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TORGリプレイ

『トライアングラー』

 

第二幕

 
シーン1 故郷へ

 
 アイルランド・ダブリン。

 戦場の喧噪から離れた小高い丘に、『グリフィスの家』という名の教会がある。
 走り回って遊ぶ子どもたちの中、小さな少女が、年長の少年について行こうとして転び、
 目にいっぱい涙を浮かべる。

「ん! 膝、すりむいちゃったかー。フェアリーさん、おまじないしてあげて」

 ひとりの女性が駆け寄り、少女を立ち上がらせる。
 すると、民話に出てくるような小さな妖精が現れ、少女の傷にキスをする。

「ありがと。ほら、フェアリーさんも笑ってるよ」
 女性は太陽のように微笑み、少女もつられて笑顔になる。
「ん! やっぱり、笑ってないとね。
 辛いことがあっても、いつも笑っていられるように、頑張ろうね、って、言ってるでしょ?」
「うん。シャロンおねえちゃん、フェアリーさん、ありがとう!」
 駆け出した少女を、少年たちが優しく迎え入れる。

 その姿をみて、シャロンと呼ばれた女性は、ふと、過ぎ去りし日々に思いを馳せる。
「風が出てきたのね。・・・あの子、今頃どうしてるかしら」

 

GM:では、第二幕、始めさせていただきます。皆さんは飛行機に乗り込んで、アイルランドのダブリンへ向かいます。ジェシカは、ディの横に座って、今までのことを話しつつ、みんながやきもきしつつ、みたいな。

ユウイチ:今日は飛行機がガタガタ揺れます。異様に揺れます。

GM:お、素晴らしい。そうすると、ユウイチは、この先はアイルの光のエリアだから、明るい世界の筈なんだけど、遠くの方から、闇が迫ってくるのが見えます。

ユウイチ:む?

GM:視線を下に向けると、大きな海戦が行われているようで、バイキングたちとか、ドラゴンや、召喚されたクラーケンとかが、軍船を海中に引きずり込む様が見えて。

マキシム:すげぇな。

GM:その中心で、ひときわ立派な、邪悪さを感じさせる鎧に身を包んだ、猛々しいバイキングが、斧を振り上げて、何か、声ならぬ叫びを上げます。その首元には、邪悪なる神のシンボルが掲げられています。彼が「うああああ!」と声を上げると、そこを中心に、ぐわーっと、世界が書き換わっていきます。

ユウイチ:え?

GM:ルール的に言うと、パッチワークが、切り替わりました。

一同:!!

GM:ここで説明しておきますと、アイルには「名誉の法則」という世界法則があって、魂の有り様が人の見かけや力を決める。つまり心の綺麗な人は姿も美しく、そして強くなる。美形イコールいい人、という世界です。それに対して、闇のネクロマンサー、アンガー・ユーソリオン卿が、見ただけでお前悪人だろって言われちゃう世界はイヤなので、大地に自分の穢れとか罪悪を流して、大地を腐らせることによって、自分の美しさを保てるようにしました。綺麗な顔してるだろ? 俺、いい人なんだぜ、みたいな(笑)。闇が支配するエリアは、あんまり収穫物も取れないし、薄暗くて、嫌な感じ。

シオン:確か、いいことすると引っくり返せるんだっけ。

GM:はい。相反する属性の人が、そこで偉業を行うか、技能14レベル以上の人が、チェックに値するような、善良もしくは邪悪な行動を取ると、判定(パッチワークチェック)をして、成功すればくるっと引っくり返る。エリアが多くなれば、勿論、属する勢力が強くなります。

セバス:ほほう。

GM:ユーソリオン卿は、昔、ペラ・アーディネイ女王の身体を乗っ取って、私こそ女王である、って言って、みんなを支配してたんですけど、ストームナイトの活躍によって、身体から追い出されて、予備に取ってあったバイキングの族長の身体に憑いて、大暴れをしております。というわけで、たった今、ユーソリオン卿によって、ダブリンは闇のエリアに、書き換えられました。
 

「みんな、家に入りなさい。嫌な予感がするわ」
 まるで夜が訪れたかのような暗い空を見上げ、シャロンは小さくつぶやく。
「こんな時、あの子がいてくれたらいいのに」
「おねえちゃん?」
「な、何でもないわ。ここにいない人のことを言っても、仕方がないからね」
 

GM:飛行機の上から見ると、美しかった、青き海原が、黒い、重油とかを流したような色に変わっていって。

シオン:ああー。

GM:青々とした草原が、立ち枯れていき、闇の生物たちが活発化して、コアアースの人たちが敗走している様が、遠くに見えます。この機の移動速度からして、助けようとしても、恐らく間に合わないでしょう。ただ、敵側も既に、勝利を確信して、雄たけびを上げているので、深追いをするつもりはないようです。「よし連中、引き上げだー!」ぐらいの雰囲気。

