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TORGリプレイ

『地球の長い午後』

 

第二幕


シーン1 Heard her voice
 

 「それ」は、何の前触れもなく、空の中央から湧き出たように思われた。

 『こちらロンドン! 応答! 応答を!』
 季節はずれの雪がやんだ後、ロンドンを襲ったのは、巨大な鎌を持つ「死の天使」。
 サイバー教皇領の仮想現実空間=ゴッドネットでしか活動できない筈のネットエンティティだった。
 アイルの光の軍のドラゴンライダーが迎撃に出て、激しく切り結ぶ。

 一方、日本の京都。
 季節はずれの雪がやんだ後、上空に積乱雲が生まれ、ぱんと弾けた。
 すると、200体もの「サイゴイル」の群れが〈顕現〉し、道行く人を襲い始めた。

 所変わって、フランスのパリ。
 サイバー教皇領の真ん中に残る、コアアースのリアリティを持つ都市を、
 ぼろを身に纏ったひとりの男が訪れた。
 「よう坊さん。何しに来た? 賛美歌を歌うならば、場所が違うぜ」
 「私は、ただの運び屋です。そうですね、ジャックアウト司祭とでも呼びましょうか」
 「ジャックアウト司祭? 何だそりゃ? う、うわーっ!!」
 男の身体には、LANケーブルの端子がいくつも埋め込まれていた。
 その端末からサイバー教皇領の軍隊が次々と〈顕現〉し、パリ防衛の兵士は沈黙した。
 

一同:・・・・・。

ディ:‘天空’が突き刺さったのと同時に、世界の各地に、サイバー教皇領の軍勢が、一斉攻撃を始めた、ということか。

GM:はい。何故かというと、現在、この地球上の全てのレルムに、ゴッドネットという世界が、「重なっている」状態になっています。「コアアース+サイバー教皇領」「リビングランド+サイバー教皇領」という風に、全てが、混合エリアになっていると考えていいでしょう。

マッコイ:つまり、こういうことなのかな? エベンスロー自体が、スティリー(*11)代わりになっている。

大悟:その可能性が高いですね。というか、‘天空’をブースターにして、エベンスローの生み出したゴッドネットが、世界中にかぶさってしまった。

GM:というわけで今、マッコイが無線を入れて、状況を知ったところです。

マッコイ:こりゃあ、どこも、北極に、注意を割いてる暇はないな。

GM:そうするとですね、無線でこんな呼びかけがあります。『これを聞いている中に、北極近郊のストームナイトはいるか?』

マッコイ:・・・しまった、俺、何にしたんだっけ、コールサイン。

大悟:さ、早くしないと、ナイル帝国の出たがりが、レシーバー勝手に取って、勝手に話し始めるぞ。

マッコイ:あ、思い出した、ミリオンダラーだ。

大悟:何その、博打打ち御用達みたいな(笑)。

マッコイ:「こちらミリオンダラー。北極圏の南半島をまわっている」

GM:『こちら自由パリ。今そっちの方に、バカでっかい十字架が立っていないか?』

マッコイ:「よーく見えてるよ。あいつは多分エベンスローだな」

GM:『なんだってー! やっぱり! 姐さん、姐さん!』

ディ:姐さん?

GM:と言うと、バタバタ音がして、どっかで聞いた声がする。『ストームナイト! 話を聞いて! 今、世界の危機よ!』

マッコイ:「そんなのいつもじゃないか!」(笑)

大悟:っていうか、年がら年中だよな。何を今更。

GM/???:『様式美だから!』(笑)

ディ:ああ、なるほど。別名お約束。

大悟:うむ、確かに様式美は大切だ。その通りだ!

GM/???:『慌てないで、落ち着いて、でも、急いで聞いて』

大悟:「嫌だ」

GM/???:『・・・続けるわよ!』

リン:(マッコイの顔を見て)断るって言いたそう(笑)。

GM/メイラ:『私は自由パリの協力者。名前は、Dr.ハチ・メイラ=2』

マッコイ:ぶっ! 後ろをちらっと振り向きます。

GM:ではそうすると、あたし呼ばれた? って顔してますね。

ディ:「め、メイラが2人?」

GM/メイラ:『は? 何言ってるの? 私はこっちにしかいないけど?』

大悟:じゃあ、ディの肩をポンと叩いて、「いいか、細かいことは気にするな」

ディ:「あ・・・そうか」

GM/メイラ:『解った、気にしない!』(笑)

