Eternal Smile > Trianglar
第三幕
シーン4 Wish upon a shooting star
状況は、まさにシオンが予知した通りになりつつある。
特別な力を持たぬ者にも解るほど、ダブリンの街には瘴気が満ち溢れ、
その中心となっている墓所から、半実体の死霊の群れが現れる。
いつしか、空は闇に閉ざされ、3つの星が天頂に輝くのみ。
決着の時が、迫る。
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ジェシカとマキシムが待つ丘の上に、大剣を引きずりながら、竜の兜の騎士が現れる。
凄まじい殺気と威圧感。
思わず剣に手を掛けたマキシムを制し、ジェシカが一歩進み出る。
(結局、私はディアンさんに、想いを伝えることができなかった。勇気が出なかった。
だから今度こそ伝えたい。私の言葉を、アークの胸に届けたい)
「憎しみに囚われて、剣を振るっては駄目です・・・! アーク、お願い!」
しかしアークがジェシカの言葉に耳を貸すことはない。
彼はジェシカを、仇敵との対決を邪魔する者としか見ておらず、
彼女を突き飛ばし、あまつさえ斬り捨てようとする。
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「くそっ、こいつら、見かけによらずしぶとい!」
メタルヒーロー・大神正義の奮戦も空しく、死霊たちによる包囲の輪が、じりじりと狭まる。
「あんたたち、思いっきり走りなさい。いいわね!」
シャロンは子どもたちの背を押すと、囮になるため、わざと反対方向へ駆け出す。
「・・・もうちょっと真面目に、信心しとくんだったな」
小さな声でつぶやく。十字架が胸元で踊る。
(神様。初めてあなたに祈ります。
この願いが叶うなら、他には何も要りません。だから・・・!)
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やっとわかった。
オレにとって、ジェシカは、どんな存在なのか。
オレにとって、シャロンは、どんな存在なのか。
辛い目に遭っている人々を救うために行動し、罪を背負うことになった、ジェシカ。
辛い日もあるだろうけど、子どもたちのことを守りながら暮らしている、シャロン。
『みんなの未来を守るために、オレは戦う』。
その誓いは、今も変わらない。
・・・でも。
いちばん大切な人の身に、危険が迫っていることを感じる。
オレはこの手で、この剣で、いちばん大切な人を守りたい。
みんなは、オレの勝手を許してくれた。
どうか間に合ってくれ。
オレは祈るような思いで、慣れ親しんだ路地を駆け抜ける。
「シャロン!」
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