TORGリプレイ

『逃げてきた黒天使』

 

第二幕:天使の瞳、其は何を映す

 
シーン3 The Decoy
 

同日夕方。鷺沢が指定した時間の少し前に、
ストームナイトはいったん集合し、情報を共有する。
 

シュア:こっちは、鴨下さんって人が怪しいかなって感じでした。

エリオット:うーん、お会いした感じだと、良い人でしたが。それに、例えば鴨下さんが犯人である場合、何もなかったかのように、お仕事を続けるというのは、あまりないと思うんですよ。

シュア:でもそこはほら、引き続き何か調べてるという可能性もあるから。急に消えると疑われるしね。

セバス:最後にこんぴゅーたを触ったのは、鴨下という奴じゃ。

シュア:ただ、IDは鴨下さんのだけど、実際は別の人が触ったっていう可能性が一応あるので、その時誰かが一緒にいなかったかどうか訊いてみたいかな。

エリオット:あとですね、太田さんという方が今日一日休暇を取っています。明日もし来なかったら、疑いましょう。

マッコイ:とりあえず、開発チームがよく使う夜の店を当たってみたので、もしデータの受け渡し等があるとしたら、そこら辺の店を使う可能性は高い。

シュア:了解ッス。じゃあ、それを鷺沢さんに報告して・・・鷺沢さん、実際にアンドロイドを作ってるトコ見せてくれないかな(笑)。

エリオット:(うずうずしながら)いやぁ、でも、それは企業秘密でしょうから、見るのは悪いですよ。

シュア:企業秘密でも見ないと判んないじゃん。捜査のためだよ!(笑)

シオン:またそういうことを言う!
 

興味津々といった表情のシュアを諌めたシオンは、
ふと、この場にいるのが自分たち6人だけであることに気づく。
例の話をするには、今が絶好の機会だ。
 

シオン:「そういえば・・・」ジェイクから聞いた仕事の話をします。

セバス:「ジェイクという奴に会ったんだが、要領をさっぱり得ない話で困った」

シュア:(心底嫌そうな声で)えー、来てるんだー。

シオン:まだ正式には請けていないんだが、通称L'angeと呼ばれる女性ハッカーが、どうも厄介ごとに巻き込まれたらしく、行方が判らなくなっている。最後に、恐らく恋人だと思われる相手へ送ったメールが、これだ。

エリオット:見ちゃっていいんですか?

シオン:見せるのは私の責任ではなくジェイクの責任なので、問題ない(笑)。で、これについての調査をしてみないかと言われたのだが、とりあえず、我々も別件の仕事を抱えているので、保留してある。

エリオット:差出人はアンジュさん、日本人ですね。宛先が、Charles(チャールズ)さん。で、何ですかこの変な単語(メールアドレスを指差す。注:ナイルにE-mailはない)。

シオン:「ドットコムというのが、ドメインでだな!」(笑)真顔で説明を始める。

シュア:えーと、番地みたいなもの。何とか通りの何番地の人、とか、そういうことだ。

エリオット:なら、訪ねてみたらどうですか? この人の家の番地が判るんだったら、会いに行けばいいじゃないですか。

シオン:まさにジェイクの依頼は、チャールズという男に連絡を取って、話を聞いてこいということだったんだが。

エリオット:依頼は、請けたんですか?

シオン:保留してるって言ってるだろうが!(笑)

エリオット:請けましょうよ。だって、困ってるじゃないですか、この人!

シュア:うん、その気持ちはよく解る。ストームナイトとして見捨ててはいけないと僕も思う。

シオン:だが物事には優先順位というものがあるだろう!

シュア:まぁ、どうしてもって言うなら話を聞くぐらいは。

エリオット:ではその前に、念のため太田さんの調査をしておきましょう。
 

手元の内部資料を見ながら、シュアが太田の自宅へ電話する。
電話口に出たのは、成人男性であった。
 

シオン:間違い電話を装って探るんだ。

シュア:「川田さんですか?」とか、適当なことを言ってみる。

GM:『いいえ、違いますけど』

シュア:「あれ? ○○○△番じゃないんですか?」

GM:『うちは、○○□△番なんですけど』

シュア:「あ、すいません、失礼いたしましたー」とか言いながら、電話を切る前に後ろの方の音とか聞いてみる。

GM:子どもがテレビを観て笑っている声が聞こえてきました。

エリオット:・・・シロのようですね。

シュア:っぽいね。

エリオット:あと、子どもが喜んでいるんだったら、それは平和な証拠です。

シュア:そうな。僕もそう信じたい。

GM:では、またグループ分けをして、行動を決めてください。

シオン:とりあえず、鴨下が怪しいと。

マッコイ:なら俺が尾行しよう。〈追跡〉3レベル。

シュア:よろしくお願いしまーす。

シオン:2人一組にした方が良くないか?

セバス:あー、なら爺さんも行きます。〈追跡〉3あるし。実は。

シュア:じゃあ、僕とロボ太郎で、会ってこようか・・・ジェイクに。

エリオット:えーと、ジェイクさんって、アメリカのテレビ局のプロデューサーさんで、日本の会社に勤めていて、僕たちの助けを求めているんですよね!

シュア:うん、そう(よそ見をしながら)。とりあえず僕から言えることは、会っても怒るなよ?

エリオット:じゃあ、きょとんとして、「はあ・・・」

シオン:「待て、私も同行しよう!」2人の会話を聞いて著しく不安になりました(笑)。

シュア:えー。シオンさん一緒だと、適当に誤魔化すことができなくなるんですけど(笑)。

エリオット:「マキシミリアンさんはどうしますか?」

マキシム:「悪い。俺は、ちょっと用事が・・・」

シュア:「あぁ、里帰りだしね」(笑)
 

マキシムについて、少々補足しておく。
彼は元々日本人のビジネスマンだったが、イギリス出張中ストームに巻き込まれ、
アイルのリアリティに変身してしまったのだ。

そして勝手知ったる顔のシュア。「里帰り」という語を使ったのは、昔の恋人かもしれない鷺沢に対し、
マキシムが何らかの行動を起こすことを期待したからである。果たしてこの先どうなるか・・・。
 

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