大悟:多分、本当のメイラだったら、細かいことをいちいち気にしてる暇もないはずだ。

GM:で、リンは、多分こっちが本物だろうなって気がする。喋り方から考えると。

リン:ああー。

GM/メイラ:『現在、理由は解らないけど、ゴッドネットが、全世界を覆っているの。その結果、〈顕現〉能力、要するに、ネットワークを通じて実体化する能力を持った連中が、先触れとして現れているみたい。でも恐らく、遠からず、〈顕現〉能力を持たないネットエンティティ、いわゆるネット専用の連中も、当たり前のように、この世界を歩き出すと思うわ。何故なら、全世界がゴッドネットになっているから』

マッコイ:なるほど。

GM/メイラ:『それを踏まえて、何故こんなことが起こったかを、私なりに推理してみたわ。犯人はジャン・マルローとエベンスローよ!』

大悟:「んなモン見りゃ解るわ!」(笑)

ディ:どこが推理! ってツッコミたくなった。

GM:『なんですって! それもそうね!』と言うと、彼女はここで、説明してくれます。過去に、ハチ・メイラ=2が、ジャン・マルローに対して、技術アクシオムが高い世界のエタニティ・シャードをぶつけることによって、アクシオムが一気に上昇する現象、テックサージが起きてしまったという経緯があります。どうやら、マルローは、その体験を元に、エタニティ・シャードと自分の関係を、「エベンスローというダークネスデバイス」と、「大量のポシビリティエネルギーを持った地球」に置き換えて、地球全体に対して、テックサージを起こした、ということのようです。

マッコイ:要するに昔、データチップを頭にぼこんとぶつけられて、変な知識が色々入ってきたと。今度は俺が、地球に対して同じことをやって、地球ごと俺のものにしちまえ、って話。

リン:ふーん。

GM/メイラ:『そう。これはノイズ。恐らく、一定時間を過ぎれば、消えていくものよ。持ったとしても、1日持つかどうか』

大悟:だが1日あれば、連中がこの世界を制圧するには充分だな。

GM/メイラ:『でも、判らないことが2つあるの。まず、テックサージを起こすには、エタニティ・シャードなどに蓄えられた、大量のポシビリティが必要になるけど、ジャン・マルローは、それをどこから持ってきたのかしら。しかも、地球全体にやるんだったら、普通のエタニティ・シャードひとつでは、まかないきれない筈よ。余程大きいポシビリティ源がないと、一瞬で終わってしまうわ』

ディ:そのポシビリティ源が、一体何なのかが、判らない。

GM/メイラ:『次に、とりあえずテックサージの持続時間が1日あるとして、その1日で、ジャン・マルローが何をする気なのか。この2つが謎のままだと、イマイチ何をしていいのかが判らないわ』

マッコイ:うーむ。

GM/メイラ:『そして、‘天空’をぶっ倒して、ダークネスデバイスを引っこ抜くか、ぶち壊すかしないと、この状況は、すぐには終わらせられない』

マッコイ:判り易すぎるぐらい判り易い。

GM/メイラ:『というわけで、ちょっと偵察に行ってくれない? とりあえず、北半球にいるストームナイトに集合をかけて、動ける人間には全部動いてもらうから』

大悟:「よし、解った!」即答。

GM/メイラ:『よし、任せた!』(笑)

大悟:じゃあ、そういうことで(マッコイの背中を叩く)。

マッコイ:あー、燃料補給が必要だなー。

ディ:マッコイ。今、北極の近くにいて、動けるストームナイトは、多分オレたちだけだ。

マッコイ:そうなんだがな、馬も飯を食わないと前には進まないだろう? とりあえず、補給に戻ってとんぼ返りだな。

大悟:なに? 燃料補給しないといかんのか。呼べば来ないのか。

マッコイ:それは無理(笑)。

GM:はい。了解です。では適当な基地まで移動して、給油している間にですね、ハチ・メイラ=2らしき人は、あなたをじろじろ睨んでいる。お前、絶対どっかで裏切るに違いない、ぐらいの勢いで。

マッコイ:「そういうことは、貸した金を返してから言ってくれ」って、冗談っぽく言います。

GM:「私は借りた記憶がない」

マッコイ:「・・・冗談の通じねぇ奴は嫌いだ!」(笑)

GM:因みに、パリにいるであろう本物のメイラよりも、随分真面目に見えるね。

マッコイ:なるほど。

GM:パリにいるメイラも、真面目なんでしょうけどね。真面目でああなっちゃうっていうのは、一種の才能なのかもしれませんが。

大悟:一番精神波長が合うのが、ナイルヒーローだもんな。

 
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