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TORGプレイレポート

『FAKE』

 

第三幕

 
シーン1

 
 ギベール司祭が魔物である証拠は入手した。あと必要となるのは、マリーの無実を示す証拠。

 しかし、これは極めて難しい。「マリーは免罪符を盗んでいない」こと、もっと言えば「ギベールがマリーの家に免罪符を置いていった」ことを証明するのは、事実上不可能に近いからだ。
 おそらく、GMが情報の出し方を誤った(*6)のだと思われる。苦肉の策だが、「ギベールに面会し、〈トリック〉などで誘導尋問してボロを出させ、その言葉を証拠として採用する」ことをOKにした。
 

ジョシュア:「簡単に言うと、司祭に口を割らせたい。そしてあなたにも、立会人として、一緒に話を聞いてほしい」

GM:「『痛くもない腹をいくら探られても、問題ありませんよね、司祭様?』という風に、話を持っていけばいいのだな」
 

 ジョシュア、裕人、イリスの3人は、クロードを連れて教会を訪れる。ギベールは苦虫を噛み潰したような顔で訪問者を睨みつける。
 

GM:「何をしに来た? わしは、今日の正午の決闘の準備で忙しいのだ」

裕人:「えっ、今日?」

イリス:「3日後じゃなかったんですか?」

GM:「貴様らのような、小汚いネズミに、これ以上嗅ぎ回られて、神聖な決闘を汚されてはたまらんからな」

ジョシュア:「それは、嗅ぎ回られては困る何かが、あるということですね?」

GM:「・・・・・」

ジョシュア:「ちょっと失礼。喉が渇いたもので。! ああ、慌てていたせいで、こぼしてしまった」
 

 ギベールの弱点は水である、と予想して、ジョシュアがペットボトルの水を足元にぶちまける。
 

GM:「何をする! ふざけるな!」

ジョシュア:「私はいたって真面目です。ところで司祭様。あなたは何故、しょっちゅうマリーさんのお宅に行かれているのですか?」

GM:「なんだと?」

ジョシュア:「毎晩毎晩、変なコートを着て、俺の女になれー、俺の女になれー、と」
 

 ジョシュアのキャラ、崩壊。口調といい行動といい、プレイヤーさんのもうひとりの持ちキャラ、ジョン・アンダーソン(*7)が憑依したかのようだった。
〈説得〉判定、ポシビリティは相殺されるが、カードを結集してプレイヤーズコール達成! ギベールは口から泡を飛ばしつつ、聞かれもしないことをべらべらと喋り、墓穴を掘りまくる。
 

GM:「わしが昨晩マリーの家へ行き、免罪符をこっそり置いてきた、だと! 見てもいないのに、よくそんなことが言えるものだな! ああ、貴様の言う通りだ、それがどうした!」
 

 裕人はスマホでギベールの証言をバッチリ録画。イリスは「床をお拭きしますね!」と言いつつ、モップを持ってすっ転び、ギベールの顔面にびしょ濡れのモップを直撃させる。とどめに裕人がバケツをキック!
 

GM:「うわあああ! 誰か、拭く物を持ってまいれ! 早く!」
 


 
シーン2

 
 予定よりだいぶ前倒しになったが、その日の正午、決闘の時。
 ギベール司祭は血走った目でマリーの罪状を並べ立てる。
 

GM:「言いたいことがあるなら、聞いてやろう。どうせ貴様は死ぬのだからな!」

宗元:「あんたは、姉ちゃんが免罪符を盗み出した、と言いたいわけやな」

GM:「それがどうした?」

宗元:「だとするとじゃ。この姉ちゃんは、免罪符がある場所を知っていて、盗んだということになるが、どうやって、異端扱いしている相手が、そんなことを知っとると? それとも司祭さん、あんたが教えたとか? 教えるわけあらへんよなー!」
 

