第二幕

 
シーン２　記憶鮮明
 

リリアン：で、その現場にあたしはいなくて、部屋でシャワーでも浴びてましょうか。

ＧＭ：解りました。あの、騙されたヤツが何人かいそうなサービスシーンが入って（笑）。

蓮翔：ところで、さっきのマイクロチップは、俺が解析していいのかな？

ＧＭ：いいですよ。技能はなくても、通常のコンピュータ操作は《知力》でできるので。ただこのゲーム、技術アクシオム（＊１６）が高いほど、有利なんですね。

リリアン：なら、あたしがやろうか。アクシオム２６だから。

蓮翔：じゃあさ、部屋の外で、膝抱えて待ってるから。「早く出て来ーい」って。何かこう、結界みたいな、気が張り巡らされてて、入れないのね。

マキシム：俺も、泉と一緒に待ってるよ。

リリアン：入ったら、多分次のシーンで、ポチの餌になってるから（笑）。じゃあ、服着替えて、頭をバスタオルで拭きながら、「何か用？」

蓮翔：「えー、このマイクロチップなんだが・・・」

ＧＭ：あー、目をそらしてる目をそらしてる（笑）。偉い偉い。

蓮翔：振られるのが怖いから。

リリアン：「んー、これ？　解ったわ」と言って、部屋の中に入って行こう。

マキシム：あ、ついてっちゃマズい？

ＧＭ：あなたの世界の倫理観は、止めますよ。女性の部屋に入るとか、そういうことしてはいけないので。

マキシム：あ、そうか。

リリアン：「いいから２人とも入んなさい」

リリアン：ふぅ。とりあえず解析。（コロコロ）あら？　《知力》で、達成値１０。

ＧＭ：そうするとですね、何枚かの写真と、あとは、プロテクトが掛かっていて、解除するのには時間掛かりそうだけど、書類のコピーみたいのが入っていました。

リリアン：「何、これ？」

蓮翔：あ、現場にいなかったからね。「ちょいと拾い物をしてね」

マキシム：じゃあ、ロケットの中身を２人に見せようかな。

蓮翔：で、同じ写真があることに気づく、と。

ＧＭ：そうですね。写真を並べて見てみると、ヨーロッパの何処かで２人が出逢って、恋に落ちたんだろうな、というのが判ります。片方は、リリアンには明らかに判るんですけど、サイバー騎士の中でもさらにエリートの、聖堂騎士というヤツで。

蓮翔：わお、エリートなんだ。

ＧＭ：コメントが添えてあるんですけど、読み取れる内容は、『地球に正しい信仰をもたらすため、十字軍として我々は来たのだけれども、私は彼女といる時、教皇は間違っているのではないか、ということに気づいた。私は、火あぶりにされそうになっていた彼女を救って逃げた。そして一緒に逃避行を続け、アメリカへやって来た』

蓮翔：・・・気づかず俺の過去とネタ被ってた。

マキシム：ん？

蓮翔：最初は、「マフィアの娘を誘拐しろ」っていうボスからの命令で、誘拐して、「こんな可愛いお嬢さんバラすのは可哀想だな」って連れて歩いてて、そのままかっさらって逃げちゃったっていう。

マキシム：あれ？

蓮翔：駆け落ちしたのはいいが、テロか何かの爆発に巻き込まれ、彼女は吹っ飛んじゃって、手だけがボトッと落ちてきて、無言で指輪だけ抜き取って、敵討ちを、心に誓う。

ＧＭ：そう。あなたは、読んでると多分、フラッシュバックするんじゃないですかね。

蓮翔：・・・・・。

ＧＭ：あ、２人の名前を言い忘れてました。男の方が、ヴェルム。女の方が、ロレーヌです。

マキシム：やっぱ気になるのは、連れてかれた彼女がどうなるか。その「こんぴゅーた」とやらで、調べられないかな？

蓮翔：ハッキングってできる？

リリアン：うーん、そうねー・・・。

ディアン：いや、「はっきんぐ」ってことをすると、俺たちが、ロレーヌを捜していることがバレる。それだったらば、知り合いから流して教えてもらう方が楽だと思う。足は付かないし。

リリアン：じゃあ“知人”カード使って、情報を貰う。

ＧＭ：解りました。どんな人にしますか？

リリアン：軍の女情報将校。入国の時に、「頼むから女の格好はやめてください」って言われて、「いえいえ、こういう事情でね」って言って、何故か意気投合しちゃったっていう。

蓮翔：えー、綺麗なお姉ちゃんがいるんなら多分くっついてくよ？　綺麗どころなら。

リリアン：いや、サシで行く。こんなの連れて行ったら大変じゃないか。

ＧＭ：そうするとですね、彼女――名前はソニアさん――も忙しそうに働いてるんですが、ちょっと合間を見繕って、向こうの部屋に入れてくれます。
 

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