TORG・ABCリプレイ

『LIBERTY』

 
 

第二幕

 
 About An Year Ago...

 「僕は、祖国を捨てた身だ。君を幸せにはできないと思う」
 ICチップの明滅する十字架を下げた男が、女に告げる。
 女は首を横に振り、男の手を取って答える。
 「私だって、元を正せば移民です。
 生まれた世界は違えども、私とあなたに何の違いがありましょう」
 「では・・・」「ええ。2人で自由の国へ行って、未来を掴みましょう」
 そして2人は、アメリカ行きの飛行機に乗って旅立つ。

 A Few Months Ago...

 ニューヨーク、リバティ島。
 建造途中の自由の女神及びリバティ・フォートレスを眺められる高台に、
 男と女が佇んでいる。
 「もうすぐ、自由の国の自由の象徴が再建される。
 そうすれば、僕と君も、きっと・・・」
 男の呟きに、女は笑顔で答える。「そうね、3人で幸せになりましょう」
 女の手は、大きくなり始めたお腹へ、慈しむように添えられている。
 おもむろに男は、登録証のようなカードを取り出す。
 「ようやく僕もストームナイトとして認可されそうだよ。
 これで、君のことを幸せにしてあげられる」

 2人はまだ知らない。
 驚異的な速度でフォートレスを築き上げているのは、
 マッドサイエンスの技術がふんだんに使われたクレーンであることを。
 そして、フォートレスの地下で、赤と青の斑模様の塊が、
 不気味に明滅していることを。

 
シーン1 勝利宣言
 

4人が帰投した時、リバティ・フォートレスでは既に宴が始まっていた。
シャンパンで乾杯する者、肩を組みアメリカ合衆国国歌を合唱する者。
感極まって泣いている者もおり、一部大変な盛り上がりを見せている。
一方、傭兵に近い扱いのストームナイトたちは、宴の輪には加わらず、
誰からともなく自然に集まって静かに酒を飲んでいる。
さらにその向こうでは、セントラルパークから連れて来られた人々が、
トラックから降ろされフォートレス内部に連行されて行く。
 

GM:皆さんのところには、アイルのペラ・アーディネイ女王から、伝言の書簡が届いています。『今回のストームナイトの皆さんの働きには、心より感謝いたします』と。『怪我をした人はいませんでしたか。泣いている子供たちを助けることはできましたか』『もし傷ついた方がいるならば、それが早く治ることを、もし天に召された方がいるならば、デュナド様(*15)に導かれたその方の幸福を、私は心から祈ります』

ディアン:(十字を切る)

GM:その一方で、テレビでは、デニス・クォーターメイン大統領という、いぇーい、俺タカ派、力が正義、ジャスティス! みたいな超判り易いオッサンがですね、国威高揚の演説を早くもおっ始めています。

リリアン:荷物まとめて国に帰ろうかなぁ。

GM:とりあえず、いっぱい御託を並べてるけど、大体要約するとアメリカ万歳、俺偉い、次の選挙もよろしく、みたいな感じ(笑)。『この勢いで一気にトカゲ共をアメリカから殲滅しようじゃないか。我々アメリカが、ストームナイト諸君を、「ストームナイト登録法」により、支援するので』と。

ディアン:「ストームナイト、登録法?」その言葉にちょっと反応して、顔を上げる。

GM:周りの人たちもざわめくんですけど、「あれか? アイルとかサイバー教皇領とかからやって来た、移民だかチンピラだか判んないようなストームナイトを選別して、エージェントとして給料も出して、ちゃんとした待遇を与える、ていう」

マキシム:はぁ。

GM:「確かに、ストームナイトだと騙って暴れ回る、ろくでもない連中もいるからな。気持ちは解らんでもない」「でもなー、首に縄つけられて、押さえつけられて働くのもちょっとなー」というのが、結構その場の雰囲気としてありますね。

蓮翔:ふむふむ。

GM:「ま、騎士さんのいる場で言うもんじゃないな、ガハハハハ!」てな感じで、戦いの後の弛緩した空気が流れてます。あとテレビからは、『今回の作戦でセントラルパークを取り返して、ニューヨークを解放したので、世界政府の要人を招待して、記念式典を開きます。皆さん来てください』とか言うのが聞こえます。
 

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