ディアン:窓からユーソリオンの姿を見つけて、「ユーソリオン、何をした・・・!」とつぶやきます。すごく憤りを感じてるんだけど、何もできないから。

GM:天候もホントに、にわかにかき曇ってきます。ユウイチの腕のおかげで、何とか、安全な高度を保っていますが、予想したところまでは行けそうにありません。不時着せざるを得ない状況にあります。

ユウイチ:またか! はあー(溜息)。

シオン:飛行機乗りは辛いよなー。

ユウイチ:じゃあ、機内放送しましょうか。「えー、いつものように、強制着陸します(笑)。全員シートベルトをしといてください」

GM:では、着陸やってみましょうか。

ユウイチ:なんぼでも振るよー。(コロコロ)えー、〈航空機操縦〉23と言っておきましょう。

GM:おお、素晴らしい!

ユウイチ:「あかん、エンジンがダメだ」エンジンを全部カット。

GM:解りました。では、腐っていく大地であるとか、混乱が広がっていくであろう、ダブリンの街の様子とかが、上から目に入って、どんどんそれが接近してきます。そして、機体はまるで紙飛行機のように降りて行って、市街地からちょっと奥まったところにある、小高い丘の広場に、着陸します。近くには、『グリフィスの家』という看板と、教会があります。

シオン:ピンポイントー!(笑)

GM:ずざざざざー! と降りると、教会の中から、子どもたちが出てきて、「なになになになに?」「ひこうきおちたの? おちたの?」「こわいよー」「でも、ちゃんとおりてるよ?」「わー、ひこうきだ、ひこうきだー!」

ディアン:「ユウイチ、何故、ここに、降りた?」

ユウイチ:「自然の流れ。神の定め」

GM:そうですね。近場で広そうなところが、ここしかなかった。

セバス:「とりあえず、外に出て、様子を探るかのう。ロックを解除してくれ」

シオン:じゃあ、セバスについて行こう。

GM:降りると、教会は結構ぼろくて、ぱっと見て、避難民が集まっているトコなのかな、という感じ。子どもたちが大半で、中には、ケンタウロスとかもいたりするんですけど、大人の姿は殆どありません。あんまり警戒心がないようで、飛行機にわらわらと寄ってきて、その後ろから、シスターみたいな、質素な服を着た、20代後半くらいの、美しい女性が走ってきます。首からはロケットみたいなペンダントと、十字架を下げていて、装飾らしい装飾と言えばそのぐらい。

セバス:とりあえず、非礼を詫びねばならんな。

GM:その人は、開口一番、「だっ、大丈夫ですか?!」

セバス:「お騒がせして申し訳ございません。我々はこれこれ、こういう者で。わたくしは執事の、サー・ガストン・セバスチャンと申します」

GM:「まあ、ストームナイトの方たちですか!」

セバス:「こちらは、テンプルナイトのシオンです」

シオン:会釈します。

GM:「あっ、司祭様ですか」

セバス:「こちらは、一体どういった、ところなのですかな?」

GM:「グリフィスの家、と申しまして、孤児院です。もし、怪我をしている方などおられましたら、医薬品などもありますので、よろしければ、どうぞ」って言ってる横で、子どもたちは、「ストームナイト、ストームナイトだー!」(笑)

セバス:「それは有難い」

シオン:「ご、ご心配には及びません」(笑)

マキシム:服引っ張られてるんだ。

GM/子ども:「・・・おじいちゃんもストームナイトなの?」(笑)

ユウイチ:じゃあ、わたしも降りましょう。「すみません。ここから市街まで、どれぐらい離れてますかね? この飛行機を直すのに、部品が欲しいものですから」

GM:「部品ですか。うーん、今は難しいかもしれませんが、物資を届けてくださる、親切な方がいらっしゃいますので、伺ってみますけれども」

セバス:マスター! ここで、飛行機に向かって、「おーい、ディアーン! 降りてこーい!」(笑)

GM:「ディアン?」

シオン:「ご存じなのですか?」(笑)

セバス:その反応を見て、〈手掛かり分析〉しちゃおうかなー。なんか今日、こういう役回りらしいから、俺。

GM:いや、役回りらしいも何も、自らそのポジションに走り込んでる(笑)。

セバス:(コロコロ)いい目出るなー。〈手掛かり分析〉17。

GM:そうすると、まず、ディアンを知っているのかな? っていう気がして。

セバス:やっぱ、見たことある十字架っぽい?

GM:見たことある十字架っぽい気も、しなくはない。

シオン:おそろいなのかな。

ユウイチ:この孤児院の、シンボルマークじゃないけど、みんなもらえるとか。

ディアン:では、呼ばれたので、「騒がせてしまって、すまない。シャロン」と言って降ります。

GM:「ディアン?!」

 
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