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TORGリプレイ

『地球の長い午後』

 

第三幕


シーン1 With Sharp Hawk's Eye
 

 ‘天空’の落下から約3時間半後の、グリニッジ標準時16:35。

 北極点より、ゴッドネットを通じて、データサージが放たれた。
 データの奔流は凄まじいエネルギーと化し、リビングランド東の地を直撃した。
 

GM:結果から説明します。1、2、4、8、16、32、64、128。リビングランド東の地にいた、キャラクター及びオブジェクトに、128点のダメージが入りました。

ディ:ちょっと待ってくれ。

大悟:128ダメージって・・・。

GM:勿論このダメージが、そのまま全員に入ったわけじゃありません。エリアに対する概算と思ってください。128ダメージ分の熱量が、分散されて飛んでいった、という感じでしょう。正確にはデータなので、熱量ではないんですが。
 

 データの奔流が去った後、残されたのは、
 まるでリアリティ・ストームの直撃を受けたかのように、ボロボロになったジャングル。
 北へ向かっていたリビングランドの軍勢は一瞬にして壊滅し、
 ハイロード、バラク・カーは、大怪我を負って呆然と立ち尽くした。

 巨大な十字架‘天空’は、ただ無言のまま、北極点にそびえ立っている――。
 

GM:リビングランドで大災害が起きたという情報は、あっという間に世界を駆け巡ります。詳細は定かではありませんが、とにかく、あの十字架が起こしたのだということは、はっきりしているようです。この瞬間、いくつかの国家は、行動を沈静化させます。あの攻撃を食らったら、間違いなく、国が保たない。ただし、ジャン・マルローはいまだに何も言いません。サイバー教会からも、特に、要求や声明は発せられていません。それが何故かは、不明です。

一同:・・・・・。

GM:といったところで、2ラウンド目の行動に移りましょう。だんだんだんだん、世界は追い詰められています。因みにこのラウンドから、ネットエンティティが、無条件で、現実世界を闊歩し始めます。しかも、移動速度は、光の速度です。勿論それは、データ転送速度なので、実体化してからは通常速度ですけどね。というわけで今後は、特定エリアに進入すると、戦闘が発生する可能性があります。

マッコイ:なるほど。

GM:敵の、8体のエンティティ――ゲートキーパーと呼びましょう――のうち、1体は、あなた方のそばにいます。ハチ・メイラ=2のコピーと思われる存在です。今んとこ、システム的には名無し、になってますけどね。あとは、マッコイのコピー、シュアのコピー、シオンのコピー、ディのコピー、その他3体。この8体は、モナリザと呼ばれる、自律したプログラムを受け継いでいて、ゴッドネットの中を自由に歩き回れます。さっき話をした限りでは、メイラ以外のコピーは、全て、ジャン・マルロー、あるいはエベンスローの配下になっているように思われます。

ディ:マルローは、公式に、まだ何も言っていない。

GM:はい。むしろ、このセッション中、影も形も見えない。

大悟:あの出たがりが出てこないっつーのもおかしいよね。

ディ:‘天空’の中にいるのか?

GM:(よし、1イベント起こそう)そうやって話していると、ヘリのレーダーに反応があります。ヘリと併走するように、クジラのような巨大な海棲生物が、下の海面を移動していて、その上にですね、誰かが立っています。

マッコイ:へ?

ディ:クジラの上に誰かが立っている?

GM:しかも仁王立ち。拡声器をがちゃっと出して、ピーッ! すごい割れた音で、『気づいているのだろう! こちらを向きたまえストームナイト!』

リン:呼び掛けてきてるんですか。

マッコイ:誰だ?

GM:傍迷惑だなというのと、目立つなというのはわかります。因みに拡声器は蒸気式です。

大悟:傍迷惑で目立つ、なおかつ蒸気式といえば、デス・ホークに違いない!

GM:『何故解った!』(リンに)デス・ホークというのは、正義のヒーローのひとりなんですが、実は、ナイル帝国のハイロードDr.メビウスだというのが、通説です。この人、たまに正体を隠して、自分の部下どもの活動を邪魔したりするんですよ。

大悟:わざわざ自分の能力値が減るスーツを着て戦闘を行うのだ。

GM:一応理屈があって、ヒーローのふりをして、情報を得たり、ヒーローをだまくらかして、後々大きいアドバンテージを得たい、と言ってはいるんですが、どうも趣味でやってる節があってですね(笑)。

マッコイ:とりあえず高度を落としましょう。

GM:では、クジラがプワーッ! と潮吹きをすると、それに乗ってどーっと上がってくるわけですよ。

リン:かっこいいー!

大悟:「お前は! かの有名なヒーロー、デス・ホークではないか!」

ディ:「そ、そうか、正義のヒーローか」

大悟:「うむ! 自称だがな」ぼそっと口の中で言う(笑)。ま、ナイルのヒーローで、自称でない奴の方が珍しいんだが。

GM/デス・ホーク:「そこまで見抜かれては、名乗らねばなるまい。いかにも私が、デス・ホークだ。君たちが、この事件に深くまで関わっていると、風の噂で聞き、ここに推参した」

マッコイ:(噴き出す)

大悟:推参したの。頼んでもいないのに来たのね。

GM:そうですよ。来た理由は大悟の“仇敵”カードだし。1ポシ差し上げます。

大悟:はい、もらいましょう。

GM/デス・ホーク:「君たちに、私からひとつ忠告をしておこう」

大悟:「む! デス・ホークから忠告とは、これは痛み入る!」

GM:くどいなぁこの会話(笑)。彼によるとですね、この事件を起こしているのは、ジャン・マルローだけとは限らない。

リン:うん。

GM:ジャン・マルローが主犯であることは疑いないのだが、その他にも、誰かの意志が介在しているのではないか、と言っている。

ディ:「例えば、Dr.メビウスなどか」

大悟:「そうか! Dr.メビウスだな!」

GM/デス・ホーク:「いや、それはないな。奴はあのような卑劣漢とは組まん!」(笑)

ディ:そ、そうか。

大悟:とすると、このような陰謀を企むのは、某有名企業のトップ(*17)か。

GM/デス・ホーク:「その可能性は否定できない。しかし、動きを見る限り、奴もどうやら、対策に慌てているようだ。だから、もし奴であれば、裏切られたのか、先を越されたのか、ヘマをこいたか、多分どれかだろう。どうも奴の仕業ではないようだ。そもそも、金勘定以外に能がない男に、このような陰謀は企めないだろう」

マッコイ:企めないにしても、手は貸せるかもしれない。

大悟:とすると、同じ技術アクシオムのサーコルドか。いや、あの連中は今、自分たちの地盤固めで精一杯の筈。ということは、ゴーントマンか。

GM/デス・ホーク:「それは考えたくはないが。君たちはひとつ、重要なことを見落としている」

大悟:・・・ん?

ディ:あっ!

大悟:ひとり、いる。こういう、でかいことが大好きで、卑劣で、なおかつジャン・マルローと、同盟を組んでた奴が!

ディ:ユーソリオン。オレにとっても、因縁の相手だ。

マッコイ:ああー。そうかー。

GM/デス・ホーク:「どうやら、思い当たったようだな」

 
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