ、お役御免だ。今まで、ご苦労」

GM:『暇をいただきますよ。今だから言いますけどね、あんたみたいに人使いの荒い船長の下で働くのは、ホントにしんどかったんですから』

ウーシン:ニヤッと笑って、「せいせいしたろ? ゆっくり休みな」

GM:『ええ。せいせいしました。そんじゃ、失礼しますよ。このクソ船長』

ウーシン:「ああ。あばよ、クソ水夫」

GM:一瞬、窓から光がふっと差し込み、気づくとあなたの目の前のテーブルに、水夫のバッジが置いてありました。

ウーシン:それを拾って、泣きそうな顔をしてから、テーブルの上に戻して、帽子を目深に被って、「おーい、時間だ。船を出すぞー」
 

【CAST】ウー・ウーシン
---レルムランナー
 

GM:まだ、映画館は明るくならないんです。最後。謁見の間。

ディアン:「ストームナイト、ディアン・オブロー・・・」

GM:名乗りを言い切らせてくれません。彼女は駆け寄ってきてあなたを抱擁します(*25)。

ディアン:「! 戻りました、陛下」
 

【CAST】ディアン・オブロー
---バーバリアン戦士
 

GM:以上! 演目、STORMでした。ありがとうございました!

一同:お疲れさまでした!(拍手)
 

 限りなく今に近い未来………
 今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

 TORG Replay『STORM』Fin.

---Thanx a lot for your reading! And Happy Birthday, brand-new Highlord!
 

(→postscript
 


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