 宗元の言葉を継ぐように、動画が流れる。
 『わしが免罪符を置いてきただと! 見てもいないのに、よくそんなことが言えるものだな!』
 

宗元:「やけに動揺しておられるのう。神様に誓って、悪いことをしてないんなら、もっと堂々とするもんや」

GM:「いいから始めろ!」
 

 ギベールが叫び、教会騎士と宗元は両手剣を構える。
 これまでに集めた証拠によって、マリーの無実は明らかになったと判断。宗元の〈白兵戦〉に+5のボーナスが付く! 宗元は両手剣を鉄パイプのように振り回し、騎士の頭を強打。一撃で倒すのは無理だったが、騎士はたたらを踏んですっ転ぶ。
 

GM:「女ひとり有罪にできんのか。インドネシア帰りと言うから、さぞ有能だろうと思っていたが。司祭ギベールよ。後始末は自分でつけるがよい」
 

 駆けつけた異端審問官がギベールを冷たく見つめる。
 見放され、追い詰められたギベールは、開き直って捨てゼリフを吐く。
 

GM:「あの女がいつまでもわしのものにならんのがいけないのだ! 貴様ら、まとめてくびり殺してやる!」

ジョシュア:「その前に・・・司祭様。シャンプーの時間ですよ」
 

 ジョシュアがギベールの頭にペットボトルの水をぶちまける。苦痛の呻きと共に、皮膚を突き破って長虫の身体が現れる。克服チェック、出目19で成功! 万全の状態で、ラストバトル開始!

 見せ場宣言こそできないが(*8)、4人の手元には振り足し系のカードがたっぷり蓄えられている。足りないのは唯一、“偉業”のみ。“リーダーシップ”を使いまくってカードを引き直すが、なかなか“偉業”が来ない。
 そんな中、怒り狂ったギベールの巻きつき攻撃がジョシュアに命中。ポシビリティで消しても2レベル負傷、全身の骨が砕ける重傷。さらに痛みのため次ラウンドは行動キャンセル! 出目が走らなかったおかげで死は免れるが、綱渡りが続く。
 

裕人:「ヘイ、ピッチャーびびってる!」

ジョシュア:「男に巻きついて楽しいか?」
 

 魔物に変身後のギベールは、《魅力》が極端に低い。技能なしだと達成値4でも効いてしまう。薄れそうになる意識を懸命に留め、ジョシュアは〈挑発〉を続ける。
 

ジョシュア:「つまり貴様は、一番美味しくない餌に、食らいついているわけだ」
 

 ヒーロー逆転負け、希望の法則で引き直し。
 ヒーロー逆転負け再び! 引き直しの手段はなく、甘んじて受けるしかない。裕人が吸血しそうになる、イリスが魔法を暴発させるなど、致命的とも思われるハプニングを発生させるか、もう一度、克服チェックを行うかの二択。選んだのは克服チェック。
 

ジョシュア:私が振る。失敗したら、私が殺されれば済むこと。むしろ殺される方が、逆転負けに相応しい。

宗元:もし、あんたが殺されたら、ワシ、ブチキレると思うで。
 

 ジョシュアと宗元の覚悟に、裕人とイリスも同調する。出目は8だが、充分に克服値を稼いでいたため成功! “偉業”もようやく引くことができ、イッツ・ショータイム!
 

裕人:「ねえ・・・怖い? 僕のこと、怖い?」
 

 裕人は、〈間合い〉でにじり寄り、ペットボトルの水を、ギベールに掛かるか掛からないかギリギリのところでこぼす。萎縮中にもかかわらず、出目70、偉業&プレイヤーズコール!
 

イリス:「お行きなさい!」
 

 イリスが短くコマンドワードを発する。【コンジャード・ファイアボール】。圧縮されていたろうそくの炎が、火球となって爆発する。出目63、W偉業達成! ギベールの身体を燃やし尽くす。

 ど派手な魔法を使ったイリスへ、石が投げつけられるより先に、ジョシュアが笑顔で宣言する。
 

ジョシュア:「イッツ・マジックショー!」
 

 イリスは芝居掛かったお辞儀をし、両手剣を構えてポーズを取った宗元と共に、万雷の拍手を受ける。
 

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